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「圧縮音源」の“基礎の基礎”特集:初めてのポータブルプレーヤー(2/2 ページ)

» 2005年07月25日 23時22分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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MP3、WMA、AAC、圧縮音源にもいろいろある

 一口に圧縮音源技術といっても種類は豊富で、代表的なものを挙げるだけでもMP3(MPEG Audio Layer-3)、WMA(Windows Media Audio)、AAC(Advanced Audio Coding)、ATRAC3(Adaptive TRansform Acoustic Coding 3)などがある。

 それぞれ独自の方法(アルゴリズム)で、人間の耳に感じにくい部分を間引き、データ量を圧縮しているのだが、いずれも間引いたデータを切り捨てることでより高い圧縮率を目指す「非可逆圧縮方式」となっており、一度圧縮したファイルを元に戻すことはできない。

 これらに関連した記事や説明書でよく目にする「ビットレート」とは、単位時間あたりに何ビットのデータが処理あるいは送受信されるかを表す言葉で、単位としては「bps(bits per second)」もしくは「kbps(kilo bits per second)」が用いられる。ポータブルプレーヤーの世界においては、その数値が高い方が間引くデータ量が少ない(原音に近い)ことを意味する。また、音楽CDからデータを取り出すことを「リッピング」、取り出したデータを圧縮音源の形式に変更することを「エンコード」という。

photo iTunes 4.9のエンコード設定画面。音楽CDからリッピングしたあと、どのような形式でエンコードするかを選択できる

 各フォーマットの特徴は以下の通りだ。

  • MP3(MPEG Audio Layer-3)

 圧縮音源のフォーマットとしては最もポピュラー。正確には映像データの圧縮方式であるMPEG-1で利用される音声圧縮方式のひとつ。登場当時は複雑すぎると批判されたこともあるようだが、1997年に「AMP MP3 Playback Engine」、1998年に「Winamp」が登場したことによって爆発的な普及を見せた。

 圧縮率を高めた「mp3PRO」、5.1chサラウンドの再生が可能な「MP3 Surround」などのバリエーションもある。著作権管理の仕組みがなく、違法ファイル交換でも多く使用されたフォーマットである。

  • WMA(Windows Media Audio)

 Microsoftが開発した圧縮音源の形式。同社のマルチメディア技術「Windows Media」を構成する技術のひとつでもある。MP3より新しく登場したこともあり、圧縮率の高さが特徴であり、同社では「音楽CD並みの音質を保ったまま約1/22までデータを圧縮することができる(64kbps時)」としている。

 Windows Media Rights Manager(Windows DRM)と呼ばれるコンテンツ管理システムによる暗号化が可能で、有料音楽コンテンツとしてWMAファイルを販売したり、違法コピーの防止を行うことができる。

  • AAC(Advanced Audio Coding)

 映像データ圧縮方式である「MPEG-2」または「MPEG-4」で使われる音声圧縮方式。MP3より1.4倍〜1.5倍ほど圧縮効率が高く、ビットレート96kbpsでエンコードされたAACファイルの音質は128kbpsのMP3ファイルの音質はほぼ同じであるといわれている。

 アップルが採用している著作権管理技術「FairPlay」に対応しているほか、iTunes 4.x/QuickTime 6.xで標準の圧縮音源技術として使われており、iPodを利用しているユーザにはおなじみだろう。

  • ATRAC3(Adaptive TRansform Acoustic Coding 3)

 MDに使われている音声圧縮技術「ATRAC」を改良したもの。音の種類を2種類に分類し、それぞれを別々に圧縮することで高い圧縮率を達成しており、原音の音質を損なわずにATRACでは1/2、ATRAC3では1/10までデータ量を減らすことができるという。

 著作権管理技術「OpenMG」を組み合わせて使うことができ、WMAやAACのようにインターネットを利用したコンテンツ販売が可能なほか、違法コピーなどの防止が可能。さらに圧縮率を高めた「ATRAC3plus」も存在している。


 次回はiTunesやWindows Media Player、iTunes、Sonic Stageなどを例に、具体的な使いこなしについて触れてみたい。

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