三洋電機が9月に発売する「ス・ヤ・ヤ」は、業界初の「快眠プログラム」を搭載した電気掛敷毛布だ。睡眠のメカニズムに着目。寝床内の温度を制御することで、早く深く眠り、さわやかに起きるためのサポートをしてくれるという。真夏に電気毛布の話題も何だが、詳しい話を聞いてきた。
開発を担当した同社研究開発本部ヒューマンエコロジー研究所の藤原義久課長によると、「快眠プログラム」の開発にあたっては、就寝中の体温に着目したという。同社が考える快眠の条件とは、「すぐ眠れる」「ぐっすり眠れる」、そして「すっきり目覚める」の3点。これは、就寝時、就寝中、起床時といった時間帯によって変化する体温と密接な関係があるからだ。
快眠プログラムは、内蔵時計とプログラムタイマー制御により、寝床内の温度を上下させる。しかも強制的に体温を変化させるのではなく、「体温の変化をサポートする」のが特徴だ。
たとえば入眠時。人の体は末梢血管からの熱放散によって体温を下げつつ睡眠の状態に移行するのだが、このとき末端の手足は逆に暖かくなる。眠気とともに手足が暖かくなったように感じたり、逆に手足を温めると寝付きが良くなるのはこのためだ。「まず、床に入る1時間ほど前に通電し、自動速熱運転で温める。床につく頃には、34度前後の心地よい暖かさになっている」という具合。
もっとも、ここまでの動作は通常の電気毛布と変わらない。違うのは、一般的な電気毛布が一度設定した温度を維持し続けるのに対して、PC200/PDC200では就寝時に「おやすみスタート」ボタンを押すとゆっくり温度を下げ始めること。「就寝中は、体温や心拍数を下げて体を休息させるもの。寝床の温度が高いと体温低下を妨げてしまう」(同氏)。
コタツや電気毛布の温度が高い状態で寝入ってしまい、起きたら体がだるいといった経験は誰にでもあることだろう。これも体温低下を妨げたことの弊害だ。
一方、快眠プログラムでは寝床内温度を下げていき、その後も体内の温熱メカニズムを阻害しないように「適温センサーで室内の温度を検知し、寝床内温度を調整することで、暑くも寒くもない“温熱的な中性”の状態を保持する」という。このとき寝床内の温度は32度±2度に保たれる(ユーザー設定により基準温度が異なる)。
起床時間の少し前になると、快眠プログラムは寝床内温度を上げ始める。「覚醒時は、睡眠時と比較して体温が高くなる傾向がある。PC200/PDC200では設定した起床時刻の約30分前から温度を上げていき、体温の上昇をサポートする。これにより、すっきりと目が覚める」。起床時間の寝床内温度は38度前後。設定した起床時刻にアラームを鳴らす機能も備えた。
なお、夜中にトイレなどで目が覚めたときのために、速熱機能は快眠プログラムとは別に動作するようになっている。たとえば寝床を離れる際に「速熱」ボタンを押しておくと、しばらく高い温度を維持した後、自動的に快眠プログラムに復帰する仕組みだ。電気毛布の温度設定を気にせず、再び寝りにつくことができる。
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