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» 2005年10月21日 10時17分 公開

DVDレビュー:れこめんどDVD「オペラ座の怪人」 (1/2)

素晴らしい映像とともに音響面もハイクオリティに仕上がったDVD版「オペラ座の怪人」は、映画好きだけでなく、AVファンにとっても必携の1本。映画のスタイルさえ受け入れられるなら、今年ナンバーワンのDVDだ。

[本田雅一,ITmedia]

「オペラ座の怪人」

発売日:2005年8月26日
価格:3990円
発売元:アーティストフィルム/ギャガ・コミュニケーションズ
上映時間:143分(本編)
製作年度:2004年
画面サイズ:シネマスコープサイズ・スクイーズ
音声(1):ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/英語
音声(2):DTS/5.1chサラウンド/英語

 ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」。もし、そのタイトルで知られる物語のオリジナルが小説だとは知らない読者も、おそらくクリストファー・ロイド=ウェーバー作曲のミュージカルとしてご存知の方も多いのではないだろうか。ロンドンでのオリジナル公演はもちろん、ニューヨークや東京など世界各地での講演も大盛況を博し、大規模なシカケでダイナミックに劇が展開するメガミュージカルの偉大な成功例として今もロングランヒットを重ねている。

 そのオペラ座の怪人が映画化されたのは昨年の事。特に日本では大ヒットを記録した。また、ミュージカルの手法をほぼそのままに映画向けに若干のエッセンスを施した映画版オペラ座の怪人は、あるいはミュージカルに慣れない人にとっては違和感があるかもしれない。しかし、その素晴らしい映像とともに音響面もハイクオリティに仕上がったDVD版は、映画好きだけでなく、AVファンにとっても必携の1本と言える。映画のスタイルさえ受け入れられるなら、今年ナンバーワンのDVDと紹介したくなる作品だ。

ミュージカルそのままの演出に賛否両論だが

 オペラ座の怪人と言えば、現在はロイド=ウェーバー版のミュージカルが有名で、ヒロイン・クリスティーナとそのフィアンセ、それに怪人との微妙な三角関係を巡る悲恋の物語として知られている。

 クリスティーナに恋心を抱く怪人は、クリスティーナをプリマドンナにするため、オペラ座で様々な怪事件を起こし、ついに彼女はプリマドンナの座へと上り詰める。一方、クリスティーナも、見知らぬ怪人に対し歌の先生として憧れを心に宿す。ここに幼なじみの婚約者が絡み、三角関係が発展する中でとうとう殺人事件が……。

 登場人物の年齢設定は、クリスティーナが17歳、怪人は不明ながらおそらく30〜40歳ぐらいと見られる。ミュージカル版では、怪人とクリスティーナは親子愛にも似た雰囲気の設定で脚本が進むが、映画版の怪人は若々しく魅力的で力強い。二人の関係も親子ではなく、純粋な恋愛関係として描かれている。

 このためか、エミー・ロッサム演じる映画版クリスティーナは見る者のとらえ方によって“優柔不断で男を迷わす少女”に見えてしまう。このあたり、もう少しクリスティーナを魅力的に描けなかったものだろうか。と、やや疑問に感じる部分はある。

 またジェラルド・バトラーの怪人は、あまりに二枚目過ぎるという批判とロック調の独特の歌が作品に合わないという意見も聞く。しかし元々この映画はミュージカルであってオペラではない。そう考えればバトラーの怪人も、なかなか上手にオペラ座の怪人が描く世界を表現しているではないか。

 さて、脚本を細かく追い始めると、元々の原作が古典的小説なだけに、目新しさは少なく設定や展開の手法もやや陳腐に感じるだろう。有名な物語だけに、話の筋を楽しむタイプの映画ではない。そもそもオペラ座の怪人そのものが、本来は“怪奇殺人サスペンス”といった趣で、同じルルーが書いた“黄色い部屋の秘密”のように名作というわけでもない。

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