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ウォークマンの未来(後編)インタビュー(2/3 ページ)

» 2005年10月24日 01時04分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

長島氏:動画についてはリビングでの視聴が大きなウエイトを占めるので、ある意味、その主張は正しいと思います。ただ、音楽を外へ持ち出そうと言いだしたのはどこだ? という話もあります(笑)。ビデオを出先で視聴するという需要はまだ顕在化していないかもしれませんが、新しいスタイルを提案するというのはソニーの得意とするところですし、動画へ取り組むのであればそうした提案も含めてチャレンジしたいですね。

 ただ、そうした場合にはメディアの種類ごとのポータブルプレーヤーを取りかえるというのは不自然です。メディアコンバージェンスという考え方がありますが、機能をアドオンして1つのデバイスへ集約していくというデザインが必要になるかもしれません。

――「ポータブルビデオ」という考え方に沿った製品としては、PSPやロケーションフリーテレビ、PCVA-HVP20のようなビデオプレーヤーもありました(PCVA-HVP20は販売終了)。コネクトカンパニーとして、ポータブルビデオの関連製品・サービスを統合するようなプラットフォームも検討しているのでしょうか。

長島氏:ソニーとしてはPSPやウォークマンなどさまざまなブランド・製品・プラットフォームを用意しており、ユーザーへ多くの選択肢を提供しています。それらの連携や連動については、コネクトカンパニーとしてある程度は横断的な役割を担うべきではないかと考えています。

 ポータブル関連製品はコネクトカンパニーからしか登場しない、というのでは製品の幅を狭めてしまうことになりますが、ユーザーから見て製品やサービスがバラバラに見えてしまうようではいけないと思います。ソニーとしての総合力、ハワード(ハワード・ストリンガー 同社代表執行役会長兼グループCEO)のいう「ソニーユナイテッド」としての力をいかに活用していくかが重要になります。

photo ストリンガー氏が中長期経営方針説明会でかかげた「ソニーユナイテッド」のイメージ

新ウォークマンは“チャレンジ”

――新しいウォークマンの場合、コネクトというビジョンが「ソニーとしての総合力」にあたるかと思います。新製品はソニーとしての総合力を結実した「コネクトのプレーヤー」としてアピールするのですか? それとも「新しいハードウェアのポータブルプレーヤー」としてアピールするのですか?

長島氏:最終的には両方の魅力を理解して欲しいとは思いますが、どこに魅力を感じるかは人それぞれです。まずは分かりやすい、ハードウェアとしての魅力をアピールしたいです。

 「インテリジェントシャッフル」や「アーティストリンク」といった機能はもちろん、どのメーカーもチャレンジしてなかった50音順の検索機能も搭載しました。50音検索は、内部に漢字→カナ機能を実装することで、よりアーティストや曲名が探しやすくなりました。ライブラリーソフトも新しくなりましたから、実際に使ってもらえれば、申し上げてきた私たちのビジョンもお分かり頂けると思っています。

 もちろん、手にとってもらうため、デザインにも力を入れました。Eシリーズを踏襲した曲線を多用したデザインで、NW-A3xxx/1xxxはHDDというデザイン上の制約が多いデバイスを搭載しながらも曲線の多いデザインとしたのは大きなチャレンジではないかと思っています。

photo 「大きなチャレンジ」という曲線を多用したNW-A3000

 HDDは四角いですから、ラウンドフォルムの外観とするのはデザイン的に成り立ちにくいテーマなのです。しかし、“ぜひ一度手に取ってみて欲しい”という思いからあえてこのデザインを採用しました。

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