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第44回 人物の撮り方と写り方の関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/3 ページ)

» 2006年03月23日 15時13分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

顔を撮るときは広角ではなく望遠で

 人を撮る=顔を撮る、って一概に言えるわけじゃないけど、顔を撮るのは大事なこと。近寄って撮れば顔が大きく写る。

広角で撮影

 これは広角で近寄った場合。では、3倍ズームの望遠側でズームで近寄ってみよう。

3倍ズームで撮影

 たった3倍ズームでも全然違うのが分かるかと思う。ポイントは2点。まずは背景。背景の写る範囲がギュっと狭くなっているのに注目。広角だと背景全体が写っているけど、望遠だと背景の一部しか写ってない。それに背景のボケ方も大きい。

 もっと重要なのが「顔の形」。広角側だとなんとなく顔の真ん中が飛び出て丸く写ってるでしょ。これは広角側の特徴で、遠近感が強く出るのだ。比べるとおでこが広く見えたり顔が髪が少し後ろに回ってたりするでしょ。よくポートレートは望遠気味で撮ろうと言われるけど、理由はこんなところにあるのだ。

 特に広角だと左右上下の端が極端に写りやすい。だから、4〜5人並んで集合写真を撮るときは、顔が歪んで写りやすい端っこじゃなくて、きれいに写る真ん中で写ることにしてる、という人もいるらしいです。賢い。

 試しにもっと望遠(6倍くらい)で離れて撮ると写りはこう変わる。

 顔の立体感が減ってくるけど、その分小顔に写ったりして、背景も大きくボケる。コンパクトデジカメだと背景のボケ方も小さいけど、その場合は背景を選ぶといい。

 次は顔の角度に注目。どの角度で撮るといいかはどちらかというとその人次第ってところはあるけど、ちょっと斜めから撮った方が普通は立体感が出ていい。また、望遠にするほど背景はボケる。

かなり望遠で(10倍ズーム相当)撮ったので背景がきれいにボケてくれた

 斜めから撮るときの基本は、上のように背中を構図の端にもってきて、顔の前あたりを空けること。よく言われることだけど、確かに背中側に空間があるとそこが無駄になっちゃうのだ。

 ここでフラッシュを軽く焚いちゃうと手もある。そうするとフラッシュによる光の点が目の中に写り込むから……キャッチライトと呼ばれるんだけど、昔の少女漫画に欠かせなかった目の中の星みたいなもので、目がきれいに見える。

 ではこれを縦位置で撮ってみよう。人間の身体は縦に長いから、縦位置にすると顔も身体もしっかり撮れるし、構図も作りやすい。

 PCの画面は横長なので画面で見るときを考えて横位置で撮ることが多いという人もいるだろうが、まあそんなこと気にしないで縦位置でも撮りましょうよ、とわたしは思う。その方が面白い写真ってことも多いし。

 そうそう、彼女の位置を中心からズラすときは、ピントに注意。多くのカメラは画面の中心にピントを合わせたがるため、中心にメイン被写体がない&背景の方がピントが合いやすいからだ。

こんな風にピントがズレがち

 空や肌のように滑らかなものよりは木々やビルなど細かなもの、暗いところより明るいところの方がピントが合いやすいという傾向がある。例えば、背景には日差しが当たってて明るく、人物はちょっと影になってるなんてときは背景にピントが合いやすくなる。

 特にちょっと前のデジカメはピント合わせがあまり賢くなかったので、よく背景にピントが合ってしまったものだ。最近のデジカメは結構大丈夫だけど、できるだけ、いったん被写体を中央に置いてシャッターを半押しにしてピントだけ合わせ(フォーカスロックと言う)、そのあとでカメラをちょっと動かして構図を決め直して撮るのがいい。

 アップで撮るときは顔や身体の一部が切れちゃっても平気なので大胆に寄ってみよう。

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