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わずか54グラムの「空中マウス」が変える出張プレゼンの世界プロフェッサー JOEの「Gadget・ガジェット・がじぇっと!」(1/3 ページ)

» 2006年10月26日 14時47分 公開
[竹村譲,ITmedia]

 広範囲な「コミュニケーション・スキル」の範疇(はんちゅう)に含まれる「プレゼンテーション・スキル」というパフォーマンスは、企業が人を採用する際の判断基準の1つの重要な要素にもなっている。

 もちろん、採用を検討している職種にもよるが、人に難解な事象を優しく解説し、理解や賛同を得ることは、言葉を交換し、絵や図から内容を読み取ることのできる人間同士のコミュニケーション機能の基本中の基本だ。その対象が、クライアントの購買部門の人間であれ、上司でやエクゼクティブであれ、チャーミングな彼女であっても基本は全く同じ「常に優しい解説と聞き上手な姿勢」だ。

 自分の陣地内で行うプレゼンテーションは、あるモノすべてをかき集め、PCやLCDプロジェクターなどプレゼン・ウエポン機器を最大限活用して行うことができる。だが、モバイル環境で行うビジネスプレゼンテーションは、関ヶ原ライクな状況でもない限り、できる限り効率的かつライトウエイトなスタイルで行いたいのが、モバイル人種の人情というものだろう。

 モバイルPCを活用したモバイルプレゼンテーションを行うことは、もはやビジネスピープルの一般常識だ。片手で扱えるケータイ電話のEメールワールドへの参入は、好む好まざるにかかわらず、歩きながらでも、食事をしながらでもEメールによるリモートコミュニケーションを可能にした。

 しかし、生まれながらプレゼンテーションを主たる目的としていないケータイ電話によるモバイルプレゼンテーションは、それなりにモバイルPCによるプレゼンテーションより構成上、複雑になることが多いようだ。

 モバイルプレゼンテーションはモバイルPCかケータイか?! そんな問題に経験的な正解が登場する前に、またしても筆者の目の前に新しい選択肢が現れてしまった。Gyration社の販売する通称「空中マウス」(商品名:「Air Mouse PRESENTER with Built-In Memory」)がその製品だ。

簡単なブリスターパッケージだが、199ドルと、かなり高額な「空中マウス」

 ハンギングのブリスターパッケージで販売されるには少し値の張る「空中マウス」(約200ドル)は、筆者愛用のデジタル秤(はかり)で実測たったの54グラム。普通のモバイルビジネスピープルがモバイルプレゼンテーションに使用することの多いThinkPad X60sの20分の1以下の軽さ、先月ご紹介したケータイプレゼンの代表、WILLCOM社のW-ZERO3esプレゼンセットの10分の1だ。

重さはたったの54グラム、限りなく「手ぶらプレゼンテーション」に近い
筆者の過去最高記録の軽量プレゼンキット(W-ZERO3esによるプレゼンキット)

 この手の商品は、種々のワイヤレステクノロジーを使用して、モバイルPC上のパワーポイントなどのプレゼンテーションソフトを遠隔からリモートコントロールする製品が市場の先駆者だ。

最近流行のプレゼン専用リモコン(手前)と空中マウス(奥)。構造はそっくり

 筆者が長く愛用しているLogitech社のプレゼンテーション専用のリモコン装置もその中では一番の秀作商品だ。リモコン装置本体には、モバイルPCに接続する受信用のUSBが収納され、手元で操作するリモコン装置側には小型の液晶表示画面や複数の便利な操作ボタンが搭載されている。

 レーザーポインター機能もあり、液晶画面にはプレゼンテーターが予めセットしたプレゼンテーションの残り時間が表示され、終了時間間近になると、バイブレーションで知らせてくれる優れものだ。

 唯一の弱点は、受信用USBにストレージ機能が搭載されていないために、プレゼンテーションデータは別途、USBメモリなどで携帯する必要があることと、手元のリモコン装置に基本的なマウスの「ポインティング機能」がないことだ。

 昨今は、これらの機能を補強、改善が施されたモノも種々のメーカーから登場して来てはいるが、マウスのポインティング機能が扱い辛かったりといった問題もあり、実用的な域にはなかなか達していない製品が多いのが残念だ。

 ところがこの空中マウスは、この辺りの問題点をおおよそすべて解決している優れモノだ。

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