ITmedia NEWS >

8ユニットでナチュラルなサラウンドヘッドフォン――ノバック「HP-850XB」レビュー(2/2 ページ)

» 2007年01月05日 17時34分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ヘッドフォンの装着感はソフト

 ハウジングもかなり大きめだが、イヤーパッドは柔らかめであり、クランプ圧も弱め。重量の割にはあまり装着時の圧迫感は感じられないが、重量バランスの関係か、頭を傾けるとややトップヘビーな感覚も受ける。ただ、イヤーパッドの形状のためか、側頭部へ均一に力がかからない(耳の後ろに空間ができる)のは改善して欲しい部分だ。

photophoto

 密閉型ではないので遮音性は期待できないが、一般的な音量にしている限り、周りに迷惑をかけるほどの音漏れはない。それでも拳銃の発砲音や爆発音など、瞬間的に大きくなる音はそれなりに外へ漏れるので、周囲への配慮が必要になることもあるだろう。

photo

 今回試聴に選んだコンテンツは、人気スパイアクションシリーズの最新作「M:i:III」(DVDレビューはこちら)。SPDIFを備えた自作PCに接続した。各種のパラメータはすべてデフォルト、サラウンドモードは「シネマ」を選択した。

 序盤のヘリコプターを使った脱出シーンでは、上下左右へ自由自在に音が動く――いわゆるサラウンド感はしっかり出ていて、いきなり画面に引き込まれる。開放型ヘッドフォンでは重低音の迫力に欠けるケースも見受けられるが、十分な音圧も感じられ、追っ手のヘリが墜落するシーンでは、ズッシリと響く音が楽しめる。

 ただし、実際にスピーカーを設置する場合に比べると、定位感は薄い印象を受ける。特にその印象を強く受けたのが、ストーリー中盤の橋の上での銃撃シーンだ。

 そのシーンでは、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントが画面奥から手前にダッシュ、背後でミサイルが爆発を起こす場面があるが、数分前のシーンで、飛行機が画面の左右を横切った際に比べて、どうしても迫力不足に感じてしまう。フロントスピーカーが眼前に位置していない(これはヘッドフォンである以上仕方ない)ため、左右に比べて前後の音の移動がどうしても弱く感じてしまうのだ。

 サラウンドモードには「シネマ」のほか「ゲーム」が用意されている。同社によれば、シネマは「広がりのある5.1ch音場空間を臨場感豊かに楽しめる」モード、ゲームは「家庭用ゲームなどの立体的な5.1ch音場空間でリアルに体感プレイできる」モードとなっているが、DVDを試聴しながらだと、スイッチを切り替えた瞬間にそれと分かるほど極端な違いはない。

 「シネマ」の方がリバーブの効いた残響感重視のセッティングとなっているようだが、音に変化が欲しいときには各スピーカーないしサラウンド効果の調節を行う方が効果的だった。前述の前後定位感に乏しいと感じたシーンでは、センターをプラス5、フロントスピーカーをマイナス5としてみたところ、かなり前後の奥行きが感じられるようになった。

photophoto ボリュームボタンを押すとセンターやフロントの音量が調整できる

コストパフォーマンスは◎、ワイヤレス化を期待

 用途をDVD視聴と想定して試用してみたが、「8スピーカー搭載」という“力ワザ”システムの割(失礼)には、全体的には自然なサラウンド音場を楽しめた。サラウンド感はあくまでもソフトであり、アタマのまわりをグリグリと回るような感覚を求めるユーザーには物足りないかもしれないが、筆者を含む自然な臨場感が好みというユーザーには好感の持てる音場を作り出してくれる。

 AACには非対応なので、デジタル放送の視聴に利用できないのは残念。DTS非対応なのも、最近のDVD事情を考えればマイナスポイントだが、この値段(実売価格は1万7000円前後)でこの内容ならば十分に及第点だろう。ただし、最近ではサラウンドヘッドフォンといえば取り回しの容易なコードレスタイプが主流。そこは次製品へのリクエストとさせてもらいたい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.