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5万円の贅沢、クリプシュ「RB-51」でホーンサウンドに親しむ(1/2 ページ)

» 2007年04月20日 16時48分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
photo 「RB-51」。外形寸法は165(幅)×290(高さ)×273(奥行き)ミリ。高さとあまり変わらない奥行きがあり、ブックシェルフ型とはいえ設置場所は少し選びそうだ。カラーは「ブラックアッシュ」のみ。重量は約5.5キロ

 米Klipsch(クリプシュ)の「RB-51」は、数ある同社製スピーカーの中でも手軽な価格とサイズのブックシェルフ型スピーカーだ。ホームシアター向けの「リファレンスシリーズ」ではエントリーモデルに位置づけられるため、リアやプレゼンス用のスピーカーとして捉える人も多いだろう。しかし、その紛れもないホーンサウンドは、ピュアオーディオ入門機としての素養を示している。

 日本ではあまり知られていないが、クリプシュは米国でシェアNo.1を維持する老舗のスピーカーメーカーだ。独自の形状を持つホーンスピーカー「Tractrixホーン」でコアなファン層を抱える一方、映画館用のスピーカーでは約50%(米国内)のシェアを持ち、あの「ハードロックカフェ」のオフィシャルスピーカーにも採用されている。

 ホーン型スピーカーは、高い効率と指向性を持ち、歯切れの良い音が特徴。一方で空気の流れが滞る“ホーン鳴き”という弱点もあるが、クリプシュのスピーカーは造船工学に用いられるトラクトリクス(追跡線)を応用してそれを抑えた。水を切って進む船底の形状が空気の流れをスムーズにするというのは説得力のある話だ。

 RB-51にも、もちろんTractrixホーンが採用されている。ドライバーにはチタンダイアプラムを用い、後部にアルミ削りだしのラジエーターを装着して放熱効果と耐久性を向上させた。一方のウーファーは、アルミニウム振動板にセラミックコーティングを施した“セラメタリックコーン”と呼ばれるもの。すべてのユニットに金属製の振動板を使用することで、効率の良いホーンスピーカーとのバランスをとった。92dBという高い能率は、ホーンスピーカーを軸に全体の特性を揃えた結果といえる。

photophoto 15センチ角のTractrixホーンに2.5センチ径のチタン・コンプレッションドライバーを組み合わせた(左)。13センチ径のウーファーはセラメタリックコーンを採用。クロスオーバー周波数は2.0kHz。インピーダンスは8オーム(最低3.5オーム)
photophoto 背面にはバスレフポートとケーブル端子。バイアンプ駆動には対応していない。防振ゴムが付属する

 また、新しいリファレンスシリーズ共通の強化ポイントとして、銅製センターキャップの採用とキャビネット内部の補強桟が挙げられる。そのアプローチを一言でいえば強度アップ。センターキャップで振動板がより大きな入力に耐えるようになり、キャビネットの剛性向上により不要振動を抑える。人間にたとえるなら、基礎体力の向上といったイメージで、地味ながらも好感が持てるアップデートだ。

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