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» 2007年04月26日 12時50分 UPDATE

デジモノ家電を読み解くキーワード:MPEG-4(3)――動画のクオリティを決定づける「プロファイル」と「レベル」

前回はMPEG-4に採用された概念「コンテナ」について説明した。今回は、そのコンテナにどのようなコンテンツを詰め込むか規定する「プロファイル」と「レベル」について説明する。

[海上忍,ITmedia]

MPEG-4のレシピ、「プロファイル」と「レベル」

 MPEG-4という規格は、幅広い環境での利用を前提に策定されている。PC上で動作するアプリケーション、携帯電話や小型機器上のICに搭載された組み込みソフトウェア、あるいは光学ディスクとその再生機器など、用途もさまざまだ。

 ピクセル数やフレームレート、ビットレートといった動画としての仕様は、「プロファイル」と「レベル」という概念で細かく規定され、その範囲内で使用されることになる。同じ食材から作った料理もレシピが違えば味が変わるように、MPEG-4動画のクオリティはプロファイルとレベルに大きく左右されるのだ。

photo レシピが変われば味も変わることは料理もMPEG-4も同じ

 MPEG-4の「プロファイル」は、動画に使うことが許された技術仕様の組み合わせのこと。ISO14496-2(通称「MPEG-4 Part2」)では数多くの種類が規定され、それぞれ用途に応じて活用されている。一般的な傾向として、比較的ベーシックな技術のみ用いるプロファイルは処理負担が軽く、非力なハードウェアでも対応できるが、高度な技術を利用できるプロファイルは高画質を得られる半面、高い処理能力を求められる。

 もう1つの「レベル」は、映像の品質を決めるパラメータのこと。画面の大きさ(ピクセル数)や最大フレーム数、ビットレートの最大値など、動画エンコード時に指定できる仕様の範囲が決められている。L1やL3のように略されることが多く、前述したプロファイル(例:Simple Profile=SP、Main Profile=MP)と組み合わせ、「SP@L1」(Simple ProfileのLevel 1)、「MP@L3」(Main ProfileのLevel 3)といった要領で表記されることが一般的だ。

 前回説明したコンテナとプロファイル/レベルが一致すれば、動画ファイルとして互換性があると判断できるが、MPEG-4 Part2が定める規定は幅が広く、ハード/ソフトウェアが変われば互換性がないことも多い。たとえば、iPodが対応するMPEG-4 H.264/AVCムービーのプロファイル/レベルは「BaseLine Low-Complexity」または「BaseLine Profile Level 1.3」だが、PSPの対応するMPEG-4 H.264/AVCムービーのプロファイル/レベル「Main Profile Level 3」。コーデックは同じH.264/AVCでも対応するプロファイル/レベルが異なるため、互換性は失われてしまうのだ。

-- iPod(その1) iPod(その2) PSP
プロファイル BaseLine BaseLine Low-Complexity※ Main
レベル 1.3 ―― 3
映像ビットレート 768Kbps 1.5Mbps 10Mbps
フレームレート 30 30 30
画像サイズ 320×240 640×480 720×480
※:AppleがiPod用に定めた独自のプロファイルで、H.264/AVC規格では定義されていない

 自分のMPEG-4対応機器がどのプロファイル/レベルをサポートするかは、結局のところ搭載されたソフトウェアや再生(デコード)用チップの種類で判断するしかない。iPodやPSPのようなメジャーな機器は、エンコードソフトのベンダーやユーザコミュニティに情報が蓄積されているが、それ以外の比較的マイナーなMPEG-4再生機器を購入する場合には、対応するプロファイル/レベルの情報を事前に収集しておいたほうが失敗は少ないだろう。

執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)

ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。


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