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新スタンダード、ノイズキャンセル搭載のカードウォークマン「NW-S715F」レビュー(3/3 ページ)

» 2007年09月26日 08時30分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 動画/静止画の再生/表示についてもAシリーズと同等だ。ホームメニューからビデオライブラリ/フォトライブラリを選択した後に任意の動画/静止画を選んでやればよい。画面表示は縦/横(右手用)/横(左手用)の3種類から選択できる。動画については自身で加工/転送したファイルもビデオポッドキャストもおすすめ動画配信サイト集から入手したファイルも同一ディレクトリで表示される。

 動画については「タイトルのみ」「サムネイルあり」「サムネイルなし」と3種類の表示パターンが選択できるが、それ以外のソート/表示切り替え機能は用意されていない。シンプルなインタフェースであり利用に際して迷うことはないが、日々ファイルが追加されていくビデオポッドキャストを日常的に視聴するひとも増えているはずで、ビデオポッドキャストだけを表示させる画面、あるいは表示方法が用意されてもよかったように思える。

photophotophoto 「ビデオライブラリ」をサムネイルありの状態で表示。自身で撮影した映像もビデオポッドキャストもP-TVから入手した映像も区別されずに表示される(左)、静止画のサムネイル表示画面(中)、動画/静止画のいずれも縦位置のほか左右90度の回転が可能。なお、左右へ回転させた場合はプログレスバーの操作ボタンも入れ替わる(右)

 静止画は1画面に3×4のサムネイル表示が可能。試しに100枚ほどのデジカメ画像を転送してみたが、サムネイルも写真そのものの表示もスピーディー。画面表示(ローディング)に待たされる感覚はない。液晶は1.8インチ/QVGAなのでフォトビューワーとしては貧弱といわざるを得ないが、スナップ写真を人に見せる程度ならば十分だ。

ノイズキャンセルは効果大

 本製品の大きな特徴がノイズキャンセル機能の搭載だ。イヤフォンに内蔵されたマイクで周囲の騒音を集め、その音に相反する波形(逆相位波形)を生成して、イヤフォンからから出力することで外部からのノイズを低減する逆位相型の仕組みが採用されている。

photophotophoto ノイズキャンセルスイッチ(左)。本機能を搭載するためヘッドフォンにはマイクが搭載されており、端子は一般的な2極ではなく5極式(中、右)

 効果として同社ではシリーズ前製品と同様の「周囲の騒音を1/4に低減」とうたっており、その効き目は相変わらず高い。地下鉄車内の運転音やエアコン、PCファンの動作音まで、日常生活で感じられるノイズのかなりの部分をカットしてくれる。スイッチを入れた瞬間に一瞬音がとぎれ、ダイナミックレンジが狭くなるような感覚を覚えるが、他社同種製品に比べると音質変化は低く抑えられている。

 無音時のノイズ(ヒスノイズ)も低く抑えられているほか、音楽をはじめ動画やFMラジオの再生時にも有効。なによりもON/OFFスイッチがハードウェアとして独立しているので、電池の消耗を抑えたいときやノイズキャンセルによる音質変化を好ましくないと感じるときにはすぐさまOFFにできるのはありがたい。

photophotophoto 「ホームメニュー」の「設定」にはノイズキャンセル機能の効果を設定する項目も用意されている。かなり細かな調整が可能だ(左)、「設定」からは画面輝度やAVLS(音量制限)の設定も行える(中、右)

ウォークマンの新スタンダードとなるか

 肝心の音質だが、イヤフォンには13.5ミリドライバー搭載したこともあり、高音から低音までをスムーズに再生する。ウォークマンらしいというか、高音の繊細さや伸びよりも、低音の迫力や再現性を重視する傾向にあることは否めないが、外出時の利用を念頭におくならばそうした味付けも理解できる。

 一般的な3.5ミリステレオピンジャックを備えるイヤフォンも利用可能なので(当然だがノイズキャンセル機能は利用できなくなる)、同社製品「MDR-EX90SL」を組み合わせてみたところ、高音部の繊細さが表面化し、極めてバランスのよい音に変化した。

 前作にあたるNW-S700シリーズはノイズキャンセル機能はもちろん、その音質も高いレベルにあったが、特徴的なスティック型のフォルムは好みが分かれるところだった。また、そのスタイルのためにどうしてもディスプレイは小型にならざるを得なかった。

 本製品は前作の特徴と基本性能はそのままに一般的なカード型へフォルムが改められ、同時にディスプレイも大型化され、より広くのユーザーへアピールできるようになった。先に登場しているNW-A800シリーズとの機能は小さく、差別化をどのように行っていくかは疑問だが、価格も2Gバイトモデルで1万7000円前後と手ごろであり、ウォークマンの新たなスタンダードとして存在感を放つ製品といえるだろう。

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