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» 2008年01月17日 08時30分 UPDATE

「ダビング10」とは何だ――MIAUがシンポジウム (1/2)

インターネット先進ユーザーの会(MIAU)がコピーワンスからの移行が目されている「ダビング10」についてシンポジウムを開催した。「賛成反対ありではなく、基本的な情報を共有したい」というスタンスのもと、出席者が意見交換を行った。

[渡邊宏,ITmedia]
photo シンポジウムの出席者。左からAV機器評論家・コラムニストの小寺信良氏、オーディオ&ビジュアル評論家の増田和夫氏、主婦連合会の河村真紀子氏、上武大学大学院教授の池田信夫氏

 インターネット先進ユーザーの会(Movements for Internet Active Users:MIAU)は1月16日、「ダビング10」に関するシンポジウム「MIAUシンポジウム〜ダビング10について考える〜」を開催した。「賛成・反対ありではなく、基本的な情報を共有したい」というスタンスのもと、出席者がダビング10についての意見交換を行った。

 地上デジタル放送などに用いられている著作権保護「コピーワンス」に関する見直し気運が高まり、「情報通信審議会 情報通信政策部会 デジタル・コンテンツ流通の促進等に関する検討委員会」では、議論の結果、ムーブ1回+1世代コピー9回のダビング10の採用を提案するに至った。

 「ダビング10」という名称はJEITA(電子情報技術産業協会)が昨年10月に決定したものだが、PCやレコーダーなどの録画機器を製造するメーカーもこの「ダビング10対応予定製品」を発売しており、コピーワンスからダビング10への移行は既定路線ともいえる状況だ。

 しかし、一般の利用者からすれば「気が付いたらコピーワンスからダビング10」という感覚であり、移行の是非やダビング10そのものについて判断する材料は非常に乏しい。

「B-CASは明確な独占禁止法違反だ」

photo 上武大学大学院教授の池田信夫氏

 「なんでこんなことになってしまったのか」――。ダビング10の前提にある放送の特質について説明した池田氏は声を荒げる。

 池田氏は地上デジタル放送の管理システムとして導入されているB-CAS(BS Conditional Access Systems)について、本来は有料放送のコントロールに利用されるべきこのシステムが一般放送に導入されていることそのものが根本的な間違いだと指摘する。

 B-CASは2000年12月にBSデジタル放送を対象として稼働開始しているが、当初は有料放送に対するアクセスコントロールを想定し、利用されていた。しかし、池田氏によれば1998年ごろには既に100億円近い予算でシステム構築が開始されており、その投資を回収するために適用範囲を拡大し、無料放送である地上デジタル放送にも適用されたという。

 その経緯も池田氏は問題視するが、さらに大きな問題点が2つあるという。ひとつは視聴者不在のシステムであること、もうひとつは誰に対しても説明責任を負わずに運用されていることだ。B-CASはビーエス・コンディショナルアクセスシステムズという私企業が運営しているうえ、収集している個人情報は膨大な量にのぼっている。この行為を池田氏は「なんら法的根拠もない、明確な独占禁止法違反だと」と指摘する。

 「まずは公正取引委員会がビーエス・コンディショナルアクセスシステムズへ排除勧告をすること。話はそこから始めなくてはならない」(池田氏)

ダビング10は放送事業者と権利者がEPNを許さなかったから

photo 主婦連合会の河村真紀子氏

 河村氏からは委員会に参加した委員という立場から、ダビング10に至るまでの経緯が説明された。この経緯に関しては以前の記事(対談:小寺信良×椎名和夫)にて日本芸能実演家団体協議会常任理事の椎名和夫氏が説明したものと同一だが、河村氏の発言で興味深いのは「放送事業者からEPNを受託するような雰囲気は感じられなかった」という部分だ。

 コピーワンスの見直しが開始された際、JEITAがEPNを提案したことは既に多く触れられているが、放送事業者と権利者側はコンテンツ自身にコピー制御の仕組みが含まれないEPNに反対、COG(Copy One Generation)の維持を主張し、議論はこう着状態を続けたという。そこで「デジタル・コンテンツ流通の促進等に関する検討委員会(以下:デジコン委員会)」が設立されたが状況は変わらず、EPNを推進するJEITAと、無制限の複製を許すEPNは許せないという放送事業者・権利者という対立は解消されなかった。

 第5回のデジコン委員会にてインテルが出席し、最初のコピーをCOGステータスで書き込めば、複数枚数のコピーが可能(COG蓄積)であることが示され、落としどころとしてCOG蓄積へと話は加速していった。委員会はこう着した状態を打破できるのはCOG蓄積しかないという雰囲気が漂い、「消去法でコレしかないという雰囲気になっていた」(河村氏)。COG蓄積で指摘される、“世代を超えてコピーできない”という問題点については「一切話は出なかった」という。

 「なぜダビング10になったのか。それは放送事業者と権利者代表委員がEPNの選択肢を許さなかったからだと考えます」(河村氏)

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