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» 2008年03月05日 12時26分 UPDATE

山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.9:ビクター「DLA-HD100」で見るBD「ブレードランナー」の漆黒の闇 (1/2)

1980年代SF映画のマイルストーンともいうべきリドリー・スコット監督の「ブレードランナー」。その米国版BDをビクター「DLA-HD100」で観て、この映画のプロダクション・デザインの素晴らしさとリドリー・スコット監督が提示するダークでノワールな世界観に改めて深く感じ入ることとなった。

[山本浩司,ITmedia]

 1980年代SF映画のマイルストーンともいうべきリドリー・スコット監督の傑作「ブレードランナー」(1982年)。その製作25周年記念盤のBlu-rayディスクが「5 Disc COLLECTOR'S EDITION」として昨年暮れにアメリカで発売された。

 この映画、劇場公開時にはさほど騒がれなかったのだが、LD(レーザーディスク)時代からそのサイバーパンク感覚がAVファンにことのほか愛され、ぼくも4対3のトリミング版から始まってディレクターズ・カット版、米国発売のCAV盤など数種類のLDを買った記憶がある。

 そういえばその昔、初対面の竹中直人さんが「ブレードランナーのLDが初めて出たとき、すごい貧乏でプレーヤーが買えなくて、でもどうしても欲しくて。ディスクだけ買って毎晩寝る前にジャケットをためつすがめつ(いろいろな方向からよく見ること)していたことがあるんです」という話をしてくれたことがある。ぼくはその話に静かに感動し、この人と絶対トモダチになりたいと思ったものだった。

photo 国内で販売する予定の「ブレードランナー」BD盤。発売元はワーナー・ホーム・ビデオ。価格は4980円。昨年末に発売延期が発表され、まだ正式に発売日はアナウンスされていない

 日本でも昨年暮れに5枚組のDVD「製作25周年記念アルティメット・コレクターズ・エディション」が発売されたが、米国版と同仕様のBD盤は登場していない。アルティメット・コレクターズ・エディションに収録されている「ファイナル・カット」版のBD盤のみ、昨年暮れに日本でも発売される予定だったが、なぜか発売延期になり、いまだに店頭に並ぶ日が正式にアナウンスされていない状況だ。

 先月、ぼくは遅まきながら米国版BDの「5 Disc COLLECTOR'S EDITION」を入手。ハイビジョンの高精細映像で観て、この映画のプロダクション・デザインの素晴らしさとリドリー・スコット監督が提示するダークでノワールな世界観、男ごころをくすぐるセンチメンタリズムに改めて深く感じ入ることとなった。

 米国版BDの「5 Disc COLLECTOR'S EDITION」の構成は以下の通り。ディスク1は先述した2007年ファイナル・カット版、ディスク2は「デンジャラス・デイズ」と名付けられたメイキング映像が収められ、ディスク3には、本作の米国オリジナル劇場版、インターナショナル劇場版(1982年の日本上映ヴァージョン)、ディレクターズ・カット最終版の3種類の「ブレードランナー」が収録されている。ディスク4は、エンハンスメント・アーカイブ、ディスク5はワークプリントである。

 忘れずに書いておくが、ファイナル・カット版BDには、ロスレスコーデックのドルビーTrue HD 5.1ch音声と日本語字幕が付いている。クォリティ追求派の日本のAVファンにはとてもありがたい仕様だ。BDはDVDと違って米国盤専用プレーヤーを用意する必要もなく、こういうディスクを前にすると、国内盤を待つこともないよなあ、とつい思ってしまう。

 ハイビジョンの凄さを実感させる、キレのよい高精細な映像が全編で楽しめるが、フィルムレストレーション(修復)、テレシネ(フィルム/ビデオ変換)ともにひじょうに注意深く行なわれており、80年代アナログSF映画のムードを濃厚に感じさせる、フィルム粒子を残したざらついた画調も、本作の魅力をより際立たせている印象だ。

 そんなわけで、最近さまざまなAV機器をチェックする機会にこのファイナル・カット版のBDを持参するのだが、なるほどこれは凄いとぼくをおおいに感動させてくれたのは、ビクターのD-ILAプロジェクター「DLA-HD100」がスクリーンに映し出した大画面映像だった。

“よく沈む黒”が進化した

photo ビクターの「DLA-HD100」

 ビクターDLA-HD100は、昨年11月に発売された、同社オリジナル表示デバイスD-ILAを使ったビデオプロジェクター。D-ILAとは、黒再現に有利な垂直配向のLCOS(リキッド・クリスタル・オン・チップ=反射型液晶)表示素子である。

 本機は、昨年1月に発売され、そのよく沈む黒が話題を呼びヒットを飛ばした「DLA-HD1」がベースになっている。200ワットの高圧水銀ランプ、フジノン製アルミ鏡筒オールガラスレンズもHD1と同じものが採用され、レンズシフト機能の可変量(上下80%、左右34%)も同様。手動だったズーム(2倍)&フォーカス調整が電動化され、リモコンでやれるようになったことが目につく機能面での最大の違いである。

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