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不思議な“ガラス管”スピーカー、ソニー「Sountina」の秘密(1/2 ページ)

» 2008年05月28日 18時35分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ソニーが5月28日に発表したスピーカーシステム「Sountina」(サウンティーナ)は、ルックスも音もユニークだ。高さ185センチの円筒形で、上半分は透明なガラス管。しかも近くに立っていても、離れていても同じような音量で聞こえるという、なんとも不思議な特性を持っている。

 開発を担当した同社オーディオ事業本部ホームオーディオ事業部技術部スピーカー設計2課のアコースティックマネジャー、道下政美氏にその秘密を聞いた。

photo 「Sountina」と開発を担当したソニーオーディオ事業本部、ホームオーディオ事業部技術部スピーカー設計2課の道下政美アコースティックマネジャー。「Sountina」は6月20日に発売予定、価格は105万円

――ガラス管がツィーターの振動板代わりになるというのはユニークですが、そのメリットは何でしょう

 見た目の印象が独特ということもありますが、特徴的なのはスピーカーの近くで聴いても、遠くで聴いても、同じように聞こえることです。

photo ソニー本社ビルの中二階からロビーをみおろしたところ。こんなに離れても音が聞こえる。しかし、すぐ近くにいっても音が大きいというほどではなかった。とても不思議な感覚だ

 通常のツィーターは、振動板が小さいため、音圧を上げると単位面積あたりにかかる力はとても大きくなります。しかし、今回は高さ1メートルもある大きなガラス管です。振動板の面積は通常の約200倍。音圧はさほど高くなくても、全体としては大きなエネルギーを生み出します。このため音は遠くまで届きますが、近くで聴いてもうるさくないのです。

photophoto 有機ガラス管は高さ約1メートル。その下にある4本の柱に加振器が入っている。柱の上は下向きに設置されたミッドレンジスピーカーだ

 有機ガラス管の下にいくつかの柱が見えますが、ここに加振器が入っていて、それぞれ独立してガラス管を駆動します。駆動方向に対して音の出る方向が垂直になっているため「バーティカルドライブテクノロジー」と呼んでいますが、重量のあるもの(ガラス管)を動かすので、とても力の強い素子を使用しています。

――資料にある“有機ガラス”とは何ですか?

 普通のガラスは無機ガラスですが、Sountinaでは高分子樹脂素材を使用しています。もし倒れたとしても割れにくく、壊れた場合も通常のガラスのように飛散しません。もちろん、ガラス管のサイズや素材は、安全性とともに音のバランスを考えて選んだものです。

 システムとしては3Wayになっていて、ガラス管の下にミッドレンジスピーカーが下向きに配置されています。ガラス管は、そのキャビネットを兼ねているわけです。また、円筒形のボディには、ウーファーと各チャンネルそれぞれのデジタルアンプ、DSPなどの回路を内蔵しました。

――ガラス管の再生周波数をおしえてください

 残念ですが、詳細は非公開です。スペック表にある50〜2万Hzというのはシステム全体の数値になります。同様に、内蔵するデジタルアンプの出力なども公表していません。

型番 NSA-PF1
形式 バスレフ型3Wayアクティブスピーカー
ユニット 有機ガラス型ツィーター、7センチコーン型ミッドレンジ、13センチコーン型ウーファー
入力端子 アナログピンジャック、同軸デジタル、光デジタル
外形寸法 約325(幅)×325(奥行き)×1845(高さ)ミリ
重量 約12.5キログラム
付属品 電源コード、クリーニングクロス、リモコンなど
発売日 6月20日
価格 105万円

――ガラスを円筒形にした理由は?

 周波数の高い音は指向性も高く、(周波数の)低い方はもともと広く放射されるものです。ツィーターを円筒形にすると360度全方位に音が放射されますから、それぞれの特性を合わせることができます。こうして1本のスピーカーで全方位に音を届けることが可能になりました。

 広い部屋やロビーなどにSountinaを設置すれば、その空間にいる多くの人に心地よい音を届けることができます。しかもスピーカーの近くを歩いている人も快適です(うるさくない)。

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