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HDMIでテレビがネットにつながると? シリコンイメージの「LiquidHD」をひもとく2009 International CES(2/2 ページ)

» 2009年01月20日 14時25分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 LiquidHDのプロトコルスタックには、ネットワーク内の対応機器を自動的に見つけて接続する「Liquid Discover」、機器の画面を圧縮して伝送するリモートUI「Liquid Pixels」、リモコンの操作コマンドをやり取りする「Liquid Control」、そして映像や音声、ゲーム画面などを伝送するためのストリーミング技術「Liquid Media」が含まれる。これらの下層にはセキュリティ技術の「LiquidPlay」があり、機器間のやりとりをすべて鍵暗号化する仕組み。

photo LiquidHDのプロトコルスタック。すべてTCP/IPよりも上のレイヤーに位置する「ミドルウェアに近い位置づけ」のため、物理ネットワークは問わない。HDMIもその1つになる

 「セキュリティに関しては、20世紀FOXなどのハリウッドスタジオにも全面的な支持を得ている。前述のようにコンテンツプロバイダーであるCATV会社がLiquidHDを支持したのも、このセキュリティ技術の存在が大きい」(同氏)。

photophoto 画面下部に同一ネットワーク内にある機器のアイコンが並ぶ。アイコンは各機器のメーカーがデザインや表示する文字を作り込むことができる(左)。対応機器はcoax(同軸ケーブル)や無線LANなどさまざまな手段で接続していた(右)

 使い方も非常に直感的だ。LiquidHD対応のテレビを立ち上げると、画面下部に同一ネットワーク内にある対応機器のアイコンが並ぶ。ユーザーが操作したい機器を選択して決定すると、対象機器のUIが立ち上がり、あとはリモコンで操作するだけ。操作対象機器が電源オフ状態だったときのためにWake on LAN(ネットワーク経由で電源を入れる機能)などの機能も備えている。

 デモンストレーション用に準備されたリビングや書斎、ベッドルームを模したセットの中で、それぞれの部屋に置いた機器を別の機器から操作してみた。実際に試用した感覚はDLNA機器と似ているが、画面は機器オリジナルのUIそのままだ。それだけ操作できる機能が多くなるということだろう。

photophotophoto デモンストレーション用に準備されたリビングや書斎、ベッドルームを模したセット
photophoto Windows PCの画面を表示したところ。ブラウザなども利用できる

 ユーザーにとっては間違いなくメリットの多いLiquidHDだが、シリコンイメージでは、LiquidHDをどのように普及させていく方針なのか。まず、機器への実装方法だが、「送信側はソフトウェア、受信側には小さなICを1つ導入すればいい。小さいリソースでも大丈夫だ」(同社)という。同社はすでに「Sil6100」というサンプルチップを発表しており、開発者向けのSDKやソフトウェアとともに提供する予定。またテレビなどの機器に内蔵する“前段階”として、HDMIで外付けする「Micro Client」と呼ばれるセットトップボックスのリファレンスデザインを公開している。2009年第2四半期には、デベロッパーキットとしてこれらの受注を開始する計画だ。

photophotophoto Sil6100を搭載した「Micro Client」。従来型のテレビに接続すれば、LiquidHD対応機と同様の機能を実現できる

 一方でシリコンイメージは、「LiquidHD,LLC」というコンソーシアムを立ち上げ、メーカー各社の参加を促す方針。「われわれはスタンダード化(業界標準)に向けて動き始めた。もちろん、シリコンイメージ以外のチップベンダーも同様のICを製造して販売することができる」という。


 最後に、すでに普及し始めているDLNAとの違いについてもたずねてみた。

 「DLNAはUPnPベースであることからも分かるように、あくまでもPCベースのソリューションだ。対してLiquidHDはCE機器を対象としており、ワンタッチで動くことが前提。使い勝手が大きく異なる」。ただし、PCも重要なソース機器の1つであり、ネットワークの一部でDLNAと共存することになるという。

 「そしてもう1つ、LiquidHDでは将来的にモバイル機器などの接続も視野に入れている。テレビやBD(を作っている業界)が今後ネットワークに何を求めるのか。それを考えれば、自然に答は出るはずだ」(同氏)。

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