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“スマートテレビ”とは何か――「2011 International CES」総括(1)麻倉怜士のデジタル閻魔帳(2/3 ページ)

» 2011年01月18日 13時25分 公開
[聞き手:芹澤隆徳,ITmedia]

麻倉氏: 従来のIPTVは、基本的にビデオ・オン・デマンドでした。パナソニックのVIERAシリーズに「YouTube」を視聴する機能が入っていたように、ネットワーク動画配信サービスを利用できるテレビであり、見たい番組を見るためのものといえます。

 一方のスマートテレビというのは、昨年あたりからサムスンやLGエレクトロニクスといった韓国勢が言い出した概念です。まとめてみますと、

  • 従来のパッシブメディアの放送はもちろん受信。さらにブロードバンドに常時接続する機能を持つ
  • 映像・音楽配信サイトからストリーミングでオンデマンドにてコンテンツを受信、再生できる
  • ゲームやユーティリティーなどのアプリケーションをダウンロードして、実行できる
  • SNSの通信機能がある
  • リモコンは、タッチスクリーンが基本。汎用のiPhoneや特定のリモコン(タブレット端末など)が用意される

 といったところです。

 現在、lean forward型の象徴的な存在といえるのが、「Google TV」でしょう。パソコンと同じ検索画面がテレビに表示され、キーボードで入力できます。それだけではなく、例えばある映画を見たいと思って検索すると、IP伝送の動画配信サービスとCATVの番組表からとってきた情報が同じ画面に並びます。あらゆるメディアを横断したコンテンツ一覧を扱えるようになるのです。

 Google TVプラットフォームを採用した初のテレビ「Sony Internet TV」を北米で発売したソニーは、当初、若いユーザー層に照準を合わせていたそうです。しかし、実際にはビジネスマンや中高年層も多くユーザーになっています。最近は米国のビジネスマンが夕食と家族との団らんを終えた後、リビングルームで仕事をするといったケースも多いそうです。彼らはキーボードを使ってコミュニケーションをとることが常態化しているため、lean forward型テレビを受け入れやすいのでしょう。

40インチの「Sony Internet TV」とそのキーボード。ちなみに画面に表示されているのは米Amazonの書籍紹介。麻倉怜士氏の著書を紹介している

 パナソニックも“Smart VIERA”という呼び方でスマートテレビを発表しました。あわせて、従来の「VIERA CAST」を大幅に拡張したクラウドサービス「VIERA Connect」をリリースし、タブレット端末「VIERA Tablet」から直接利用できるようにしています(→パナソニックブースで「VIERA Tablet」に触ってみた)。

 パナソニック ノースアメリカの北島嗣郎社長に話を聞く機会があったので、なぜ「VIERA CAST」ではいけないのかと尋ねたところ、「サービス名が表に出ていた」ことを挙げました。つまり、「Picasa」や「YouTube」といったアイコンは消費者に受けない。YouTubeに行ってお目当ての動画を探すより、例えばサッカー好きの人にとっては、テレビ画面にサッカーのアイコンがあったほうがいい。コンテンツが主体にならないといけない、ということです。

VIERA Tabletの画面と利用イメージ。サービスごとではなく、目的別、あるいはコンテンツの種類別にアイコンが並ぶ

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