連載
» 2011年12月27日 13時25分 UPDATE

山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」:東芝「55X3」で見つけたBD「ウェスト・サイド物語」の4Kテイスト (1/2)

“REGZA”のフラグシップモデル「55X3」は、家庭用として初めてQFHD(Quad Full High Definition)パネルを搭載した“4Kテレビ”だ。4K編集で注意深くマスタリングされた映画BD ROMを観ると、フルHDテレビとは明らかに違う映像を見せてくれる。

[山本浩司,ITmedia]

 家庭用として初めてQFHD(Quad Full High Definition)パネルを搭載した“4Kテレビ”の「55X3」が東芝から発売された。店頭などですでにその超高精細な映像に触れ、感激したという方もたくさんいらっしゃるに違いない。ちなみに"Quad Full High Definition" というのはフルHD解像度の4倍という意味。フルHDの約207万画素(1920×1080ピクセル)に対して、本機は約829万画素(3840×2160ピクセル)表示を行うわけである。今回は、新時代ディスプレイと呼ぶべきこの55X3の画質の魅力を詳らかにしていきたい。

ts_55x02.jpgts_55x01.jpg 東芝「55X3」と試聴中の山本氏

 現状ではこの液晶パネルの解像度にぴったり合致した4Kコンテンツの入手は難しいわけだが、東芝は“4K入力アダプター”の発売も予告しており、なんらかの形で4Kコンテンツの入手が可能になった折りには、本機の魅力がよりいっそう明確になるはず。しかし、現在視聴する機会の多い地上デジタル放送やBD ROMなどのHDコンテンツを表示した場合も、通常のフルHDテレビと隔絶した違いを実感させる、驚くべき超高精細な映像を本機は楽しませてくれるのだ。そこがまず本機55X3のかけがえのない魅力だと思う。

ts_55x03.jpg QFHD(Quad Full High Definition)パネルのイメージ。ちょうどフルHDの4倍になっている

 また、興味深いのはこの4Kパネルに偏光切替えシートとレンチキュラーシートを加えることで、本機は3Dメガネを使わずに立体視を得る「大画面グラスレス3D」を実現していることだ。液晶パネル前面の偏光切替えシートによってレンチキュラーをはたらかせない3840×2160ピクセルの4K表示と、レンチキュラーをはたらかせて光を9方向に拡散させる1280×720ピクセルのグラスレス3D表示の選択ができるわけである。光を9方向に拡散させるのは、9視差、つまり9方向から見た9つの画像データを生成して裸眼での立体視を実現させるためだ。

 テレビ本体に装備された「顔検出カメラ」で視聴可能領域を定めて観た3D映像は、強調感の少ない自然な立体視が楽しめるもの。確かに4K映像を見た後だと、解像度の不足は感じるが、3Dメガネなしに立体映像が楽しめるのは新鮮な驚きだ。CGアニメやゲームソフトなどを3D化して楽しむのはおおいにアリだと思う。

レグザサーバーとのコンビネーションにも意味がある

 とはいっても、本機最大の魅力はその高精細な4K表示映像にあるのは言うまでもない。その高画質映像を形づくっているのが「レグザエンジンCEVO Duo」。Duo というのは、メインLSIの中に2つのCPU を搭載して信号処理回路を形成、高速の高画質処理を行なっているという意味だ。東芝は数年前から超解像技術の研究を進めていたが、レグザエンジンCEVO Duoのハイライトは、4K表示用に磨き上げられた超解像技術にある。DVD(720×480ピクセル)や地上デジタル放送(1440 ×1080ピクセル)などは、まず1回目の超解像処理でフルHD映像に変換、その後新たに加えられた「カラーテクスチャー復元超解像技術」などを加えて2回目の超解像処理を行ない、QFHDパネルにふさわしい4K映像(3840×2160ピクセル)を生成するという仕組みだ。

ts_55x06.jpgts_55x07.jpgts_55x05.jpg 55X3の外形寸法は1271(幅)×862(高さ)×357(奥行き)ミリ。メタリックなパーツを多用した高級感のあるデザインだ

 55X3は4K高精細表示に加えて、最新大型テレビの中でもナンバーワンともいえる峻烈なコントラスト表現を獲得している。本機は直下型LEDバックライトを採用していて、画面全体を240分割(水平20×垂直12)し、入力信号の輝度レベルに応じてエリアごとにLEDの発光レベルを制御するローカルディミングの手法が採られているためだ。ローカルディミングの弱点として、黒バックに白い物体が浮き上がるような場面で白物体の周囲がぼわっと明るくなる「ハロ」という現象が指摘されることがあったが、本機ではその点がほとんど気にならない。分割数が多いことに加えて、東芝開発陣がローカルディミング制御の経験を豊富に積んでいるためだろう。

 また、55X3は、液晶テレビの弱点とされてきた動画応答性も向上させている。毎秒60フレームの画像の補間画像を挟み込んで120フレーム表示する倍速駆動に加えて、すべてのフレームを垂直12分割し、順次LEDバックライトを消灯させて残像を低減させるバックライトブリンキングの手法が採られている。

 55X3でさまざまな映像を観てみたが、なるほどフルHD解像度を持たない地デジ放送などでも、通常のハイビジョンテレビとは異なる精細度の高いハイコントラスト映像を観ることができた。しかし、なんといっても素晴らしかったのは、注意深くマスタリングが行なわれた映画のBD ROM。とくにぼくが感激したのが、55X3と同時期に発売されたレグザサーバー「DBR-M190」で再生した「ウエスト・サイド物語」(1961年)だった。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.