オーディオファンの間で「NASといえばやっぱりこれ」と、2012年現在も高い人気を保ち続けているNAS製品が、QNAP「TurboNAS TS-119」だ。
その人気は、後継モデルが発売されてからもあえて旧モデルとなった本機を探しまわる人がいたほど。販売終息となっても「ほしい」という声はいっこうに収まらなかった。
そんな要望に応えたのが秋葉原のPCパーツショップ「オリオスペック」。同店だけの限定販売モデルとして「TS-119」が再販されることになった。そのニュースリリースとともに、待ってたよと予約を入れたユーザーも決して少なくはないはずだ。
しかし、普通のPC利用者からすると「なぜ?」──であろう。見出しで“専用”とあおったが、普通のPCデータを保存・利活用するためのNASとしてももちろん機能する(というか、それが本来の機能だ)。
オカルトの世界に近い話……は確かにあるが、実はもっと基本的な理由によってPCオーディオファンから評価されてきた。それは、
の3つだ。
一般的なNASには、安定動作のための冷却ファンがたいてい実装されている。ファンは電気的なノイズ源になるといった見えない要因のほか、普通に騒音源になる。音楽を楽しむ環境に騒音源ができるだけ存在しないことは、とても重要なこと。これがファンレスモデルであるTS-119が重宝された大きな理由だ。ちなみに後継モデルが出てもTS-119の人気が落ちない、というか逆に高まったのは、その後継モデルがファン付きになったためだ。
オーディオファンの間で本機が人気となったのは、2008〜2009年ごろだろうか。当時はまだネットワークオーディオのカテゴリがまだ黎明期であったためか、再生機器(ネットワークプレーヤーやAVアンプなど)との接続性、特に接続の安定性という点がいまひとつだった。
うまく認識されない、再生が途中で止まる──などが多発し、中には音楽を再生しようとするたびにNASを再起動しなければ動作しないという困ったちゃんな機器もあったと聞く。対してQNAPのNASは当時から比較的安定して動作し、1度設定を済ませれば以後は安定して動作してくれた。
小型PCに近いNAS製品は、外付けHDDのような機器より設定や管理がちょっと難しいのはご存じだと思う。PC・サーバ・ネットワーク設定に詳しい人はともかく、一般オーディオファンにはことさら難しい。もちろんQNAP製品も機能をフル活用するならばある程度の知識が必要だが、ことネットワーク再生系機能に限れば、標準で必要な機能が用意されており、PCやLAN設定が行える程度の一般的な知識があればメディアサーバとして何とか使えるようになっていたのがポイントだ。
このことも含めて、ネットワークプレーヤーの先駆者で、スコットランドの高級オーディオ機器メーカーであるLINNがQNAP製品を推奨していた(国内では、オリオスペックが設定方法などを細かくフォローしてくれていた)ことも、オーディオファンが選ぶきっかけになった部分かもしれない。というわけで2012年現在は「設定が楽」「使いやすい」ネットワーク再生対応NASはあたり前になったが、QNAP製品は現在もPCオーディオファンからも揺るぎない信頼を得ているようである。
再販売された「TurboNAS TS-119」は、評価の高かったファンレスボディなどの基本仕様はかつてのモデルを踏襲しつつ、最新バーションのファームウェアがあらかじめ適用してある。
ネットワーク再生系のサーバソフトウェアは、マルチメディアステーションやiTunesサーバ、DLNAサーバなどを標準で用意し、従来通りほぼそのままで安心だ。設定そのものがちゃんとできるか不安という人には、各種をあらかじめ設定済みとした「各社ネットワークオーディオ対応モデル」「LINN DS設定モデル」も用意する。
ちなみにTS-119はNASキットのため、使用するストレージ(HDDやSSD)は別途用意するスタイルだが、OLIOSPECモデルは推奨されるSSD(250Gバイト500Gバイト)あるいはHDD(最大3Tバイト)とのセットパッケージもある。
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