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» 2013年02月13日 15時50分 UPDATE

テレビを支える現場のアイデア、「NHK番組技術展」を見てきた (1/3)

プールの断面図を撮影したカメラにLED行灯、視点を変えると音も変化するシステムなど、面白そうな技術とアイデアをピックアップしていこう。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 東京・渋谷のNHK放送センターで恒例の「NHK番組技術展」が開催されている。42回目を迎える今回は、昨年のロンドン五輪で実際に活躍した放送機材から、製作現場のアイデアから生まれたシステムなど32点が展示されている。中でもユニークなものを紹介していこう。

ts_nhk01.jpgts_nhk02.jpg 「NHK番組技術展」の会期は2月13日(水)まで。会場は東京・渋谷のNHK放送センター

プールの断面図を撮影したカメラ

 まずは昨年のロンドンオリンピックで話題になった「ツインズカム」。シンクロナイズドスイミングの競技中継で「プールの断面図」を撮影したカメラだ。名前の通り、前から見ると2つのカメラを搭載していることが分かる。下側のカメラだけを水中に入れ、水上と水中の映像を同時に撮影するという。

ts_nhk17.jpgts_nhk18.jpg 「ツインズカム」と実際の映像

 なぜカメラが2つ必要なのかといえば、水中では光の屈折率の違いにより、中の物体が広がって見えてしまうから。例えば1台のカメラで同じことをすると、水上に出ている足だけは細く、水中の選手は妙に太く見えてしまう。これは美しくない。

 水中用のカメラには屈折率や色の違いを調整するレンズとフィルターを搭載し、上下の映像をリアルタイムに合成しても違和感のない映像を作り出す。オリンピック放送で「プールの断面図」が放映されたときは、文字通り“水面下の努力”が報われた瞬間だったという。

マイクっぽいけど実は……

ts_nhk05.jpg 実際のオリンピック放送画面。キャスターの前にあるのは何でしょう?

 次は、オリンピック放送でキャスターの前にあったマイクのようなもの。実はこれ、手元のニュース原稿を撮影し、プロンプターに映し出すための小型カメラだ。

 刻一刻と状況が変わるニュースでは、出来上がった原稿に直しが入ることも少なくない。そのため技術が発達した現在でもニュース原稿は主に紙に印刷され、キャスターの横に控えているスタッフが放送番組中でも赤字(修正)を入れたりする。テレビはデジタル化されても、現場は未だにアナログな手法でクオリティーを保っているのだ。

 それはともかく、今までは原稿を撮影するため、スタジオの天井に大きなカメラを設置していたという。しかし、マイクサイズのカメラが登場したことで必要なくなり、コスト削減と同時にセットを天井まで広げることも可能になった。五輪放送のとき、スタジオ内をダイナミックなアングルで撮影することができたのは、このマイク型カメラのおかげだったのだ。

ts_nhk08.jpg オリンピック放送で実際に使用した初期モデルは右。左は、「どうせなら、もっとマイクっぽくしよう」と開発された新型

 ちなみにこのカメラ、秋葉原で買ってきたピンホールカメラを改造したという低コストのアイデア品で、焦点距離の都合でこのような外観になっている。「五輪放送のとき、やはり視聴者にはマイクに見えたようで、とくに問い合わせなどはなかった」(説明員)。このため、よりマイクっぽく見えるシルバーの“新型”を開発したという。今後もニュース番組などで活躍してくれるはずだ。

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