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トランスコーダーを搭載、アイ・オー「HVL-ATシリーズ」のリモート視聴を試す(2/2 ページ)

» 2013年07月26日 12時07分 公開
[久木四郎,ITmedia]
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 再生には、DTCP+によるリモート視聴に対応した機器が必須となる。視聴ソフトウェアはDiXiMが提供しており、現時点ではWindows PC、もしくはAndroidスマートフォンを利用可能だ。PCであれば、「HVL-ATシリーズ」ユーザー向けに「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」(Windows 8 32/64bit、Windows 7 32/64bit、Windows Vista 32bitに対応)が提供されているので、無償ダウンロードしてインストールすればいい。Androidスマートフォンの場合は、リモート視聴アプリ「DiXiM Player」を標準搭載済みの富士通製スマートフォン(NTTドコモ ARROWS NX F-06E、Disney Mobile on docomo F-07E、ソフトバンクモバイル ARROWS A SoftBank 202F)で視聴可能だ。

 インターネット越しでの視聴を行うには、特に面倒な設定などは必要ない。まずLAN内でいったん接続したうえで、事前機器登録を実行すればいい。そのあとは、特に意識することなく、LANの外からでも録画番組を視聴できる。ただ、ちょっと面倒に巻き込まれる可能性があるとすれば、ネットワーク環境がリモート配信に不適合なケースに遭遇した場合だろう。

 リモート視聴を行う際に必要な環境はDIXIM.NETに掲載されており、モバイル通信回線(LTE/3G)、モバイルWi-Fiルータ(LTE/3G/WiMAX)、公衆WiFiのほか、iPhoneによるテザリングなど、たいていの接続環境であれば問題ない。ただし、例えばAndroidのテザリングなどは利用不可と記されている。そのほかにもつながらないケースはあり、多くはNAT(Network Address Translation)に起因するようだ。この製品を購入してリモート視聴を行いたいと考えるなら、まずはDIXIM.NETで配布されているチェックツールを利用し、事前にしっかりとサーバ側、クライアント側ともに、適合するかどうかを確認すべきだ。

「リモートサーバ」から対象のサーバを選択し、見たい番組を探して再生開始する

 外出先での視聴の流れは、自宅内で行う場合とほぼ同じ。「サーバ」の代わりに、「リモートサーバ」から対象のサーバを選択し、見たい番組を探して再生開始すればいい。ただ、従来のRECBOXとの最大の違いは、冒頭でも紹介したようにトランスコードを搭載したという点にある。そのため、「リモートサーバ」から視聴を行う際には、「HVL-ATシリーズ」側で自動的に回線速度に応じたビットレート/映像サイズにトランスコードされたうえで配信される。設定で再生画質を手動で選べるようにすることも可能だ。

再生画質には「モバイル回線(LTE)での再生向き」など分かりやすい名称が付いている

 再生画質は、「宅内のWi-Fi(高速)での再生向き」「ブロードバンド回線での再生向き」「モバイル回線(LTE)での再生向き」「モバイル回線(3G)での再生向き」などと分かりやすい名称がつけられている。実質的にはDRをはじめ、1080(縦)解像度/約4.8Mbps、720解像度/約3.7Mbps、1080解像度/約2.2Mbps、720解像度/約1.8Mbps、720解像度/約1.2Mbps、360解像度/約708Kbpsという7種類のモードが用意されている。スマートフォンでの視聴であれば、約1.8Mbpsもしくは約1.2Mbpsあたりを確保できれば、十分に満足できる画質で視聴可能で、ブロックノイズもさほど気にならない。例えば出張先や帰省先、別宅などで、大画面液晶を備えたノートPCを用いて腰を据えて視聴したいという場合でも、約4.8Mbpsの回線速度さえ確保すれば、自宅で録画した映像をほぼ遜色なく楽しめるだろう。こちらの画質は、BDレコーダーやnasneの長時間モードなどを想像していただければ分かりやすいと思う。

PC用クライアントソフト「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」の画面

 以上のように、「HVL-ATシリーズ」は外出先から録画番組を観賞するための実用的な機能を提供してくれる(また、トランスコード機能はリモート視聴時だけではなく、LAN内でもWi-Fiで十分な接続速度が確保できないという場合にも役に立ってくれる)。しかし、決してそれだけの製品ではないということには留意すべきかもしれない。もちろん、リモート視聴だけを目的として購入するのも間違いではないが、非常に高機能で独自性を持った製品ゆえに、運用面で少々とまどうことも大いにありうる。「HVL-ATシリーズ」を自宅のテレビ視聴環境に加えてみたいと考えたならば、ぜひとも「RECBOX」の幅広い用途を存分に理解したうえで、メリットを最大限に引き出すべく、使いこなしてほしいものだ。


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