レビュー
» 2013年08月26日 14時26分 UPDATE

山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」:音を楽しむための本格派、アクティブスピーカー3機種を聴く (1/3)

英KEFの「X300A」、クリプトン「KS-3HQM」、それに英LINN(リン)の「AKUBARIK」を一挙レビュー。値段もサイズも大きく異なる3機種だが、いずれも駆動アンプを内蔵したアクティブタイプだ。

[山本浩司,ITmedia]

 さすがにひと頃の盛り上がりは収まったようだが、相変わらず高級ヘッドフォン市場が好調のようだ。戸外だけでなく部屋の中でもヘッドフォンで音楽を聴くのが当たり前という若い方も多く、できるだけいい音で聴きたいという彼ら音楽ファンの欲求が高級ヘッドフォン市場を支えているのだろう。いっぽうで、ヘッドフォンで聴くと音像が頭の中に定位する違和感が拭えず、長時間音楽を聴いていられないという人も筆者の周りにはけっこう多い(ぼくもそうです)。

ts_kef04.jpg 英KEFの「X300A」

 部屋の中で音楽を聴くときくらい、お気に入りのスピーカーを使って、眼前にサウンドステージが広がるステレオフォニック・エフェクトを楽しんでほしいと思うが、実際に若い音楽ファンと話してみると、スピーカーで聴くステレオの面白さを実感したことがないという方がびっくりするほど多い。L/Rスピーカーを結んだ線の真ん中、その虚空にヴォーカリストがふっと浮かび上がり、幅と高さと奥行を伴った三次元的な音場が広がっていく面白さこそスピーカー・リスニングの醍醐味(だいごみ)。それを満喫するためにはまずL/Rスピーカーとリスニングポイントがそれぞれ等距離となる正三角形の頂点で聴くべきで……なんて話をしても、これがなかなか通じないのだ。というか、そんなふうにマジにスピーカーに正対して音楽を聴いたことがないっす、という若い人がとても多いわけで、これはほんとうに残念というか、もったいないことだと思う。

 スピーカーの周囲に音が広がらず、音場がべたっと平面的で演奏現場の雰囲気や演奏者の陰影が感じられない音源も確かに多い。CD不況が深刻化した1990年代末以降、ポップスの世界はそういうチープな音楽だらけになってしまった観もあり、そんな音源をマジにスピーカーと対峙して聴いても仕方がないということもあるのかもしれない。しかし一方で、クラシック音楽に限らずスピーカーのないところから音が語りかけてきて、目に見えないステージが自分の眼前に広がるステレオ・マジックが味わえる音源はいくらでもあるわけで、とくに1960〜1970年代のアナログ絶頂期のロック/ポップスにはそんな好録音が多い。

 なんて話をしていると永遠に終わらなくなりそうなので、マクラはこのへんにして本題に入ろう。今月の連載は、これまで述べてきたステレオ・マジックが堪能できるアクティブスピーカーを3モデル採り上げてみたい。英KEFの「X300A」とクリプトン「KS-3HQM」、それに英LINN(リン)の「AKUBARIK」だ。値段もサイズも大きく異なる3機種だが、共通しているのは、駆動アンプを内蔵したアクティブ・タイプだということ。KEFとクリプトンはアンプの他にUSBポート付きのD/Aコンバーター(USB-DAC)を内蔵していて、音楽再生ソフトをインストールしたパソコンをつなげばすぐにデジタルミュージックファイルが楽しめる。

ts_3ks011.jpg クリプトン「KS-3HQM」はUSB-DAC内蔵の小型スピーカー

 アクティブスピーカーには、それならではのメリットがいくつかあるが、駆動するパワーアンプを別に用意する必要がなく、システムをシンプルに構築できるということがまずその利点として挙げられるだろう。加えて、それぞれのドライバーユニットに最適化したアンプを充てて最終的な音質をメーカーが保証できることも見逃せないポイントだ。

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