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» 2013年10月27日 20時28分 UPDATE

秋のヘッドフォン祭 2013:“ハイレゾ”だから伝わること――ランティスがアニソンの配信を始める理由 (1/2)

「秋のヘッドフォン祭 2013」で、ランティスのハイレゾ音源配信に関する発表イベントが行われた。楽曲制作者、ユーザーそれぞれの立場から見たハイレゾ音源配信の魅力とは?

[芹澤隆徳,ITmedia]

 「秋のヘッドフォン祭 2013」の会場で、11月からサービスを開始するランティスのハイレゾ音源配信に関する発表イベントが行われた。登壇したのは、ランティス出身で現在は関連制作会社のアイウィルに所属する音楽プロデューサー・佐藤純之介氏。進行役を務めたライターの野村ケンジ氏とともに、“作り手と視聴者”という、それぞれの立場からハイレゾ音源配信の意義を語った。

ts_lantis01.jpg 本誌連載「ぶらんにゅ〜AV Review」でおなじみの野村ケンジ氏(左)と佐藤純之介氏(右)

 ランティスのハイレゾ音源配信では、第1弾として、10月30日の正午からアニメ「ラブライブ!」関連のシングル5タイトルがリリースされる。ラブライブ!は、9人の登場人物で構成される“学園アイドル”グループがテーマの作品で、集団で歌う曲がメインだ。それだけに録音や編集には手間と時間がかかるが、制作者のこだわりが加わるとさらに大変になる。

 ある収録現場では、200本近いマイクが持ち込まれた。もちろん9人全員を一度に収録するわけではなく、「それぞれのキャラクター、声優さんの体調なども考慮しながら、1人ずつ“どう録るのか”を決めていく」(佐藤氏)。1人ずつ録音したものをミックスし、最終的に1曲に70人分もの声を重ねることもあるが、基本的に「1人の声でも成り立つように作っている」という。

 配信音源は、48kHz/24bitのスタジオマスターと変わらないクオリティー。実際に編集スタジオの作業もすべて48kHz/24bitで行われており、そのマスターをそのままダウンロードできるのが今回のサービスだ。CD(44.1kHz/16bit)のような音質劣化はなく、一方でiPhone単体でもギリギリ再生できるメリットもある。

 外部アドバイザーとして今回のサービス開始に関わった野村氏は、「CDのために何か(ダウンサンプリングなど)したわけではないモノを一般ユーザーが手に取ることができる。これは、とてもうれしいこと」と話している。

ts_lovelive03.jpgts_lovelive02.jpgts_lovelive01.jpg 第1弾配信楽曲の一部

 イベントでは、実際にCDとハイレゾ楽曲の試聴も行われた。同じ環境で聴き比べると、その違いは歴然。なんとなく集団でうたっている雰囲気のCDに対し、ハイレゾ音源では1人1人の声がはっきりと分かる。特定のキャラクターや声優のファンであれば、きっとお目当ての声を見つけられるだろう。もちろん伴奏も同様で、CDでは“打ち込み”の音か、生のドラムか判断しにくいような音でも、ハイレゾ音源でははっきりと生ドラムと分かる。

ts_lantis05.jpg ヘッドフォン祭会場では、ハーマンインターナショナルやアユートなど、いくつかのブースで配信楽曲を試聴できた。楽曲情報には48kHz/24bitと表示されている

 もう1つ、制作者のこだわりが感じられるのがダンス曲だ。佐藤氏によると、楽曲編集時にはダンスに合わせてキャラクターごとの音像を入れ替えているという。「例えば、あるキャラクターが歌いながら後ろに下がるシーンでは、そのぶんリバーブをつけて分かるようにする」(佐藤氏)。配信サービスでは、表題曲にアニメのPVが入っているケースもあるため、実際にダンスを見ながら音の変化を楽しめるという。

 配信音源のフォーマットにWAVを採用したのも、音に影響を与える可能性があるものをすべて排除した結果だ。e-onkyo musicでは、可逆圧縮でアルバムアートなどの情報を付加できるFLACを多く採用しているが、ランティス側の要望でWAV配信に決まったという。

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