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ハイレゾ音源だってばっちり――イヤフォン・バイヤーズガイド2014年“春”(実売5万円以上編)3匹が聴く!(1/3 ページ)

» 2014年03月31日 14時52分 公開
[ITmedia]
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 いよいよインナーイヤー型の最終回。今回は価格の上限を設けず、最高級のイヤフォンをピックアップした。


 本編に入る前に、どんどん長くなる恒例「野村ケンジの一言アドバイスコーナー」。今回は最近のキーワードでもある“ハイレゾ”(ハイレゾリューション:高解像度)と再生周波数帯域の話だ。最近は「HighRes」マークを見る機会も増えたが、イヤフォンやヘッドフォンにおけるハイレゾ対応のポイントとは? 最近、体調を崩してしまい、家から出られないという野村ケンジ氏を電話で直撃した。

――なんでもインフルエンザにかかって大変な状態だとか。

野村氏: ゴホゴホ。そうなんです。熱が出て体がだるくて、もう1週間も……ゲホ。

――大変ですね。では質問です。今回はハイレゾ再生について。

野村氏: ……鬼か。

――鬼ではなくて鬼編集です。ささ、読者の皆さんが待ってますよ。

野村氏: げほ……ハイレゾ音源は、従来のCD(44.1kHz/16bit)を超える情報量を持つ楽曲データのことです。96kHz/24bitとか192kHz/24bitといったように表記されることからも分かるように、ハイサンプリングレートとハイビットレートという2つの要素を持っています。

 ヘッドフォンの場合、大事なのはハイビットレートの部分をいかに表現できるか? という点です。オーディオコンポやスピーカーでは人の可聴域である2万Hz以上を再生できることがハイレゾ対応の基準にされがちですが、その基準をヘッドフォンに当てはめるのは間違い。そもそも超高周波は鼓膜だけで感じられるものではありません。

――よく「ハイレゾは体で感じろ」と言いますよね。スピーカーの話ですが。

野村氏: 最近は再生周波数帯域の数字だけをもって「このイヤフォンはハイレゾ対応ではない」などと断じる人もいますが、それはおかしい。そもそも既存のヘッドフォンは、安全性を考慮して超高周波を出さないようにしてきた面もありますから、それでハイレゾ非対応か? といえば違うでしょう。イヤフォン/ヘッドフォンでは24bit相当の細かい音を再現できるかどうかがポイントで、数字に表れてはいないのです。

――なるほど。

野村氏: 確かにハイレゾ音源が出てきたことで、高い周波数の再現性を向上させようというアプローチもあります。しかし、基本的にメーカー各社は、24bit相当の音がきちんと再生できるように解像感やS/Nを上げようとしています。それが本来の意味のハイレゾ対応イヤフォンであり、再生周波数帯域などの“数字競争”にあまり意味はありません。メーカーだけではなく、われわれメディアや販売店、ユーザーも気をつけなければいけない部分だと思います。

――では、ハイレゾ対応のイヤフォンとはどういうものでしょう。例えば今回取り上げる製品は高額商品ばかりですが、どうですか?

野村氏: そうですね。今回チョイスした製品は、「ハイレゾ対応」というより、「ハイレゾ音源も十分に再生できる能力を持ち合わせている」というのが正しいです。ただし、そのほかの環境にも配慮は必要。プレーヤーがハイレゾ再生に対応していることはもちろんですが、ヘッドフォンアンプがないと実力を発揮できないケースもあります。

――ハイレゾ音源再生に興味を持った方がイヤフォンを買うとき。どの価格帯のイヤフォンがお勧めですか?

野村氏: 今回のバイヤーズガイドで取り上げた製品の中では、1万円以上のクラスから違いを感じ始めると思います。もちろんモノにもよりますが、この価格帯から人の声やメイン楽器の情報量が増えてきます。例えば、第3回の「Good Buy」商品に選ばれたオーディオテクニカ「ATH-IM02」などはいいと思います。

 話は変わりますが、ついに4Kプロジェクターを買ってしまいました。かなりの出費でしたが、これで映像もハイレゾ環境です。そう、そもそもハイレゾという言葉は「高解像度」であって……

――割と元気ですね。では、レビュー記事をお願いします。

野村氏: ……ゲホゲホ。ゴホッ。

 そんなバイオハザードな野村氏を含む、今回のレビュアーは以下の3名だ。

レビュアー紹介

野村ケンジ(のむら けんじ)

弊誌連載「ぶらんにゅ〜AV Review」でおなじみ、年間500本を超えるイヤフォン/ヘッドフォンを試聴・評価する気鋭のオーディオライター。某レーベルのアニソン・ハイレゾ配信を影で支えるスーパーバイザーでもある。


坂井香(さかい かおり)

タレント/モデル/DJ/ヘッドフォン女子。DJ名「@KAOPANGw」(かおぱん)としても知られる。音大出身で特技はピアノ。一方、筋トレやマラソンが好きというアクティブな一面もあり、最近ついにフルマラソンを完走した。拍手。


滝田勝紀(たきた まさき)

弊誌連載「白物家電、スゴイ技術」担当ライター。約10年間、某モノ雑誌編集部で白物家電やヘッドフォン担当として活躍した後、フリーランスに。「All About」では家電ガイドとして活動、「家電AWARD」の審査員も務める。



 ピックアップしたのは以下の5機種。価格は3月28日時点のAmazon販売価格を表記した。前回に続き、特集企画時からの価格変動によって価格帯がずれてしまったモデルもあるが、その場合は「お買い得になった」と前向きに捉えていただけると幸いだ。また、FitEar「Parterre」についてはAmazonで販売されていなかったため、販売店の価格を参照した。

メーカー 製品名 再生周波数帯域 インピーダンス 感度 実売価格
オーディオテクニカ ATH-IM04 15〜2万Hz 14オーム 101dB 4万4800円
ゼンハイザー IE800 5〜4万6500Hz 16オーム 125dB 6万3448円
AKG K3003 10〜3万Hz 8オーム 104dB 11万8000円
Shure SE846 15〜2万Hz 9オーム 114dB 9万9800円
FitEar Parterre(パルテール) N/A 8万4800円
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