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四季をアレンジしてオーバーダブ、ハイレゾ・サラウンド最新作「The Four Seasons」の舞台裏(1/2 ページ)

» 2014年06月11日 11時00分 公開
[田中宏昌,ITmedia]

四季をアレンジしてソロパートをオーバーダビング

試聴会の会場にて。左から沢口氏、竹田氏、土屋氏

 6月20日に、ミック沢口氏が主催するUNAMASレーベルのハイレゾ・サラウンド最新作「The Four Seasons」(UNAHQ2005)が発売されるのを目前に控え、東京都内でプレス向けの試聴会が開催された。

 今回の「The Quartet Four Seasons」による「ヴィヴァルディ 四季」は、2014年2月20日〜22日に軽井沢大賀ホールにて「192kHz/24bitのサラウンド・ハイレゾ録音と4K録画」で収録された。そのレコーディングシステム(Audio over IP技術を使ったPyramix RavennaシステムとMADI伝送技術を導入して製品化されたRME製品)をシンタックスジャパンなどが提供している。

 原曲の四季は、弦楽カルテット+通奏低音という編成で行われるが、本録音のThe Quartet Four Seasonsでは土屋洋一氏によるサラウンド・アレンジされた弦楽四重奏でアンサンブルパートを録音。さらに、春夏秋冬の各4パートをフィーチャーしたソロパートをオーバーダビングでミックスするという、クラシックでは珍しい手法を取り入れた。演奏メンバーは竹田詩織氏(バイオリン)、春日井久美子氏(バイオリン)、飯野和英氏(ビオラ)、西方正輝氏(チェロ)という構成だ。

 試聴会には、ミック沢口氏とアレンジを担当した土屋洋一氏、そしてThe Quartet Four Seasonsのリーダーである竹田詩織氏も同席し、企画のコンセプトや録音システムの解説、舞台裏などについて語られた。

長野県にある軽井沢大賀ホール。収録日前後は大雪だったという
「The Quartet Four Seasons」のメンバー。左から、飯野和英氏(ビオラ)、春日井久美子氏(第2バイオリン)、竹田詩織氏(第1バイオリン)、西方正輝氏(チェロ)
収録風景。録音時は空調を止めたため、寒さが応えたという

低域の重厚感とスピード感、力強さを重視

 冒頭、沢口氏が「四季はすでに名盤や名演が多くあり、それらとの違いをどうするのか。ハイレゾ・サラウンドをどのようにすればリスナーのみなさんに喜ばれるのかを考えた」と制作コンセプトを説明。「従来の端正で華麗なサウンドではなく、低域の重厚感とスピード感、力強さを重視して若手の弦楽奏者と楽曲のアレンジを検討した」と、The Quartet Four Seasonsおよび土屋氏の話に触れた。

 このThe Quartet Four Seasonsは、竹田氏が選んだ特別編成チームだ。原曲のバイオリン用ソロを土屋氏がチェロやビオラ向けにアレンジを行ったため、それを弾きこなすだけの技量が奏者に求められるが、各メンバーとも腕が立つので全く問題はなかったという。

 加えて、沢口氏は「会場はとても素晴らしい響きが得られる軽井沢大賀ホールに選定し、ステージの演奏をダイレクトにDAWへ記録するための最新システムの導入、それらを実現すべくレーベルとメーカーで構成された20名強の特別プロジェクトを編成した」と解説。また、ハイレゾでのサラウンド音響だけでなく、プロモーションビデオも“映像のハイレゾ”である4Kで制作し、YouTubeで楽しめるようになっている。

「The Quartet Four Seasons」の4Kプロモーションビデオ(「設定-画質」より2160p4kを選ぶと4Kでの再生が行われる)
4Kの撮影はマリモレコーズが担当。撮影には「Blackmagic Production Camera 4K」が使用された

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