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» 2014年08月28日 00時10分 UPDATE

潮晴男の「旬感オーディオ」:ハイレゾは脳のビタミンです!――カジュアルな本格派、デノンのデスクトップUSB-DAC「DA-300USB」 (1/2)

デノンの「DA-300USB」は、コンパクトにして高性能なかわいい製品である。小さくても凝縮感のあるものが好きなぼくは、このDACを見て、とても気になった。

[潮晴男,ITmedia]

 ファイルオーディオの台頭によって、CDというパッケージソフトが中心だったオーディオの楽しみ方も随分と変わってきた。もっともファイルオーディオといってもハイレゾからMP3のような圧縮音源まで多種多様、TPOに応じた使い分けというか賢明な選択がなされなければ、実に味気ない思いをすることになる。

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 なにもハイレゾ音源が総てと言うつもりはないが、圧縮音源ばかり聴いていると脳が疲れるからだ。その理由は以前にも書いたような気がするけどもう一度繰り返すと、圧縮された音源は音楽にとって本来なくてはならないディティール情報を捨て去ることで、効率よくデータをまとめているからである。しかしながらそうすると脳は失われた情報を復活させようと一所懸命に働き、音楽を聴いているにもかかわらず、いやしにも活力源にもならないという寂しい結果を生む。ぼくが積極的にハイレゾ音源を薦める理由はまさにこの点にある。せめてホームオーディオではCD以上の音源で脳にビタミンを与えてほしいと思うのだ。

 デノンの「DA-300USB」はハイレゾ音源専用のDACというわけではないが、そうした部分にまで目配せしたコンパクトにして高性能なかわいい製品である。ブックシェルフ型のスピーカーを紹介した時にも記したことだが、小さくても凝縮感のあるものが好きなぼくは、このDACを見て、とても気になった。

ts_da300usb01.jpg デノンのデスクトップUSB-DAC「DA-300USB」。価格は5万7500円。本体色はシルバーのみとなっている

 デノンではこのモデルを「カジュアルDAC」と呼んでいるように、CDプレイヤーをはじめとするデジタルアウト付きの機器のインタフェースとして気軽に使ってほしいとの願いを込めて彼らはこのモデルをリリースした。ここにデジタルオーディオ機器のデジタル出力をつなげば、旧来の製品であっても最新の技術で作り上げたDACによって、今のサウンドに変身させることができるのである。

 対応するデジタル信号の入力端子は同軸、光とUSB。WindowsのPCを使う場合、USB-DACとして機能させるためには専用のドライバーソフトをインストールする必要があるが、その他の特別な作業は必要ない。

ts_da300usb04.jpg 背面インタフェース

 DACとしての中核を担うコンバーターには、バーブラウン(TI)の「PCM1795」というLSIを採用し、DSD信号のダイレクト再生とPCM信号のハイビット、ハイサンプリング化を行う。同時期にリリースされたCDプレイヤーのハイエンドモデル、「DCD-SX1」にも同様のチップが組み込まれていることからも、この製品の能力の高さをうかがい知ることができるだろう。

 またこのモデルではDAC側のマスタークロックに挿げ替えるアンシンクロナス転送を行うことでジッターレスの伝送を実現している。DSD入力は2.8MHzと5.6MHzに対応し、ASIOドライバーによるネイティブ再生とDoP再生が可能だ。一方PCM信号は192kHz/24bitまで受け付けるが、CDの44.1kHz/16bitの信号はデノン独自の「アドバンストAL32プロセシング」という技術により32bitに拡張し、データを補間するアナログ波形再現技術を加えてよりスムーズなアナログ音声の再現を目指している。

 さらにDAC側のマスタークロックにはより正確なデジタル信号の同期を実現するため、44.1kHzと48kHzの2系統のクロックを用意してそれぞれのサンプリング周波数に最適な動作条件を与えていることも特徴だ。

 本体のフロントパネルには電源スイッチと入力切り替え、そしてヘッドフォン用のボリュームコントロール・ノブだけが配されたシンプルな仕様である。したがってこのモデルをDACとして使う場合、音量の調整はアンプ側でおこなうことになる。リモコンも無し、電源は別筺体(きょうたい)のバッテリーパックから供給する。まさにこの製品は彼らが企画した通りのシンプルなカジュアルDACなのである。

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