インタビュー
» 2014年09月18日 20時45分 UPDATE

滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」:フィリップスが回転式シェーバーに詰め込んだスゴイ技術――IFAで本国担当者に直撃 (1/3)

ブラウンやパナソニックといった強力な競合メーカーをよそに「回転式シェーバーを、日本のスタンダードにする!」と息巻くフィリップス。その背景には、確かなマーケティングと最新の技術が存在した。IFAの会場で本社の商品開発担当者に詳しい話を聞いた。

[滝田勝紀,ITmedia]

 9月上旬にドイツ・ベルリンで開催された「IFA 2014」。ITmediaでもIT/AV関係のニュースを多く掲載しているが、IFAは白物家電の話題も豊富だ。展示会場で注目を浴びていたフィリップスの最新電気シェーバー「9000シリーズ」について、本社商品開発担当チー・ミン・ホン氏に詳しい話を聞くことができた。

ts_philips05.jpg 商品開発担当のチー・ミン・ホン氏。手に持っているのが「9000シリーズ」

 日本でもすでにローンチされているが、「9000シリーズ」はフィリップスにとって4年ぶりとなる最上位機種のモデルチェンジ。同社の回転式シェーバーといえば、肌あたりの優しさには定評がありながらも、深ぞりという面では、ライバルであるブラウンやパナソニックなどの“往復式”シェーバーに水をあけられていた印象が否めない。だが、フィリップスは「9000シリーズ」の投入により、往復式シェーバーの牙城を崩そうとしている。

ts_philips06.jpgts_philips07.jpg IFAのPhilipsブース(左)。カンファレンスでは、ピーター・ノータ社長がプレゼンテーションを行った(右)

フィリップスが“回転式”を選んだ理由

ts_philips01.jpg フィリップスのシェーバー第1号と同型の「Philishave 7733」(1947年発売)

 それにしても、そもそもなぜフィリップスは回転式シェーバーという道を選んだのだろうか。フィリップスが電気シェーバーの1号機を開発したのは、今から75年も前の1939年。当時はもちろん電気ではなくカミソリシェービングが主流だった。

 「フィリップスが当時、回転式シェーバーの道を歩んだのには、人間のヒゲの生え方に根拠があります。ヒゲは世代や年齢、人種などによって傾向は異なるものの、基本的には生える方向がまちまちということが、当時のリサーチ結果から分かりました。往復式シェーバーは構造上、2方向からしかヒゲを捕らえてカットすることができませんが、回転式であれば、あらゆる方向に生えているヒゲをカットできます。科学的に証明された“より効果的な手法”が回転式だったのです」(ホン氏)。

 たしかに1号機の発売以来、一貫して回転式シェーバーを追求し続けている同社。そのヘッドの数は時代とともに増え、1951年に2ヘッド、1966年には現在の最上位機種と同じ3ヘッドのシェーバーが登場した。ただ、それから50年近く、ヘッドの数は増えていない。

 ヘッドの総面積が広がれば、1ストロークで多くそることができるはず。例えばヘッドのサイズを少し小さくして4ヘッドなどにすることで、さらに効率は上がるのではないだろうか。

ts_philips02.jpg 1951年に発売された「Philishave 7743」。最初の2枚刃モデルだ

 「たしかに面積を広げてヒゲそりの効率を上がるというのも正しい考えですが、われわれがなにより考えなければいけないことは、“消費者にとって便利であること”です。ヒゲそりにかける時間を少しでも減らしてあげるために何ができるか。今は2ヘッドと3ヘッドの両方をラインアップしていますが、たしかに3ヘッドのほうが利便性、スピード、効率性は高いです」。

 だが、それも3ヘッドまでの話だというホン氏。それ以上になると、ヘッドの数を増やすことと、ヒゲそり効率が上がることはイコールにならないという。どういうことだろうか。

 「われわれは、1号機からヘッドの数は変えてきましたが、実は直径約3センチというヘッドのサイズは一貫して変えていません。このサイズがヒゲをそるのに一番適していると、社内で科学的に証明されているからです。電気シェーバーを動かすと肌の方も動かされます。その時、このサイズがもっとも肌への負担が少なく、かつ効率的にそれる大きさであり、ヘッドの数だということです」。

 もちろん、ヘッドの数を変えないと進化が止まるというものではない。フィリップスは内刃などを改良することで回転式シェーバーの性能を上げてきた。その最新の成果が、今回ローンチした「9000」シリーズだ。

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