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±0.5度で設定した温度にぴったり寄り添う――デロンギの新世代暖房器具「MD HEATER」滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(1/2 ページ)

» 2014年11月21日 15時15分 公開
[ITmedia]

 これまでの暖房の進化を考えると、最初は暖炉やストーブのように温度を直線的に上昇させるだけだった。近代に入ると、温度の上昇と下降を繰り返すことで室温をある程度制御できるエアコンやガスファンヒーター、オイルヒーターなどが加わり、利便性は向上した。

 しかし、人間はこうした温度変化に対し、気づかないうちに大きなストレスを感じている。なぜなら、通常のエアコンは快適な温度に設定しても、その温度を維持できなからだ。たいていの場合、設定温度より3度前後も高い温度まで一気に上昇し、そこで暖房運転を一時停止。同様に設定温度より3度前後下がるまで暖房運転を始めない。例えば23度に設定していたら、室内は20度から26度の間で温度が変化することになり、寒いと感じる場面もあれば、暑いと思う時もあるだろう。

デロンギの「MD HEATER」

 そこに目をつけたデロンギは、一度快適な温度に設定したら、ほとんど温度変化を生じさせないヒーターを作り出した。「MD HEATER」の「オートアダプティブテクノロジー」は、±0.5度という驚異的かつ微細な範囲内で温度をコントロールすることに成功したという。デロンギ・ジャパンのマーケティング部 コミュニケーショングループ PMグループの田井隆輔氏に詳しい話を聞いた。

 「オートアダプティブテクノロジーは、センサーで検知したデータから独自のアルゴリズムによって、搭載された5つの熱源モジュールのうち、どこのモジュールを稼働させるかを適宜判断します」(田井氏)。

 電源を入れたら、まずは5つのモジュールすべてを動かす。そして設定温度に近づくにつれ、だんだんとパワーをダウンしていくという。「具体的には熱源として起動しているモジュールの数を、どんどん減らして行きます。例えば22度に設定しているなら20度くらいからは、5つのうち2つもしくは1つしか動きません。それでも基本的に室内は密閉されているので、だんだんと上昇していき、22度ほぼピッタリで室内の温度を一定化します」。

5つのモジュールのうち、起動しているモジュールの数を減らしていく−−
設定温度±0.5度でコントロール

 ここから、さらに繊細な動きをし始めるのが「MD HEATER」ならでは。「本体下部に設置されたセンサーが2秒に1回の頻度で、室温を検知し続けます。そのセンサーで検知したデータを元に、熱源モジュールは14〜15秒に1度、起動数や起動位置を適宜変えていきます」。地面に近いところにセンサーを設置したのは、モジュールに近すぎたり、上部にあると、その放熱によって、正しく温度を測れない可能性があるからだ。

 「例えば高速道路を時速80キロメートルで走る場合、アクセルを最初しっかりと踏むことで加速し始めますが、80キロに到達すると、アクセルを離しつつも、完全には緩めませんよね? 道路とタイヤの摩擦があるから、放っておくとだんだんと速度が落ちてしまいます。速度を維持するため、ドライバーアクセルを優しく踏むはず。『MD HEATER』も同じように、完全にモジュールをオフにすることはなく、起動するモジュールの数や場所を急激に変えるようなことはありません。少しの温度変化を少しの動きで封じることで、常に設定した温度の±0.5度を維持するように動いているのです」

 とはいえ、冬の深夜などには急激に冷え込む場合もある。その場合はどうなるのか?

 「急激に外気温が下がったとしても、温度を維持するための動きというのは変わりません。その可動するモジュール数が増えるだけです。例えば0度近くになったとしても、室温を最初に22度に設定し続けているのであれば、段階的に動いているので、ものすごい急激にモジュール数が増えるということはありません。これもクルマで例えるなら、高速道路で80キロ走行中に、少し急な登り坂に差し掛かったとしても、勢いがあるのでいきなり速度がゼロになることはないですよね? 平坦な道に比べて、少しアクセルを踏み込む必要があっても、それは一瞬であり、突然フルで踏み込むようなことはないはずです」

急激な温度変化にも対応

 このような動きにより、室内で過ごす人は室温変化にほとんど気づくことなく、ストレスなく過ごせる。さらに、「MD HEATER」には、すぐに温まる「スピードヒーティング」と、一切音がしない「サイレント暖房」という特徴があり、ここにもデロンギ独自の技術が込められている。

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