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» 2014年12月02日 22時10分 UPDATE

次世代のエンジニアたちが作り上げたもの――ジェームズ ダイソンアワード表彰式 (1/2)

「ジェームズ ダイソンアワード 2014」の国内優秀賞授賞式が行われ、国内選考において上位入賞した5作品が表彰された。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 「ジェームズ ダイソンアワード 2014」(以下、JDA)の国内優秀賞授賞式が12月1日にダイソン本社で行われ、第1次審査を兼ねた国内選考において上位入賞した5作品が表彰された。このうち国内最優秀賞を受賞した「Qolo」は、11月の最終審査で「国際準優秀作品」に選ばれている。

ts_jda01.jpg 受賞者、審査員の集合写真。審査員は、昨年に続きデザインエンジニアの田川欣哉氏とフリージャーナリスト・コンサルタントの林信行氏が務めた

 JDAは、次世代のエンジニア育成を目的にジェームズ ダイソン財団が毎年開催している国際デザインアワード。「日常の問題を解決するアイデア」をテーマに、デザインおよびエンジニアリングを専攻する学生や卒業生から作品を募集しており、9回目となる今年は18カ国から600を超えるエントリーがあった。

ts_jda09.jpgts_jda10.jpg 総エントリー数は603(左)。「国際最優秀賞」に輝いたのは、英国のジェームズ・ロバーツ氏が開発した低コストの保育器「MOM」(右)

 国内選考の審査員は、昨年に続きデザインエンジニアの田川欣哉氏とフリージャーナリスト・コンサルタントの林信行氏が務めた。表彰式であいさつに立った田川氏は、「JDAの特徴は、1つのエントリーが時間をかけて作られたクオリティーの高いものであること。(国際最優秀賞の)600分の1という数字が持つ重みは、他のアワードより重い」と話している。

日本最優秀賞作品:Qolo

ts_jda02.jpg Qolo

 「Qolo」は、足の不自由な人が日常生活の基本的な動作を行えるように開発された支援機器だ。コンパクトな外骨格機構で足から腰までを支持し、足首や膝にかかる力をバネでサポート。利用者が上半身を前に傾けると無理なく立ち上がることができるほか、胴体を前に傾けると前進、体をひねると左右への進路変更など、立ったままの状態で移動できる。

ts_jda11.jpg Qoloを制作した筑波大学の江口洋丞氏と清谷勇亮氏

 審査員の田川氏は、「感銘をうけたのは、機器設計の視点の中に“人の尊厳”というキーワードが入っていたこと。車いすの人達と会話するときは目線の高さに差が出るもの。立った状態で会話できればメンタル上の差が出る。素晴らしい着眼点だと思う」と評価した。

 現在はプロトタイプを使って検証と設計のブラッシュアップを行っている段階。その結果を反映した次のモデルも試作を進めており、数カ月以内の完成を目指しているという。

2位:Raplus

ts_jda03.jpg Raplus

 Raplusは、歩行機能障害のリハビリをアシストする小型のロボットアシスト機構だ。従来のリハビリ支援機器は高機能で高価だが、Raplusは補助力を必要最小限とし、また広く使われている“リハビリ装具”を活用することでコストを抑えるという。

ts_jda12.jpg Raplusを制作した菅原祥平氏(専門学校桑沢デザイン研究所)と北野智士氏(東京工業大学大学院)

 円盤状のRaplusを装具の膝関節部分に装着すれば、膝を半分程度の補助力で歩行を助ける。Raplusに内蔵した加速度センサーが歩行のタイミングを検出し、接地時に膝の曲がり具合に応じた補助力で膝をアシスト。振り出し時にはトルク制御で間接をフリーにするという仕組みだ。

 さらにクラウド連携も可能。歩行時のデータをタブレット端末などで確認し、それを元に出力調整が行えるなど利便性を向上させるほか、リハビリデータを病院などが広く共有することで全体の効率をアップさせることも検討している。今後、実際に病院で臨床実験を行う予定だ。

 林信行氏は、「機構的に小さいがスマートにデザインされている。コストを抑え、しかもクラウドでサポートすることでリハビリをする人たちのモチベーションもアップする。トータルでよくデザインされた作品」とコメントした。

3位:COMP*PASS

ts_jda04.jpg COMP*PASS

 COMP*PASSは、紙の上で多様な図形を描画できる不思議なコンパスだ。軸を押さえてぐるりと回すと、ペンを持つ脚が動的に制御され、四角や星など何でも描くことができる。これまでディスプレイの中にとどまっていたCADによる描画が、この装置を通すと紙の上に表せるという。

ts_jda13.jpg 会場に来られず、ビデオでプレゼンを行った制作者の中垣拳さん。「ゆくゆくは製品化したい」と話していた

 「実際に触ったことがあるが、この奇妙さがこのプロジェクトの特徴で、私も大好きなところ。人間は道具を握った瞬間から拡張された存在になり、体だけではできないことも可能になる。どこまでが人間なのか考えたいために作っているのでは?」(田川氏)。

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