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» 2015年01月30日 20時52分 UPDATE

麻倉怜士のデジタル閻魔帳:4Kテレビの先が見えてきた――2015 CES振り返り(前編) (1/4)

2015 International CESのトレンドは今回も4Kテレビだった。しかし、AV評論家の麻倉怜士氏によると、過去数年とは少し様子が違っていたという。4Kテレビに加わる付加価値とは?

[芹澤隆徳,ITmedia]

 1月上旬に米国ラスベガスで開催された「2015 International CES」。今年もAV評論家・麻倉怜士氏に家電メーカー各社の傾向と分析を詳しく聞いていこう。

――今年のCESはいかがでしたか?

麻倉氏: 毎年、テレビを中心に見ていますが、テーマがはっきりしている年と、そうではない年があります。例えば2010年は3Dテレビが大きなテーマになりましたが、終わりもハッキリとしていました。2012年はスマートテレビに注目が集まりましたが、スマートテレビ自体の定義もはっきりしない状況でした。今年はAndroid TVやFireFox OSなどの採用が進んだ一方、スマートテレビという言葉自体はまったく聞かなくなりました。そもそも単にスマホから連想したスマートテレビが無理なコンセプトだったのでしょう。

ts_2015enmaces05.jpgts_2015enmaces06.jpg LGのWebOSテレビ

麻倉氏: ここ数年は“4K”が話題の中心で、今年も順調に浸透していることがうかがえました。米国ではOTT(Over The Top)のIP放送が「NetFlix」などで始まり、人気を集めています。CAEの調査では、2014年は4Kテレビが全体の4%でしたが、2015年は11%、2016年が29%、2017年で38%、2018年には41%になると予想しています。とくに40インチ以上では、2018年で構成比が63%に達すると見ています。

ts_2015enmaces03.jpg 米国テレビ市場における4Kテレビの構成比推移予測

ts_2015enmaces04.jpg 全世界の4Kテレビ出荷台数予測(出典はGfK)

麻倉氏: ただ、過去数年に比べると今年は様相が違っていました。4K自体はもう当たり前で、むしろ4Kテレビを取り巻く画質向上のための技術や操作性など、複数のキーワードでくくることのできるテーマが登場したのが新しい。4Kはベーシックなトレンドであり、それに何を加えるかということです。それも1つではく、複数の付加価値が提案されています。

 また、これらの付加価値に対し、日本のメーカーはもちろん、韓国や中国のメーカーも期せずして同じ方向を向き始めました。昨年まではシャープの8Kや韓国メーカーのスマートテレビなど国によって微妙に方向性が異なっていたのですが、今年はほぼ同じ。今回のCESでは、それがハッキリしたと思います。

――8Kの展示も多かったのですか?

麻倉氏: 多くはありませんが、いくつかの展示がありました。例えば韓国のサムスンは昨年のCESとIFAで98インチの8Kテレビを展示しましたが、今回は中国BOEのパネルを使った110インチでした。前回までは展示機に静止画しか表示していませんでしたが、今回はタイムラプス動画……つまり高解像度の静止画を連続して見せる疑似的な動画を表示していました。おそらく8Kカメラが手に入らないためでしょう。

 また8K解像度を利用した裸眼3Dのデモンストレーションも見ることができました。以前、東芝が4Kパネルをベースにした裸眼3Dテレビを作っていましたが、それを拡大したようなイメージですね。残念ながら映像はまだ評価できるようなレベルではありませんでしたが。

ts_2015enmaces07.jpg LGエレの98インチ8K。LGディスプレイ製パネルを使っている

 LGエレクトロニクスは昨年同様、98インチの8Kテレビを見せていました。以前、パネルはBOE製ではないかと言いましたが、実はLGディスプレイ製だったそうです。またLGディスプレイは今後、65インチ、55インチといった、より小型の8Kパネルも製造するつもりで、日本のテレビメーカーに売りたいと話していました。今のところは積極的に売り込んでいるわけではありませんが、日本で試験放送が始まる頃には大々的に展開するそうです。

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