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見えてきた「Netflix」の国内サービス――対応テレビも着々(1/2 ページ)

» 2015年02月20日 15時26分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 日本国内への参入を発表した米国の大手映像配信サービス「Netflix」。東芝レグザの「J10シリーズ」に続き、パナソニックからも対応テレビが発表され、2015年秋のサービス開始を目指して着々と準備を進めていることが伺える。東芝「J10シリーズ」の発売日となる2月20日、Netflixの国内担当者が現状を語った。

Netflixのデバイスパートナーエコシステム担当バイス・プレジデントのScott Mirer(スコット・マイヤー)氏

 「Netflix」は、全世界に5700万人の会員を持つ世界最大の動画配信サービスだ。毎月決まった金額を支払うと映画やドラマなどが見放題となるサブスクリプション型のサービスで、料金は月額8.99ドル(国内では未定)。米国内でのタイトル数などは常に変動していることもあって非公開だが、プライムタイム(夕方から夜にかけての時間)におけるインターネットトラフィックのうち、ダウンロードの35%をNetflixが占めるという。

 同社のデバイスパートナーエコシステム担当バイス・プレジデントのScott Mirer(スコット・マイヤー)氏によると、「米国の一般家庭は、平均で1日に4〜5時間ほどテレビを見ているが、その1/4程度、つまり毎日1時間をNetflixを利用してくれている計算になる」という。そして現在では世界50カ国で同様のサービスを展開中。「2014年の年末時点で全世界に5700万人のユーザーがいる。そして徐々に米国以外の比率が高まっている」(同氏)

加入者件数の伸び。上の色の濃い部分が米国外の加入者数を示している

 なぜ大きく伸びているのか――マイヤー氏によると、テクノロジーとコンテンツの両面でイノベーションを起こしているからだという。

 まずテクノロジー面では、視聴デバイスの拡大と効率的な配信手法を追求してきた。「われわれは、5年ほど前からあらゆるデバイスにNetflixのアクセス機能を付けてもらうように努力している。PCでスタートしたものの、どうしても“リビングルーム”に入りたかったため、STBやBDプレーヤー、ゲーム機、スマートテレビなどへの導入を進めた。CATVのSTBなどに入れてもらうロードマップもある」。

 実際、3年ほど前はPCやゲームが視聴デバイスの中心だったのに対し、最近はゲーム機の代わりにスマートテレビ、PCの代わりにタブレットやスマートフォンでが増えている。「国によって異なるが、世界中どこでも同じような傾向にある」(マイヤー氏)。

 配信手法では、米Amazonと密接な関係を築いたことが大きい。「Netflix早い段階でAmazon web serviceの導入を決めた。そして世界中、どこの国でも同じインフラを使用する」。さらにISP(インターネットプロバイダー)など、動画配信に関連する業者と一緒に効率の良い配信手段を追求する。

“満を持して”日本に進出する

 コンテンツ面でも主に2つのポイント挙げた。1つめはキュレーション機能の充実。「どのようなユーザーが見に来てもアピールできる、幅広いコンテンツをそろえること。もちろん国ごとにも違う。日本では日本のユーザーが見たいと思うコンテンツをそろえる」。詳細は未定だが、少なくともハリウッドの大作映画からドラマ、そして日本国内の映画とドラマが含まれる模様だ。「われわれは国ごとの事情を調査している。日本についても時間をかけて研究してきた。“満を持して”進出する」。


 もう1つのポイントは、オリジナルのコンテンツを制作し、「Netflixじゃないと見られない」状況を作り出すことだ。「海外で制作したものを提供することもあるが、日本でもオリジナルコンテンツの制作を検討していく」。そしてNetflixは、全世界に5700万人の顧客を抱えた巨大なウインドウ(コンテンツの流通経路)にもなっている。「日本はアニメなどが有名だが、日本で調達した、あるいは制作したコンテンツを5700万人のユーザーにすぐに届けることができる」(マイヤー氏)。

Netflixのオリジナルコンテンツ一覧。日本ですべて提供できるかは未定だという

 こうしたコンテンツ重視の姿勢は制作の現場にも及ぶ。例えばNetflixのオリジナルコンテンツ制作では、クリエイターの権限が非常に大きいという。「例えばテレビドラマなどは放送時間が決まっているが、われわれの独自制作では制限を設けず、ディレクターに任せる。テレビにはないようなものも作る。クリエイターの創造力を活かすことが重要だ」(同氏)。

 事実、同社は米国のテレビ界で最高峰といわれる「エミー賞」で過去数年にわたっていくつものアワードを受賞している。マイヤー氏は、「テクノロジーとコンテンツの両方で評価された結果」と胸を張った。

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