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8Kは立体テレビ!? 解像度と立体感の蜜月関係麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(1/3 ページ)

» 2015年12月02日 16時19分 公開
[天野透ITmedia]

量販店のテレビコーナーを4Kが賑わす今、開発者達は“8Kの謎”を解明しようと奮闘している。そんな中、8KウォッチャーであるAV評論家の麻倉怜士氏は、10月の「CEATEC JAPAN 2015」でNHK放送技術研究所で行われた解像度と立体感の関係性に関する実験で、非常に興味深いものを見つけたと報告した。今まで“なんとなく”感じていた高解像度の恩恵を解き明かす実験というが、その結果は?

映像における立体感の関係について解説した麻倉氏。8Kと立体感は非常に密接な関係だという

――8Kをテーマにするということですが、市場ではようやく4Kテレビが普及価格で出回り始めたばかりで、8Kについてはまだ実験段階です。「そもそも8Kなんて必要なのか?」という声すら、一部では聞かれますが……

麻倉氏:今回はテレビ放送にこだわらず、もう少し大きな視野で「8K」というものの価値を見ていきましょう。実際に今、映像の制作現場では着々と8K対応が進んでいます。それからもう1つ、実は最近「8Kって立体テレビ?」という声が聞こえはじめてきましたんです。

――立体テレビというと、専用メガネをかけて視るアレを想像します。ですが8Kが立体テレビというのはどういうことでしょうか?

麻倉氏:2011年に初めて出てきたシャープの85V型8Kディスプレイで、私は立体感を感じました。東京タワーを空撮した静止画で、ビルがニョキニョキと生えている感じがしたんです。この時に視た8Kは2D映像で、もちろん3Dメガネなんて着けていません。

NHKとシャープが共同開発したスーパーハイビジョン対応85V型液晶ディスプレイ(写真は2011年のNHK放送技術研究所一般公開で撮影したもの)

――2D映像を視ているのに激しい立体感を感じた、ということですよね? 確かに今までの映像の世界でも「いかに立体感を出すか」というのは重要なテーマの1つで、それの究極進化型が3Dテレビだと思っていたのですが

麻倉氏:この時の映像はNHK技研近くの砧川(きぬたがわ)で4月に撮影されたもので、桜の枝ぶりがこちらに「ニョキッ」と出てくる感じでした。こういった感覚というのは大きな画面だけのものではありません。「スマホでも高精細は立体的」という意見が多く出てきています。

 つまり高精細映像の立体感に関して、1つは8K映像を見た人達から、もう1つは高解像度ディスプレイ搭載のスマホ利用者から、異口同音「映像に立体感を感じる」という声が多数出てきたというわけです。

麻倉氏が8Kで「非常に立体感を感じた」という空撮映像と砧川の桜

――スマホのディスプレイというと、だいたい4インチから7インチ程度のサイズですね。8Kテレビは85インチや100インチ前後ですから、そもそもの大きさや視聴環境が全く異なります。共通項は画素そのものが圧倒的に小さく、視認不可な程ピクセルレートが高い、つまり解像度の向上で映像が立体的になってきたという訳ですね。

麻倉氏:解像度が高いということ自体が立体感に影響するのではという視点で調査したものが、実は今年のNHK技研公開でパネル発表されていました。これは見逃せません。

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