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イベントの「待機列問題」をスマホで解消?「整理番号WEB表示システム」は救世主となるかシステム&イベント担当者に聞いた(1/2 ページ)

» 2016年05月14日 09時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 人気アニメやゲームに関するイベント開催が盛んになっている。しかし同時に、長蛇の列がトラブルのもととなるニュースも増えた。2015年の8月には、人気ソーシャルゲーム「モンスターストライク」イベントが想定をはるかに超える大混雑となり、熱中症で多くのファンが倒れたことが話題になった。女性向けの作品でも、限定商品の発売で朝早くから長蛇の列が形成され、近隣住民とのトラブルになった「刀剣乱舞」の例がある。

 拡大していくイベント規模、過熱していくファン……。アニメ・ゲームイベントの「待機列問題」の解消は難しいのだろうか。

スマホを活用して待機列を解消する「整理番号WEB表示システム」

 最近、「待機列」に関してSNSで話題になったのが、「整理番号WEB表示システム」だ。人気アニメ劇場作品の展示イベント「KING OF PRISM キンプリファン感謝祭」(以下、「キンプリファン感謝祭」)でも導入された。

さまざまなイベントで利用されるようになってきた「整理番号WEB表示システム」

 整理番号WEB表示システムは、次のような仕組みになっている。まず、イベント入場者や物販購入希望者は、整理券を受け取る。その整理券にはQRコードが記載されており、携帯電話やスマートフォンで読み込むと、現在整理番号が何番まで進んでいるか分かるようになっている。いつ戻ってくればいいのかおおよその目安時間の表示もできるので、イベント参加者や物販購入希望者は列から離れて自分の順番を待てる。つまり、いったん待機列が解消されるのだ。

 この仕組み自体は、病院の受付などでも活用されているもの。しかしアニメ・漫画のイベントに取り入れているところに新しさがある。

担当者に聞く「システムが生まれた理由」

 なぜこのシステムが生まれたのか? 「整理番号WEB表示システム」のサービスをレンタルしているシステム担当者に話を聞いた。

 システムを提供しているのは、主にイベントや展示会などの運営を行う大阪の企業だ。アニメや漫画とコラボをしたイベントや物販の運営実績も多い。さまざまなイベント運営を請け負ううちに、「待機列」に関する課題を抱えるようになった。

 「お客様の『早く入場したい!』という気持ちが強いがゆえに、主催側の想定を上回る長蛇の列になってしまったり、朝早くから何百人と行列ができてしまったり……といったトラブルが起きることがある。熱中症の問題や、列整理をするスタッフのコストが余計にかかることも、運営する上での大きな懸案事項となりました」(システム担当者)

 単純な整理券配布ではなく、スマホ番号を表示するシステムになったのには理由がある。

 「限定品300個を販売するだけなら、単純に整理券を300枚配っておけばいい。しかし、販売する商品の種類も多く、お客様が欲しいものもそれぞれ違うタイプのイベントでは、単純な整理券の方法ではうまくいかない。平等にスムーズに並んでいただくにはどうすればいいのかと考えました」(システム担当者)

 これらの問題を解決するために生まれたのが整理番号WEB表示システムだ。QRコードが記載された整理券で来場者は戻ってくる目安の時間がわかり、待機列から離れることができる。空いた時間で客が周辺の飲食店で飲食をする……といった効果も期待できる。

 関西では導入例が多く、2015年には京都大丸百貨店での「黒子のバスケ」コラボや、大阪ひらかたパークの「弱虫ペダル」イベントなどで利用されてきた。関東でもサービスレンタルの依頼は増えている。2016年3月に渋谷マルイで開催された「モンスターストライク」物産展も導入例の1つだ。


 「整理番号をWEBで表示するシステムの中には、住所などの個人情報を登録するタイプもあります。ですが、当社が提供する整理番号WEB表示システムは、個人情報の入力を必要としません。個人情報流入のリスクや入力の手間を感じることなく使用していただけるのもメリットだと思います」(システム担当者)

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