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人はなぜ「応援上映」にハマるのか 映画館で大騒ぎする新体験を図解してみた4DXのキンプリは今日から(1/3 ページ)

» 2016年06月18日 06時00分 公開
[ちぷたそITmedia]
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 「常識を覆す新しい映画の上映スタイル」として話題になった「キンプリ」こと劇場アニメ「KING OF PRISM by PrettyRhythm」の応援上映。

 筆者もそんなキンプリ、そして応援上映に魅せられた1人です。今まで映画館で同じ作品を何度も見るなんて考えられませんでしたが、キンプリの応援上映を見るためだけに8回も劇場に足を運びました。こんなことは今までにはなかったことです。

「応援上映」って何?

応援上映 全く新しい映画上映スタイル(イラスト:ちぷたそ)

 応援上映とは、声援OK、サイリウムOK、コスプレOKという、「映画は静かに見るもの」という今までの常識を覆す新しい映画の上映スタイルです。キンプリの場合は、チケットの代金はどこの劇場でも均一で1600円、そしてレディースデーなど各種割引は適用外となります。応援上映は、通常上映の回とは別に応援上映専用の回が用意されているので、チケットを買う際には注意が必要です。

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連載:勝手に図解!オタクの世界

ネットの話題からディープなオタクネタまで、なんかよく分からないけどみんなが気になっている(であろう)現象を、「ねとらぼ」でも活動している好奇心ダダ漏れサブカルライターちぷたそ(@chip_potekko)がゆるっと図解していきます。なお、異論は大いに認めます。


 個人的な感想ですが、応援上映は映画を見るというよりも「1600円で気軽に行けるライブ」という楽しみ方が近いと思います。実際、キンプリの応援上映鑑賞中はシーンごとに変わるサイリウムの色の切り替えや掛け声をかけるのに忙しく、終わった後はうっすら汗をかくことも。

 そんな応援上映がスゴイと話題になり、口コミで次々とファンを増やしていったキンプリ。作品自体も応援上映を想定した作りで、観客が掛け声をかけやすい間を取り入れていたり、観客が声をあてられるアフレコシーン「プリズム☆アフレコ」(公称)を用意していたりします。キンプリは、「応援上映特化型」の全く新しい映像作品だったといえるでしょう。

観客参加型の上映スタイル

キンプリ 劇場アニメ「KING OF PRISM by PrettyRhythm」キービジュアル©T-ARTS / syn Sophia / キングオブプリズム製作委員会

 そんな観客参加型の上映は、キンプリが初めてだったのでしょうか? 実はそうではありません。「プリキュアシリーズ」や「アイカツ!」といった女児向けアニメの劇場作品では、鑑賞中に使用する専用のライトやアプリを用意して観客参加型の上映を実施していました。また、女児アニメ「プリパラ」でも今のキンプリに近い応援上映の試みは何度か行われています。

 観客が映画に参加できるという上映スタイルは、他にもあります。日本での興行収入が250億円を突破する大ヒットとなったディズニー作品「アナと雪の女王」も、「みんなで歌おう版」という特別上映を実施しています。

 スクリーンに表示される歌詞に合わせて歌うことができる観客参加型の上映だったのですが、当時は上映中に声を出すという文化がまだ浸透しておらず、字幕に合わせて歌ったところ「映画館なんで」と他の観客に注意された人もいたのだとか。そのため、当時は「観客が声を出すという上映スタイルは、シャイな日本人には不向きなのではないか」という声も見られました。

 それから2年が経ち、キンプリの登場です。筆者は新宿・池袋・川崎・みなとみらいの4つの劇場でキンプリ応援上映を体験しましたが、いずれの応援上映も大盛り上がり。四方八方から歓声が聞こえ、幻想的にうねるサイリウムの波の中で身をゆだねて気持ちよく楽しむことができました。「シャイな日本人」のイメージはどこへやら。ここにあったのは「キャラクターを、そして作品を応援したい」という気持ちに向かってみんなで心を合わせて応援する姿でした。

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