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“とある事故”がきっかけ 腐女子・女オタクさんの目覚めを聞く禁断の連載スタート(2/3 ページ)

» 2016年06月20日 06時00分 公開
[ちぷたそITmedia]

目覚めは「ハリー・ポッター」

ちぷたそ 今日は皆さんの記憶の扉をゆさぶりにはせ参じました。よろしくお願いいたします。

腐女子さん ……長谷部み(※)を感じる。

用語解説:長谷部み

長谷部とは、DMM.comのブラウザゲーム「刀剣乱舞」に出てくるキャラクターの1人。腐女子さんの推しキャラ。オタク界では「〜〜み」という言葉をよく使い、ここでは「はせ参じる」というちょっと堅めの言葉使いに「長谷部っぽさを感じる」くらいの意味。類似例:「ヤバみ」「尊み」など。


ちぷたそ ……うれしい。では、腐女子さんからオタクおよび腐女子になったきっかけを教えてください。

腐女子さん まず、私は幼稚園から小学校6年生まで家庭の方針でアニメ、漫画、ゲームを全部禁止されていて、唯一の娯楽が小説でした。だから、外から見ると文学少女だった。小説の妄想の中で生きてましたが、まだBL的に読むとかはしてなかったです。

 中学生になると、入学祝いでパソコンを買ってもらって。当時は1巻丸ごと暗唱できるくらい「ハリー・ポッター」シリーズ(※)にハマっていたので、Yahoo!で「ハリー・ポッター」を検索したんですね。検索結果を見ると、一番上から映画の公式サイト、次が出版社の公式サイト、そしてその下にファンサイトというものがあったんです。

用語解説:ハリー・ポッターシリーズ

英国作家J・Kローリングによる児童向けファンタジー小説。ホグワーツ魔法魔術学校に入学した魔法使いの主人公ハリー・ポッターの成長を描く。


一同 おおっと!

腐女子さん ファンサイトが何なのか知らなかった私は、ファンがやってるサイトなんだなーと軽い気持ちでクリックしました。すると、「腐っている要素を含んでおります。理解できないもしくは嫌悪感を抱かれる方はブラウザバックしてください」って書いてあった。さらに中に入ってみたら、「迷える子羊よようこそ」って。

ファンサイト そうそう、こんな感じのやつ……既視感は作れる(再掲)

一同 あったーーーー(全員顔を覆う)!

腐女子さん あなたは何人目の……というカウンターが(笑)。

ちぷたそ キリ番(※)踏んだら申告を求めてくるやつだ。だから私、絡みにいけるタイプじゃなかったからキリ番が近づくと遠慮してアクセス控えてた(笑)。

用語解説:キリ番

1000、1234、3333など、サイトの訪問者カウンターのキリがいい数字を「キリ番」と呼ぶ。キリ番を踏むと、サイト内でコメントしないといけなかったり、イラストを贈られたりというさまざまなルールがあった。


腐女子さん そこは小説サイトで、二次創作という文化を知らなかった私には新鮮だった。当時、私は「マルフォイはなぜあんなにハリーを憎んでいるのか」「嫌いなら無視すればいいのになぜ突っかかってくるのか」と疑問だったんですが、サイト内で「実はマルフォイはハリーが好きなんだ」という解釈を見つけて。

 それを見て、「そういうのもあるのか」と目からうろこがボロッボロ落ちた。今まで、男性が男性に好意を抱くっていう発想がなかった私はその解釈に感動してしまって、「誰かに言わなきゃ」と思い、学校で友達に言ってみたんです。

ちぷたそ どんな反応だった?

腐女子さん 「腐女子」という言葉すら知らなかったので、とりあえず身近な子5人に言ってみたところ、3人は「なにそれ面白い!」、あとの2人は「なにそれキモい」という反応でした。そのとき、こういう解釈が好きな人と嫌いな人がいることを学び、なおかつ自分はそういう解釈が好きな人間なんだと知りました。あと、これは隠れて楽しむ趣味なんだってことも。

 同時期、友達にKey(ゲームソフトメーカー。成人向けも扱う)作品が好きなギャルゲーマーがいたので、そっちにも手を出します。そして中学2年生のときに……これを夢女子さんの前で言うのもなぁ。

女オタクさん なーにー?

腐女子さん 言いたいことがありまーーす(キンプリネタ)!

一同 なーーにーーー!

キンプリ KING OF PRISM・キンプリ応援上映CM・60秒/MC:アレクサンダー(cv武内駿輔さん)より。隙あれば好きな作品のネタをねじ込むのも女性オタクあるある©T-ARTS / syn Sophia / キングオブプリズム製作委員会

腐女子さん 友達に「テニプリ(※)のアニメ見てる?」って言われて。それまで私は小説とゲームに生きていてアニメは見てませんでした。その子に(男性キャラクター同士の)とあるカップリング名を言われて、「分かった、じゃあそういう視点でテニプリを見てみるね」って返したんです。

用語解説:テニプリ

許斐剛氏が週刊少年ジャンプ(当時)で連載を始めた漫画「テニスの王子様」の通称。イケメンキャラクターが多数登場し、女子に大人気。「アニメ放送当初はテニス部に入る子が増えた」(参加者談)。


女オタクさん いきなり!?

腐女子さん 原作もアニメも知らない状態でいきなりカップリングを植え付けられたうえ、ひたすらそのカップリングの良さをプレゼンされました(笑)。

女オタクさん 英才教育ですな。

腐女子さん その子から表現豊かに「この2人はこういう感じで、こういうこともあって……」ってずーっと説明されてたんですけど、実際アニメを見たらその子の妄想が9割ぐらいだった。

一同 (爆笑)

声オタさん 腐女子あるある(笑)。

腐女子さん 実際には結婚式設定とかはなくて、その子が公式か妄想か分かんなくなっちゃってたようです(笑)。「テニプリヤバい、ハマる」と思ったときにはもう遅くて、その友達とカップリングの話しかしなくなってました。

 そのときには「腐女子」という単語を知っていたのですが、腐女子になる子は小学校2年生くらいからそういうのにハマりだすという話を聞いてたので、「私はニワカだから腐女子って名乗っちゃいけない」と思ってました。

ちぷたそ 「新参たたき」とかありますからね。悪しき慣習だ。それにしても小2って早くない!?

腐女子さん その頃はアニメイトの棚を見ながら「この本欲しいけど、年齢制限あるから買えないな」とか思ったり、全年齢のシールが貼ってあると喜々として買ったりとかしてました。まとめると、私が腐女子に目覚めたきっかけは、「ハリー・ポッターからのテニプリ」だったんです。

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