ニコン「AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR」は、APS-Cサイズ(DXフォーマット)に対応した同社Fマウント対応の標準ズームレンズだ。先日登場したデジタル一眼レフ「D500」のキットレンズに設定されている製品でもある。実写を見ながら、その画質と使い勝手をチェックしていこう。
本レンズ最大の特長は、幅広いズーム域と明るい開放値を両立していること。35ミリ判換算の焦点距離は、ワイド端24ミリ相当で、テレ端120ミリ相当。広角から中望遠までをしっかりカバーしつつ、ワイド端F2.8、テレ端F4という明るさによって撮影自由度を高めている。
最初の写真は、やや暗めのシーンをワイド端で撮影したもの。カメラをローポジションに構えることで地面を写し込み、空間に奥行きを与えた。周辺減光やタル型の歪曲収差はそれなりに見られるが、解像感は高く、合焦部分はシャープに描写できている。
次はテレ端の開放値で撮影。近景と遠景がふんわりとぼけて、主題であるメガネを画面から浮かび上がらせることができた。ボケ具合はスムーズで、特にうるさい印象はない。大口径と呼べるほど明るくはないが、テレ端の開放値がF5.6ではなくF4であることは、こうしたボケ表現に有利といえる。
ボケ狙いのカットをもう1枚。次はズームの中間位置を使用して、車窓の水滴にピントを合わせた。ホワイトバランスを色温度4550Kにセットして、全体を青っぽい色合いに仕上げている。
続いて、絞り込んだときの描写を見てみよう。次の2枚は、絞りF16を選択し、斜め上からストロボを照射して撮影。植物の色と形状、質感をリアルに再現することができた。
レンズの外形寸法は、最大径が80mmで、長さが85.5mm。フィルター径は72mm。重さは約480gとなる。DXフォーマットの標準ズームの中ではやや大柄で重めだが、D500装着時のバランスはちょうどいい。外装は鏡胴部が樹脂製で、マウント部が金属製となっている。
AFは、超音波モーターによって静粛かつスピーディに作動する。フォーカスリングの幅が狭く、マニュアルフォーカスの操作感があまり快適でないのは残念だ。距離目盛りを備えている点はありがたい。
レンズ表面に汚れが付着しにくいフッ素コート対応や、効果4段分の手ブレ補正機構は、撮影時の安心感を高めるうれしいポイントだ。手ブレ補正のモードはNORMAL/ACTIVEの2つを選択でき、三脚使用時のブレ補正にも対応する。
レンズ構成は、EDレンズ4枚、非球面レンズ3枚を含む13群17枚。ゴーストやフレアを抑えるナノクリスタルコートも採用している。
最短の撮影距離は、ズーム全域で35cmに対応。最大撮影倍率は0.22倍。ちょっとした接写用にも使える倍率だ。
今回の撮影では、ほどよいボケ表現とズーム全域での高コントラストな写りを楽しむことができた。5倍という広いズーム域は、荷物の量を減らしたい旅行用にも最適だ。D500だけでなく、「D7200」や「D5500」などより小型のボディと組み合わせるのもいいだろう。
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