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» 2016年10月03日 20時24分 UPDATE

麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」:映像技術の底力を見せつけたパナソニックとソニー、麻倉怜士のIFAリポート2016(前編) (1/4)

近年低調気味だったパナソニックとソニーだが、今年のIFAではそれぞれキラリと光る技術を公開した。現地を取材したAV評論家の麻倉怜士氏が、会場の様子を2回にわたって大いに語る。

[天野透,ITmedia]

 毎年9月にベルリンで開催される家電&エレクトロニクスの祭典であるIFAが今年も盛大に開かれた。近年低調気味だったパナソニックとソニーという2大巨塔だが、今年はそれぞれの映像技術がキラリと光った。そんな2016年のIFAを取材した麻倉怜士氏が、会場の様子を2回にわたって大いに語る。

毎年恒例のIFAモニュメントの前で、今年もパチリ。撮影時刻は午後7時半頃にもかかわらず、夏のベルリンではまだまだ街灯不要の夕焼け時。緯度の高さを実感させる一枚だ

――今年もベルリンから、全世界に向けた新製品のお便りが多数届く季節になりましたね

麻倉氏:私は2010年からIFA取材を始めており、今年で7年目になります。IFA取材の際には毎回メッセベルリンの専務理事であるハテッカーさんに話を伺っているのですが、今年はIFAの変化というお話が出ました。

――IFAの変化、ですか?

麻倉氏:IFAは元来クリスマス商戦に向けたドイツおけるメーカーと流通のミーティングポイントという性格の商談会ですが、近年はそれに加えて国際化が顕著になってきたということです。ドイツ国内の流通ショウから、メーカーも流通も世界を意識した物に変わってきたのです。

背景には民生機器のトレードショウとして世界一の座を争うCESへの対抗があります。あちらはこれまで「International Consumer Electronics Show」と呼称していたものが、今年から単にCESの三文字になりました。ラスベガスは随分と前から国際化していたのですが、その対抗からIFAも国際性を追求してきており、世界的に見てメーカー、バイヤー、そして新製品発表の場として欠かせない場所であるという意味でジャーナリストを世界から集め、重用なオケージョンに成長しました。

――CESの影響もあって「ドイツのIFA」から「世界のIFA」へ進化したということですね

麻倉氏:もう1つ、展示の打ち出し方が単なるトレードショウに留まらず「これからのトレンドを提示する」ことが重要になってきたということです。これまでも「TechWatch」という技術に特化した展示のコーナーや「IFA Summit」というこれからの動向を探るディスカッションイベントはあったのですが、今年は「IFA」で今の動向を、「TechWatch」で2〜5年後の技術を、「IFA Summit」で10年後の展望を見通すという3本立ての構成となり「先10年を知るにはIFAに来てこれらのイベントに触れるのが一番」という方針を打ち出してきました。

 ハイテッカー氏は「基本的にはクリスマス商戦を睨んだトレードショウが中核です。ケーキに例えるとスポンジが商談でイチゴやホイップなどのデコレーションがトレンドセッター。どちらかが欠けてもケーキにならないように、IFAもどちらが欠けても成り立ちません」と話していました。

――なるほど、単なる大商談会を超えて、将来の技術を一堂に会することで今と未来を見渡そうという構成に変わってきたわけですね。グローバル化で規模が大きくなったからこその発展ですね

麻倉氏:このような状況に追随するように、ソニーなどもIFAを重要視してきており、近年ではCESではテレビの新技術を出して、オーディオの新製品はIFAで発表するというパターンが出来上がっています。IFAが追求する国際的なメーカーの動きとして、IFAというイベントを重視するところが増えました。日系としてもソニーとパナソニックが気を吐いているほか、今年はビジュアル的にシャープも復活を遂げたかのようなプレゼンを行いました。日系メーカーが全体的に数年前の停滞期からは一歩抜けだした、というのが私のオーバービューです。

近年のIFAは「IFA」「TechWatch」「IFA Summit」という3つのセクションから成る。すべて合わせることで「10年先までの“次のトレンド”を見通す」というのがコンセプトになっている
開会前のプレスカンファレンスでは、会の規模を示す数字が次々と流れた。総2階建ての超大型旅客機、エアバスA380が次々と飛んでくるというユーモアたっぷりな演出も

――では具体的な内容に入りましょう。ズバリ、今年の最重要トレンドは何だったのでしょうか?

麻倉氏:分かりやすい最新技術を挙げるのは難しい今回のIFAですが、最大のポイントはやはり有機EL(OLED)ではないでしょうか。IFAでもCESでも、ここ数年OLEDは台風の目となっていますが、今年はいよいよ“OLED元年”ともいうべき本格的な製品化が始まりました。

――OLEDはパナソニックなどが海外展開をしており、日本でもLG製品が販売中ですよね? あえて今年を“OLED元年”と表現する理由は何でしょう

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