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» 2016年11月25日 16時51分 UPDATE

山本浩司の「アレを聴くならぜひコレで!」:ハイレゾをもっと気持ち良く――2016年、心に残ったホームオーディオ機器4選 (1/2)

ヘッドフォンもいいけれど、スピーカーで聴く音はもっと味わい深い。今回は、今年出会って心に残ったスピーカーリスニングのホームオーディオにおけるデジタル・ギアを紹介しよう。ラインアップはChord「DAVE」、DELLA「N1A/2」、PS Audio「NuWave DSD」、OPPO Digital「Sonica DAC」だ。

[山本浩司,ITmedia]

 ソニーとAstell&Kernを中心に携帯型プレーヤーのハイレゾ化、高級化が話題となった2016年。確かにちょっといいヘッドフォンと組み合わせて高級携帯プレーヤーの音を聴いてみると、なるほど凄いものだナと思う。この高音質なら、外界を遮断し、頭内定位の音世界にずっと浸っていたくなる気持も分からないではないゾ、と。

 しかし一方で、「ヘッドフォン難聴」が社会問題化しつつあるこんにち、四六時中ヘッドフォンをかぶっていることがいかに危険かを、業界挙げて若い人に伝える努力をもっとすべきではないかとも思う。

 以前本欄でも触れたが、ある取材で耳鼻咽喉科の医師に話を聞く機会があった。その取材で驚かされたのは「長時間ヘッドフォンをかぶって大きな音を聴き続けていると、鼓膜のすぐ奥にある高音を受容する蝸牛の有毛細胞が死滅していき、それは二度と復活することはない」という話だった。そう、レーシック手術でもしないかぎり近眼は(ほとんど)直らず、メガネやコンタクトレンズに頼らなければならないのと同様に、有毛細胞の死滅があるところまでいくと補聴器を付けるほかないのだそうだ。

 そんな話を聞くと、ヘッドフォン・リスニングの使用時間、最適音量のガイドラインを、業界挙げてユーザーに周知徹底するのは急務だと思うし、まずはなんといっても「家に帰ったらヘッドフォンをはずし、適正音量のスピーカーで音楽を聴く」習慣を音楽好きの若い人たちに定着させることが大事なのではないかと思うのだが……。

 そんなマクラを振って今月書こうと思うのは、今年出会って心に残ったスピーカーリスニングのホームオーディオにおけるデジタル・ギアのいくつかだ。

Chord「DAVE」とデラ「N1A」

 筆者は自室にハイレゾファイル再生用機器を何種類か所有しているが、現在メインで使用しているのが、英国Chord(コード)のD/Aコンバーター、「DAVE」とバッファローがオーディオ専用NASとして開発した“DELA”(デラ)の「N1A」との組合せだ。

ChordのフラグシップD/Aコンバーター「DAVE」(スタンドは別売オプション)
バッファローのDELA(デラ) 「N1A」

 DACとNAS の組合せって? と疑問に思う方がおられるかもしれないが、2014年の春に発売されたN1Aは、2014年12月のファームウェアのアップデートによって「USB-DAC接続機能」を有するようになり、N1Aとお気に入りのUSB-DACを直接つなぎ、汎用操作アプリ(例えばLINNの『kinsky』など)を用いてネットワークプレーヤーライクに使用できるようになったのである。この機能が追加されてから、同社はN1A/N1Zを「DELAミュージックライブラリー」と呼ぶようになったが、確かにオーディオ専用NAS というよりもこの呼称のほうがよほどしっくりくる感じがする。

そしてこの秋、DELA製品の開発・販売を担うバッファローの子会社、メルコシンクレッツからN1Aの後継モデル、「N1A/2」が発売された(2TBのHDDを1基搭載した『N1AH20/2』と2基収めた『N1AH40/2』の2モデル展開)。

「N1A/2」

N1AとN1A/2の最大の違いは電源回路。N1Aの上級機「N1Z」に載せられていた大容量のコンデンサーバンクがN1A/2にも搭載されたのである。3.5インチHDDは、従来の東芝製よりも低電流&低振動のウェスタンデジタル製「BLUE」に換装されている。また回路基板そのものも、より信号経路が短くなるように配線レイアウトの見直しが図られ、フットも従来の鉄と木の組合せからアルミと樹脂のハイブリッド・タイプに改められた。音に軽やかさと開放感を与えるための変更だと音質設計担当者は言う。

 N1Aでは背面にUSBポートが3系統設けられていたが、N1A/2には新たに音質を吟味したUSB-DAC直結専用端子が加えられた。また、フロントパネル左下のUSB A端子もUSB2.0からUSB3.0仕様に進化している。

 新製品のN1A/2と筆者所有のN1AをそれぞれDAVEにつないで、ネットワークトランスポートとしての音質を比較してみたが、その音質差は予想通りというか予想以上だった。組み合わせるDAVEは、音楽に好ましい抑揚を付けてイキイキと生命感あふれるサウンドを聴かせてくれるD/Aコンバーターなのだが、N1A/2のほうがその良さをいっそう色濃く提示してくれる印象なのである。低音の安定感も明らかにN1A/のほうが上。比較すると、旧モデルのN1Aは音楽が平坦に聴こえてしまうのだ。

 ちなみに、DELAの製品は今年5月、7月のファームウェアのアップデートによってCDリッピング機能とCDトランスポート機能(リッピングせずUSB接続のままCDが再生できる)が追加されている。PCレスで音楽ファイルが自在に扱えるよう着実に進化し続けているのだ。

 そんなわけで、ぼくは2TBのHDDを2基収めた「N1AH40/2」をオーダーし、その到着を待っているところだったりするのです。

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