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1字違いでお値段半分!? テクニクスのアナログターンテーブル「SL-1200GR」は何が変わった?(1/2 ページ)

» 2017年03月22日 00時45分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 パナソニックがテクニクスブランドの新製品として発表したアナログターンテーブル「SL-1200GR」は、SL-1200シリーズのスタンダードモデルだ。2016年に発売した上位モデル「SL-1200G」と比較すると外観に大きな違いはなく、型番も1字追加されただけ。しかし、価格はSL-1200Gの33万円に対し、今回は半値以下となる14万8000円(いずれも税別)。手を出しやすい製品の追加は大歓迎だが、「どこでコストダウンしたか」は気になるところだろう。

新しいスタンダードモデル「SL-1200GR」。価格は税別14万8000円。5月19日に発売予定だ
製品名 SL-1200GAE SL-1200G SL-1200GR
発売時期 2016年6月 2016年9月 2017年5月
価格(税別) 33万円 33万円 14万8000円
備考 国内300台の限定モデル 現行の上位モデル 新しいスタンダードモデル

 SL-1200シリーズは、1972年に発売された「SL-1200」から続く、テクニクスを代表する製品の1つだ。その特徴は、超低速回転のモーターが実現したトルクフルなダイレクトドライブ方式。さまざまなスクラッチ・プレイが可能となり、オーディオファンのみならずDJにも支持された。2008年、同社がホームオーディオ市場から一時撤退したときも最後の製品は「SL-1200MK6」だった。

2016年6月に国内300台限定で発売され、30分で売り切れた「SL-1200GAE」
2016年9月に発売された「SL-1200G」。SL-1200GAEとの主な違いは、トーンアームの色(シャイニーシルバーからマットシルバーに変更)とインシュレーターの素材(αGELから特殊シリコンラバーに変更)、そしてハウジングの色(ダークシルバーからメタリックブラックに変更)程度だった

コストを抑えながら上位機に近づけたモーター

新開発コアレス・ダイレクトドライブ・モーターの概要

 新しいSL-1200GRには、新開発のコアレス・ダイレクトドライブ・モーターが採用されている。コアレスとは、コア(鉄芯)のないという意味で、ダイレクトドライブ方式の課題であった“コギング”と呼ばれる回転ムラや回転中の微小な振動を防ぐ効果がある。こうした基本的な設計思想はSL-1200GAE/Gのモーターと同じだが、異なるのはツインローター型からシングルローター型に変更されたこと。SL-1200GAE/Gではステーター(固定子)を挟んで上下にドーナツ状の永久磁石(ローター磁石)が配置されているが、SL-1200GRでは一方を削っている。

こちらはSL-1200Gのコアレス・ダイレクトドライブ・モーターを分解したもの。中央のステーターを挟んで上下(写真では左右)にローターを配置して大きなトルクを生んだ。SL-1200GRではそのローターが1枚になっている

 シングルローター化のデメリットはトルクが下がること。これに対応するため、SL-1200GRはプラッターを軽くした。重量を比較すると、SL-1200GAEのアルミと真ちゅうで作られたプラッターが約3.6kgあったのに対し、SL-1200GRのプラッターはゴムシートを入れて約2.5kgと1kg以上も軽い。

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