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秘密は照明のフリッカー! リアル店舗に人を呼び込むフィリップスの「インドア ポジショニングシステム」とは?滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(2/3 ページ)

» 2017年03月25日 06時00分 公開
[滝田勝紀ITmedia]

スーパーの店内を歩いてみると?

 具体的な使い方を、スーパーマーケットを例に説明しよう。お客としてスーパーマーケットを訪れた人が自分のスマートフォンを取り出す。専用のアプリを立ち上げると、店舗の2Dもしくは3Dマップが表示される。そこには棚のジャンルや置いてある商品が記載され、文字通り、手に取るように店舗のことが分かる。

店内の分かりやすい地図と説明

 陳列された商品名や価格のデータは、クラウド経由で一括管理されているため常に最新だ。スマートフォンを持ったまま店内を歩き出すと、マップ上に目的の商品までの行き方が表示される。店内には無数のLED照明があり、それがすべて固有のパターンで明滅(=フリッカー)している。パターンは6万4000。アプリでは、スマートフォンのカメラを使ってフリッカーのパターンを読み取って位置を測定するため、来店者は目的の商品のある棚まで迷うことなく進むことができる。

店内でできること

 目的の商品棚に近づき、スマートフォンに目を落とすとどうだろう? その商品データが表示されるだけでなく、例えばワインだったら、そのワインと相性のいいチーズ、飲み残した際に真空状態を保持するためのワインキーパーといった関連商品が、その店舗のどこに売っているか示されている。しかも、目的の商品や類似する商品がタイムセールを行なっていたり、値引きキャンペーン中だったりすると、そうした情報も全てスマートフォンが教えてくれる。これはEC店舗のレコメンド機能を超える利便性といえる。来店者はあらゆる情報を見落とすことなく、欲しいものをお得に、かつスピーディーに買うことができる。

タイムセール中の商品をお知らせ

 ここまでなら、GPSなどほかの通信技術でも実現できるかもしれない。

 「その問いに対する答は“イエス”です。LEDを使ったIPSで実現する意味はどこにあるのか。それは導入コストが圧倒的に安価だからです。そもそも照明というのは、どの店舗にもある日常的なアイテムです。しかも24時間通電し続けているという点もポイント。つまり、新たな特別の機器などを導入したり工事をすることなく、可視光通信技術対応のLED電球やLED管に変えるだけで、このシステムが簡単に導入できるのです」

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