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まだ見ぬ“秘境”が見つかる「冒険中毒者アプリ」 トラベラーたちの情報共有の場

» 2017年08月19日 06時00分 公開
[細谷元ITmedia]

 映画『インディ・ジョーンズ』のような、“冒険”といえる旅行に憧れてはいないだろうか。一般的な旅行情報誌とは一味違う、貴重な“冒険”の情報が詰まったアプリが、実は存在する。

憧れの“冒険”情報が集まるアプリがあるという(Photo by Danka & Peter on Unsplash)

冒険家による冒険家のための冒険アプリ

 その名も「Adventure Junky」(アドベンチャー・ジャンキー)。直訳すると冒険中毒者。オーストラリアの冒険家たちが開発した、iOS/Android向けの冒険専用トラベルアプリだ。トレッキング、スキューバダイビング、洞窟探検、スカイダイビング、ジャングル探検など、アドベンチャートリップに特化したコミュニティーとその情報にアクセスできる。

冒険専用トラベルアプリ「Adventure Junky」

 Adventure Junkyの特徴は、「生の声」と「ゲーミフィケーション」の2つだ。

 このアプリでは、世界中の冒険トラベラーたちがシェアしてくれる“生の情報”にアクセスできる。熟練の冒険者たちが自身の体験から情報を提供してくれるため、一般的なメディアを見ているだけでは得られないような穴場情報を見つけることができるかもしれない。書き込まれた情報に目を通してみると、ペルーの断崖ロッジや米国の断崖ハンモックなどが目を引いた。

ペルーの断崖ロッジ

 もう1つの特筆すべき要素がゲーミフィケーションだ。このアプリで紹介されている世界各地のアドベンチャーにはポイントが決められており、ユーザーがその場所にチェックインすることで、そのポイントが与えられる仕組みだ。

 例えば、ベトナムの秘境探検には4120ポイント、ベネズエラの巨大滝探検には5430ポイント、タンザニアでの登山には5450ポイントといった具合。2017年7月時点でのランキング1位の冒険トラベラーは29万2500ポイントを獲得している。

 ユーザーは世界中を旅し、ポイントを増やしてランキング上位を目指すことで、フォロワーを増やし、冒険トラベラーとしての認知を高めることができる。また、表彰イベントが定期的に実施されており、高ポイントのトラベラーには旅行グッズなどが贈呈されるようだ。

29万2500ポイントでランキングトップの冒険トラベラー

アプリを使って冒険先を探してみる

 では、実際にアプリを使って冒険先を探してみたい。まずマップ機能を使って国・地域ごとに探してみる。筆者はシンガポールに住んでいるので、近場のインドネシアで探してみることにした。

マップ機能で近隣のアドベンチャーポイントを探すことができる

 「BUKIT LAWANG JUNGLE TREK」というアドベンチャーが目にとまった。インドネシア・スマトラ島東北部の都市メダンの北方に位置するジャングルで、映画『インディ・ジョーンズ』をほうふつとさせる、まさに冒険にふさわしい場所だ。この冒険には7490ポイントが与えられる。

 このトリップの詳細・注意点については、すでにこの場所を訪れた冒険トラベラーがシェアしてくれている。冒険でトラブルに巻き込まれないためには、この生の情報をしっかりと確認することが非常に重要だ。

 書き込みには、このジャングルは国立公園に指定されており、ジャングルに踏み入るには許可とガイドが必要なこと、トレッキングはそれほど簡単でないことなどが記載されている。

 また、地元の村では、学校の子供たちに英語などをボランティアで教えることもできる。そうすることで地元コミュニティーに溶け込み、そこでのライフスタイルや文化をより深いレベルで体感できることも記載されていた。

インドネシアの秘境探検

 ほかにもいくつか冒険先とそれに付随する情報を見てみたが、どれも一般向けの旅行ガイドでは目にすることのない、貴重な情報だということが分かった。

冒険で人は、自然の大切さに気付く

 また、このアプリを使っていくと、情報を共有してくれる冒険トラベラーたちが、このアプリの開発者同様にアドベンチャーを愛し、それと同時に自然や文化を大切にするマインドを持っていることに気付くはずだ。

 世界の観光産業は拡大し続けているといわれているが、観光地では大規模開発や観光客の大量流入などで自然・文化遺産が破壊されるなど課題も多く、持続可能性について疑問視する声もある。

 Adventure Junkyはそのような状況に警鐘を鳴らし、冒険を通じて自然・文化を意識した持続可能な観光を促進しようとしているのだ。

 これから夏休みを取って旅行の計画を立てられるなら、Adventure Junkyを使って行き先を探してみるのもよいだろう。単なる消費する観光ではなく、自然や文化に触れることで視野・思考を広げ、深めてくれる意義ある夏休みになるはずだ。

ライター

細谷元(Livit)


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