Android 3.0とTegra 2で“最上”の体験を:開発陣に聞く「Optimus Pad L-06C」
2月のMWC2011で発表後、約1カ月半での日本発売となったLGエレクトロニクスの「Optimus Pad L-06C」。Android 3.0の開発と並行して進んだというハードウェア開発と、Optimusブランドの今後について関係者に話を聞いた。
3月31日に発売されたNTTドコモのLGエレクトロニクス製「Optimus Pad L-06C」は、Android 3.0を搭載したタブレット端末だ。
約8.9インチのワイドXGA(1280×768ピクセル)TFT液晶を搭載したボディは、243(幅)×14.1(厚さ:最薄部12.8)ミリとiPadに近いサイズ感だが、高さが150ミリと片手でもかろうじて持てるサイズに収まっているのが特徴。ディスプレイの縁はやや広めでテーパーがかけられており、置いた状態でも指掛かりが良いなど、持ちやすさも考慮されている。
プロセッサは、NVIDIAが手がけた1GHz駆動のデュアルコアプロセッサ「Tegra 2」を採用し、高い処理速度を誇る。背面には5MピクセルのCMOSカメラを備えており、最大2592×1944ピクセルの静止画(JPEG)が撮影できるほか、1920×1080ピクセルのフルHD動画(MPEG-4)も撮影可能。メインカメラは2基あり、専用アプリで3D写真やフルHDの3D動画も撮影できる。
ドコモではもちろん、国内を通しても初めて発売された“Android 3.0”端末のOptimus Padについて、LGエレクトロニクスジャパンの次長/マーケティンググループマーケティングManagerの尾花圭介氏にお話を伺った。
北米に継ぐスピード投入
Optimus Padのベースとなったグローバル版Optimus Padは、2月に開催されたMobile World Congress 2011で発表された。最初に発売されたのは北米T-Mobile向け(製品名はG-Slate)で、日本のドコモは世界2番目。世界で発表されたスマートフォンやタブレットの発売が遅くなりがちな日本だが、L-06Cはかなりのスピード投入といえる。
尾花氏はL-06Cの開発について、「端末とOSの開発が並行して行われたこともあり、ローカライズや細かい外見を除けば、グローバルモデルとの違いはほとんどありません」と話す。それだけにドコモ向けのカスタマイズはほとんどされていないが、「ドコモマーケット」はもちろん、3月15日からデータプラン契約にも提供されたspモードを利用することで、L-06Cでも@docomo.ne.jpのキャリアメールや「BeeTV」「2Dfacto」「E★エブリスタ」など、ドコモのコンテンツサービスを楽しめる。
そしてLGのスマートフォンならではといえるのが、「LG World」というメーカーアプリの存在だ。LGがセレクトしたアプリや動画を、LG Worldを通じてダウンロードできる。
「ゲームやテレビ番組などのコンテンツを、LGユーザーだけに提供しています。中には本来有料のコンテンツもありますが、LG World経由なら無料でダウンロードできます」(尾花氏)という。電子書籍の購読などで有料のものもあるが、本来有料のゲームや韓流ドラマを無料で楽しめるのは朗報だ。
このLG Worldは、世界のLG端末にインストールされている共通アプリだが、発売される国ごとにカスタマイズされているという。各国のユーザーにマッチするコンテンツが定期的に更新されていくので、Optimus PadのユーザーはLG World経由でさまざまなコンテンツを楽しめる。何より「Android3.0対応のアプリはこれから増えていく段階。Optimus Padを活用できるアプリは、いち早くLG Worldにラインアップしたいと思います。また、有料コンテンツの無償提供という方針も、当面は変わりません」(尾花氏)というのも、嬉しい話だ。
エンターテイメント利用を支える高いハードウェアスペック
現在各キャリアから販売されているタブレットは、9.7インチ液晶を備える「iPad」を筆頭に、7インチ液晶の「GALAXY Tab」、10.1インチ液晶の「XOOM」とさまざまなディスプレイサイズが用意されている。尾花氏は8.9インチ液晶のOptimus Padについて、「10インチでは大きい、7インチではちょっと小さい。その真ん中にあるちょうどいいサイズ」と話す。
Optimus Padのディスプレイは、やや横長の1280×768ピクセルという解像度になっているが、これは、「YouTubeなどでも横長のワイド画面のコンテンツが増えてきました。Optimus Padはディスプレイがワイドなので、全画面表示にしたとき、コンテンツが画面にフィットして余計なUIが見えることがないように」(尾花氏)という配慮もあるという。
また、端末の向きに合わせて左右のステレオ音声を再生できるよう、スピーカーを端末の3カ所に装備する工夫も見られる。
サイズ感やディスプレイ解像度など、気軽に持ち歩けるマルチメディアビュワーとしての作り込みを感じるOptimus Pad。処理速度についてもTegra 2の採用により、ストレスのない操作性を提供する。Android 3.0の基本UIが快適に動くのはもちろん、Tegra 2それ自体で1080pのフルHD動画や3D動画を処理できるうえ、FlashやHTML5などのWebコンテンツもより高速に扱える。
それをすぐに実感できるのが、フルHD動画や3D動画の撮影だ。残念ながらフルHDも3Dも端末のディスプレイが非対応(赤青メガネをかけるアナグリフ方式での立体視は可能)のため、HDMIで出力した3D対応テレビでの再生となってしまうが、単なるビューワーに留まらない使い方が楽しめる。
またHDMIによるディスプレイ出力は“ミラーリング”も可能で、端末の操作画面やWebブラウザ、YouTubeの再生画面をそのまま大画面で楽しむことも可能だ。HDMI入力があるプロジェクターであれば、ビジネス用途のプレゼンテーションも行えるだろう。
一方、処理速度の高速化で気になるのがバッテリー寿命だ。この点については「Tegra 2は省電力性も高く、ディアルコアだから消費電力が高いというわけではない」と尾花氏。また、Optimus Padのバッテリーは6400mAhと大容量のもので、FOMA利用時の待受時間は約900時間となっている。利用可能な時間については明らかになっていないが、尾花氏によると「例えば映画なら3本くらいは連続して再生できる」とのことだ。
大容量ゆえか、Optimus Padの内蔵バッテリーはUSB充電ができず、ユーザーの交換もできないが、長時間のバッテリー寿命はそれを補う魅力といえるだろう。
Optimusブランドの国内展開を強化
スマートフォン、特にAndroid端末では海外メーカーの国内参入が勢いを増している。日本ではHTCやSamsung電子、Sony Ericssonの端末がすでに認知されつつあるが、グローバルでみればLGエレクトロニクスも携帯電話・スマートフォン分野の巨人だ。
“Optimus”は同社のスマートフォンとタブレットの国際ブランドだが、国内ではドコモから登場したQWERTYキー搭載のAndroid端末「Optimus chat L-04C」が第1弾であり、L-06Cがそれに続く製品となる。尾花氏は「日本でのブランド展開はこれからが本番」と意気込みを見せる。
Optimus Padが登場したMobile World Congress 2011のLGエレクトロニクスブースでは、3D撮影が可能な「Optimus 3D」やデュアルコアプロセッサを搭載したスマートフォン「Optimus 2X」、屋外でもクリアに表示できるというNOVA液晶を採用した「Optimus Black」、LTE対応の端末も展示されていた。もちろん、それ以外の新しいOptimus端末が出てくる可能性もある。
「どの“Optimus”とは言えませんが、今後も国内ではOptimusブランドで端末を供給していきたいと思っています。ぜひ楽しみに待っていて下さい」(尾花氏)
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