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JR東日本が「2017年4月以降、グローバルスマホにFeliCa」と断言――現実味を帯びてきた「iPhoneでおサイフケータイ」の可能性石川温のスマホ業界新聞

NFC Forumが日本で開催したイベントにおいて、東日本旅客鉄道(JR東日本)のIT・Suica担当部長がグローバルモデルのスマートフォンにおける「モバイルSuica」対応を言及した。早くて2017年4月以降に公共交通機関に対応するNFCスマホにおいて、原則としてFeliCa搭載が搭載されるというのだ。

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「石川温のスマホ業界新聞」

 「FeliCaを搭載したiPhone」の信憑性が増してきた。

 先週、業界関係者が「今度のiPhoneにFeliCaが載るかもしれない」という証言を紹介したが、今度はJR東日本が確信的とも取れる発言をしたのだ。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年7月16日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 7月14日、第11回NFC Forum ジャパン・ミーティングというイベントが開催されたのだが、その基調講演に東日本旅客鉄道株式会社のIT・Suica事業本部、山田肇技術戦略担当部長が登壇。そのなかで「2017年4月以降、公共交通機関で利用されるGSMAに対応するグローバルモデルのNFC携帯端末はNFC-Fも実装することになる」と語ったのだ。GSMAは世界の通信事業者を束ねる業界団体であり、NFC-FとはもちろんFeliCaのことをさす。

 山田氏はモバイルFeliCaの目指す方向として、「グローバルモデルをお持ちの日本のお客様にもモバイルSuicaを使ってもらうことが将来に向けた目標」とした。もちろん、ここでいう「グローバルモデル」とはiPhoneを置いてほかにないだろう。

 もともとJR東日本では、今年で10周年になるモバイルSuicaにおいて、当初は全国の鉄道事業者で使える様に相互接続の作業を中心に行っていたが、ここ最近はグローバルの場に出て、他の規格との融合に尽力していた。

 GSMAやNFC Forumなどが参加する「公共交通ワークショップ」に積極的に参加し、モバイルSuicaにおける知見を紹介。JR東日本では、自動改札で1分で60人が通過できる性能が必須とし、そのためには自動改札のタッチする部分と端末が通信距離85mm以上、処理時間が200ms以内というのを絶対条件としていた。

 この条件が欧州とは違っていたが、NFC Forum規格などを変更することで合意が図られた。NFC Forum規格では「決済と公共交通の両方で使用できる」「世界各国で同一の規格で使用できる」という規格になっただけでなく、GSMAがNFC Forum規格を参照するという決定も行われた。これにより、GSMAに対応するNFC携帯端末はNFC Forum規格に従うことになり、結果として「FeliCaが使える様になる」となったのだ。

 実はアップルはNFC Forumに加盟している。そのため、アップルであっても、FeliCaに対応する流れができている。

 かつてUSB-C規格が世間で普及していないタイミングだったにも関わらず、アップルは率先してMacBookにUSB-Cを導入したこともあるなど、アップルは他社にさきがけて、グローバル規格を取り入れる姿勢が見られる。

 2017年4月以降ということは、来年発売のiPhoneにFeliCaが導入されるのは間違いなさそうだ。場合によっては今年の秋に前倒しで載せる確率もあり得そうだ。そのあたりの山田氏に尋ねたところ「それはメーカーの判断になる」とのことだった。ただ、JR東日本では「もうちょっと多くのユーザーにモバイルSuicaを使ってもらいたい。現行のアプリはケータイのころのユーザーインターフェイスを採用しているが、今後はスマホに合わせたユーザーインターフェイスに変えていくつもりだ」と語る。

 果たして、このユーザーインターフェイスの変更はiOSアプリの登場を待って実現されるのか。いずれにしても、「iPhoneでモバイルSuica」はかなり現実味を帯びてきたと見て間違いないだろう。

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