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» 2004年02月03日 00時34分 UPDATE

「待たせたな」と、きょうは「Prescott」Pentium 4の実力を調べてみた(その1)

インテル初の90ナノプロセス採用「Prescott」コアPentium 4がついに登場。新世代プロセス以外にもL2キャッシュ増量など新機軸を盛り込んだPrescottの実力はいかに?

[佐藤哲,ITmedia]

 ようやっとPrescottが発表にこぎ付けた。90ナノプロセスで製造されるインテルの新しいPentium 4プロセッサが本日発表された。今回登場したのはL2キャッシュ1Mバイト、FSB800MHz、ハイパースレッディング(HT)テクノロジに対応した3.40E GHz、3.20E GHz、3E GHz、2.80E GHz(Prescottコア採用Pentium 4のクロック表記には数値末尾に“E”が付けられる)と、90ナノプロセスながらFSBが533MHzでHTテクノロジー非対応の2.80A GHzの以上5製品。

 同時に130ナノプロセスのNorthwoodコアPentium 4/3.40GHzと、Northwood-2Mコアを採用したPentium 4 Extreme Edition(XE)/3.40GHzもラインアップに追加された。本来であれば昨年の暮れに出荷されるはずだったPrescottだが、諸般の事情で延期。やきもきしながら待っていたユーザーも少なくないだろう。

 これまで出荷されていたPentium 4は130ナノプロセスと呼ばれる製造プロセスルールに基づいていたが、今回発表されたPrescottコアのPentium 4は、90ナノというより微細化されたプロセスルールで製造されている。一つのトランジスタのサイズが小さくなっているため、同じダイサイズに集積できるトランジスタ数が増え、その分機能を増やすことができている。

 インテルは、2003年のIntel Developer ForumでPrescottのダイサイズを112平方ミリ、トランジスタ数を1億2500万個であることを明らかにしているが、ここからもNorthwoodの131平方ミリ、5500万トランジスタに比べて、ダイサイズが小さくなっているのにトランジスタ数が倍になっているということがわかる。

 この増えたトランジスタは、拡張された機能に利用されている。大きな強化点はL2キャッシュのサイズが1Mバイトに増やされていること。Northwoodの512Kバイトの倍に増やされているL2キャッシュは、メモリレイテンシの削減に貢献することで処理能力の向上が期待できる。

 また、整数演算機が一つ追加されているのも構造上の大きな変化といえる。この追加された演算機は“Complex Instr”とだけ説明されており、今のところどのような役割を果たすのかは明らかでない。

 Prescottの命令実行パイプラインは31ステージと、Northwoodの20ステージに比べてさらに細分化されている(別記事参照)。このパイプラインの細分化の狙いは明らかで、より高い動作周波数を実現するためと考えられる。パイプラインの細分化は、より容易に高クロックを実現することにつながるからだ。

 ただしデメリットもある。CPUは命令の分岐予測などを行いながら、パイプラインで投機的に前もって命令を実行している。このとき、パイプラインの最後のほうで分岐予測が外れた場合、そこまで実行した分を破棄して最初から命令をやり直す必要がでてくる。単純にパイプラインステージを細分化するだけでなく、こうした投機実行が失敗した場合のペナルティをどう抑えるかも性能向上のポイントとなってくる。

 Prescottでは命令セットの拡張も行われている。これまでPNI(Prescott New Instruction)と呼ばれてきた新しい命令セットは、SSE(Streaming SIMD Extentions)3と命名され、13個の新命令が追加された。いずれもビデオエンコーディングや浮動小数点演算などの処理能力を向上させる狙いがあると考えられる。

 ただし、SSE3を利用するにはSSE3に対応したアプリケーションが必要。今のところ、ペガシスのTMPGenc最新版となる「TMPGEnc 3.0 XPress」が、すでにSSE3に対応することを明らかにしている。

 同時に発表されたPentium 4/3.40GHz、Pentium 4 Extreme Edition(Pentium 4 XE 3.40GHz)は、いずれも従来の130ナノプロセスのPentium 4の高クロック版であり、とくに機能などの追加は行われていない。

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kn_xecpuid.jpg Crystal CPUIDによるCPUID表示。上からPrescottコアのPentium 4/3.20E GHz、NorthwoodコアのPentium 4/3.20GHz、Northwood-2MコアのPentium 4 XE/3.40GHz

利用するにはPrescottに対応したマザーボードが必要

 今回発表されたPrescottは、いわゆるSocket478に対応したmFCPGA2パッケージで提供されている。既存のSocket478マザーボードに差して利用することも可能だ。ただし、「差せること」と「実際に利用できること」は別問題と考えたほうがいいようだ。

 Prescottでは、トランジスタ数が増えたこととリーク電流と呼ばれるトランジスタから漏れる電流量が増大したことなどもあって、同じクロック数であっても消費電力はNorthwoodに比べて上昇している。

 そのため、エンジニアが熱設計時に参照する消費電力量(いわゆる熱設計消費電力と呼ばれるもの。Thermal Desgin Power:TDP)がNorthwoodに比べて上がっており、それにあわせて電流量も増えている。例えば、PrescottコアのPentium 4/3.20E GHzのTDPは103Wだが、NorthwoodコアのPentium 4/3.20GHzのTDPは82W。このように同じクロック周波数であるのに消費電力は20Wも増えてしまっているのだ。

 マザーボードでは、電力供給ユニット(Power Supply Unit:PSU)から供給される電圧を、搭載する電圧変換機によってCPUに供給できる電圧まで変換しているが、マザーボードが搭載している電圧変換器がサポートする仕様と、先に述べたPrescottとNorthwoodの消費電力の違いが「そのマザーボードでPrescottの動作するか?」の分かれ目となる。

 多くのマザーボードベンダーは、インテルが出しているデザインガイドに基づいて搭載する電圧変換機の仕様を選択している。ところがPrescottが利用可能なIntel 875P、Intel 865のデザインガイドには、「Prescott FMB1」と「Prescott FMB1.5」という2種類のガイドラインが存在するのだ。

 このうち、Prescott FMB1にしたがってデザインされたマザーボードでは「3GHzより下のクロックで動作するPrescott」が利用可能で、Prescott FMB 1.5を基にデザインされたマザーボードは今のところ「3.20GHzと3.40GHzで動作するPrescott」が利用できる。

 現在市場で流通しているIntel 875P/865の多くはFMB1.5でデザインされたものが多いが、初期の製品にはFMB1でデザインされているものも少なくない。自分のマザーボードで3.40E GHzと3.20E GHzのPrescottが利用できるかどうかは、マザーボードベンダの発表を待つほかない。

 すでに、ASUSTeK やGIGABYTE、MSIなどの大手マザーボードベンダは自社のWebサイトでPrescottへの対応状況や対応BIOSを明らかにしている。高クロックPrescottを利用したいユーザーはこれらの情報などを参考にするといいだろう。

(その2では、ベンチマークでPrescottの実力に迫る)

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