インテルは日本時間2月3日に、新しいPentium 4のラインアップを発表した。今回登場したのはPentium 4エクストリームエディションのL3キャッシュ2Mバイト拡張バージョンと、90ナノプロセスを採用した新コア「Prescott」採用Pentium 4の2種類。
また、このほかに従来の0.13マイクロプロセス「Northwood」コアを採用したPentium 4では最速クロックとなる3.40 GHzも同時に発表された。
それぞれ、今回投入される動作クロックと1000個出荷時の単価は以下のようになる。
Pentium 4 エクストリームエディション | |
動作クロック | 単価 |
3.40GHz | 999ドル |
PrescottコアPentium 4 | |
動作クロック | 単価 |
2.80A GHz | 163ドル |
2.80E GHz | 178ドル |
3E GHz | 218ドル |
3.20E GHz | 278ドル |
3.40E GHz | 417ドル |
NorthwoodコアPentium 4 | |
動作クロック | 単価 |
3.40GHz | 417ドル |
PrescottコアのPentium 4は、インテルとしては初めて新世代プロセスを商用主力CPUに採用したこともあって、これまで90ナノプロセスという特徴が大きくクローズアップされてきた。
従来、プロセスルールの縮小で注目されてきたのは「発熱量の削減」だったが、Northwoodと比べいっそう発熱量が増したPrescottでは、「高集積化と高機能付加の実現」を大きなメリットしてインテルはアピールする。
ちなみに、今回発表されたPrescottコアPentium 4と同クロックのNorthwoodコアPentium 4のPDTを比較するを次のようになる。
PrescottとNorthwoodのTPD比較 | ||
動作クロック | Prescottコア | Northwoodコア |
3.40GHz | 103ワット | 89ワット |
3.20GHz | 103ワット | 82ワット |
3GHz | 89ワット | 81.9ワット |
増えた発熱量をPCの筐体内でうまくコントロールするための指針として、Prescottでは発熱に関する新しいパラメータ項目「T CONTROL」を設けている。これはファンスピードをコントロールするために使われるもので、サーマルダイオードが感知している熱の温度がT CONTROLで設定されている値以下の場合はファンの回転数が減少するような制御が行われる。
また、PrescottコアPentium 4を搭載するPCの設計に関しても、インテルはメーカーが開発するPCケースにたいして「十分な空気口の確保とケース内通気の最適化」を指針として示し、実際に開発されたPCケースの検証ガイドラインを提供している。なお、ヒートシンクについては「Northwoodと同じソリューションで対応できる」とインテルは説明している。
90ナノプロセスが大きくクローズアップされるPrescottだが、その微細化によって可能になった高集積化のおかげで、数多くの重要な変更が加えられた。
技術的に注目したいのは、Prescottで採用された新しい製造技術。90ナノプロセスを実現するために、7層配線やLow-k、ニッケルシリサイド、歪みSiと、高効率の信号伝送や微細プロセスで問題になる漏れ電流への対策、微細プロセスを可能にする生成技術などがPrescottに投入されている。インテルは、現在三つのFabで90ナノプロセスの製造が行われており、製品発表時点から同じ時間経過で比較した生産量を比較すると、0.13マイクロプロセスよりも多く、急速に立ち上がっていると説明している。
機能的な変更点として注目したいのが、Northwoodの2倍となった1MバイトのL2キャッシュに、ステージ数が増えたパイプライン、ステージ増加にあわせたプリフェッチと分岐予測の精度向上、そして新しく13個の命令が追加されたSSE3だ。また、整数演算ユニットが一つ追加されてL1キャッシュ容量も16Kバイトと増えた。
インテルはPrescottでPentium 4のアーキテクチャ「NetBurst」を改良したとアピールしているが、基本的な処理プロセスや内部ユニット構成に大きな変更は加えられていない。L1、L2のキャッシュ容量の増加やパイプラインステージの増加以外では、プリフェッチや分岐予測のアルゴリズムを改良して精度向上を目指している。
2倍になったキャッシュ容量はパフォーマンスに影響を及ぼすものと思われるが、インテルが公開したベンチマークによると3DMark03やSYSmark2002などの一般的なベンチマークで同クロックのNorthwoodとの相対性能が0.99(SYSmark2002)に1.02(3DMark03)とほぼ同じ結果になっている。
今回発表されたPrescottコアPentium 4でユニークなのがPentium 4/2.80A GHz。クロック値のあとに“A”が付与されたこのCPUは、FSB 533MHzにHTテクノロジーをサポートしない以外、ほかのPrescottコアPentium 4と機能的に違いはない。現時点でHTテクノロジーよりメリットが小さいと思われるSSE3もサポートする。
2003年春にFSB 800MHz対応Petnium 4とIntel 875P/865ファミリーが発表されたとき、インテルは「2003年最大のミッションはHTテクノロジーの普及だ」と述べていた。今回、HT非対応のPrescottコアPentium 4をこの時期に投入する意図は何であるのか。
この疑問に付いて、インテルはPentium 4/2.80A GHzについて、Prescottの早期立ち上げのためにエントリーレベルの価格帯にPentium 4/2.80A GHzを投入し、90ナノプロセスCPUへの移行を促進させる、と説明する。一方で、これまでエントリーレンジをカバーするCeleronとの差別化については、Pentium 4/2.80A GHzはPentium 4のラインアップとしてCeleronより上位の価格になると答えている。
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