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東大でアニメプロデューサー養成 講師に押井守氏や大友克洋氏

» 2004年03月09日 18時58分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 東京大学大学院でアニメやゲーム、映画などの製作者を育てる「コンテンツ創造科学産学連携教育プログラム」が2004年秋から始まる。押井守氏など第一線で活躍中のクリエーターを講師に迎え、先端技術からビジネス論、関連の法律までマスターした「コンテンツプロデューサー」養成する。

photo 「世界に通用する人材を育てたい」と同プログラム代表の原島博教授

 講師は映画監督の押井守氏、漫画家の大友克洋氏や井上雄彦氏、スタジオジブリの鈴木敏夫事業本部長、角川ホールディングスの角川歴彦社長、ゲームディレクターの鈴木裕氏、プロダクションアイジーの石川光久代表取締役など。月1回前後講義を行うほか、カリキュラム作りの助言をしたり、学生を製作現場に招いて就業体験させたりする。

 東大の講師陣も講義する。CGやバーチャルリアリティなどの先端技術をはじめ、コンテンツ産業論や国際戦略論、知的財産に関する法律論など、総合大学の強みを生かして文理さまざまな内容を教える。情報学環・学際情報学府の原島博教授や河口洋一郎教授、新領域創成科学研究科の浜野保樹助教授など10人以上の講師が参加する。

 国産のアニメやゲームなどのコンテンツは国内外で脚光を浴びている一方、韓国や中国などの猛追にもさらされている。同プログラムは、日本のコンテンツ産業の競争力を支える人材を養成しながら、カリキュラムや教科書などを整備することで、他大学などでも同様の講座を開くための教育モデルとしての役割も果たす。

 製作現場のニーズに合った技術の研究開発も予定している。「ジョージ・ルーカスが米スタンフォード大学と連携し、映画に最新技術を取り入れているように、東大の技術をコンテンツに生かしたい」(河口洋一郎教授)。

 将来的には、インターネットやデジタル放送といったインフラに乗せるためのコンテンツなら、アニメやゲーム、映画に限らず幅広く扱う予定で、学科として恒久的に講座を設置する構想もある。

 同プログラムの定員は数十名。主専攻を持つ東大の院生が、副専攻として選択することを想定しているが、学部学生や社会人も一部受け入れる。修業年限は2年。また、多数の受講者を受け入れる公開講座も随時行う予定だ。

 入試は2004年夏休み頃。具体的な科目など詳細は未定だが、1次選抜である程度の人数に絞り、2次選抜以降で面接を含めた試験を行う予定。詳細は決まり次第、東大のWebサイトなどで発表される。

 同様の産学連携の試みとして東大では、学部生用の教養科目「ゲームデザイン&エンジニアリング論」を昨年4月に開講している。教室に入りきれないほど多くの受講希望者を集めたという。

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