コラム
» 2004年03月15日 11時17分 UPDATE

あなたに必要なのは「専用機化するPC」か、「PC化する専用機」か (1/2)

ユーザーの裾野が広がっていくに従って、PCは汎用性を犠牲にして「TV録画→DVD」のような専用機化しつつあるように見える。一方、家電はPCでなければありえなかったアップデートのような機能を得て、PC化の道を歩み始めている。どちらの道がより多くのユーザーから本当に求められているのだろうか?

[小寺信良,ITmedia]

 筆者はDVDライティング関係の書籍などを上梓した関係上、友人・知人たちからはパソコンやDVDにものすごく詳しい人、というふうに見られている。そんなことで最近は知り合いから、電話などで直接質問されることが多い。いわく、「インターネットにつながらなくなっちゃんだけど」、「DVD書き込みの途中でエラーしちゃうんだけど」。

 正直に言って、この手の質問が一番困る。なぜならば、質問してくる当人は、問題の結果が分かっているだけで、それを引き起こした因果関係がさっぱり分かっていないからだ。本人にわけがわからないものが、電話の向こう側にいるだけのオレにわかるものか。「調子悪くなる前に何かやったか」という問いには大抵、「何もしてないのに急にこうなった」と言う返事が返ってくる。

 PCは、初期状態に近いうちはうまく動くものだ。だが拡張性をユーザーに対して広く開放するあまり、ハードウェアやソフトウェアの追加によって、だんだん内部的な整合性が崩れていく。

 古くからPCに携わっている人間には、「そういうものだ」ということが分かっているので、トラブルは起こってもどの時点で調子悪くなったかなどを思い返してみて、「あいつがアヤシイ」などと目星を付け、なんとか解決方法を考えるものだ。WindowsXPでもドライバのロールバックや復元ポイントなど、それらをサポートする機能を装備している。

 だがそうではない人たちに「パソコンとはそういうものだ」と言ったが最後、まるで筆者がパソコン業界の悪癖をいつまでも改善しない諸悪の根源であるかのごとく、恨みつらみを延々聞かされるハメになる。筆者だって1ユーザーにしか過ぎないのに、これではまったく割に合わない。

なぜ初心者のPCはちゃんと動かないのか

 デジタル家電とPCの差をどこに求めるか、近頃このような議論も珍しくなくなってきている。筆者が思うに、かつては「自分が学習しないと何もしてくれない」のが、PCであったように思う。だが最近は、PCを買ってもソフトウェアの操作法を記した紙のマニュアルはなく、家電のようにハードウェアの簡単な注意点などが記された小冊子があるのみだ。

 PCの初心者は、箱を開けても大したマニュアルは出てこないので、家電などと同じぐらい簡単なのかと思い、とりあえず電源入れて適当に使い始める。電源を入れてすぐに使えるのは、電化製品としては理想だ。だがユーザー自身の手で動作不能にすることができるPCのようなもので、そこまでファーストステップを省略するやり方は正しいとは言えない。

 PCメーカーのほうでは、最初からユーザーが使いそうな機能を全部入れて整合性を検証したのち、出荷するようになっている。また最初から拡張スロット類が全部埋まっているPCも珍しくない。

 汎用性をなくすことで、ユーザーによって左右されるPC運用のブレ幅を狭めていけば、トラブルシューティングも簡単になる。多くのユーザーからみれば、「使いもしない機能がてんこ盛り」のPCに見えることだろう。だがユーザーの好き勝手にいろいろやられてしまうよりは、安全なのである。

 このようなPCは、時としてなんらかの専用機に見える。「テレビ録画→DVDライティングマシン」といった調子だ。それならば最初からデジタルレコーダーとか買った方が安いわけだが、それ以外にもいろいろ役に立ちそうだから、人はPCを選択する。そしてこのユーザーが求める汎用性へのニーズが、多くの場合トラブルの原因となる。

PCを使うのは、本当は難しい

 例えば「映像をDVDに焼く」なんてのは、今にして思えば最初から家電の領域としてやるべきことだったような気がする。PCでやると、映像ソースの種類やコーデック、ファイルフォーマットなどがとりとめもなく広がってしまい、すべての組み合わせに対してつじつまを合わせるのは難しい。筆者は映像の専門家なので、逆にいろんなケースに対応できなければプロとしてやっていけないという事情があってPCを使っているわけだが、普通の人にとっては単に面倒くさいだけだけのハズである。

 一方専用機では、最初からその目的のためだけに、すべてのハードウェアとソフトウェアが存在する。機能単価で割り算すると、PCよりも割高になるかもしれないが、リスクは少ない。その道のエキスパートを自任しないのであれば、誰でも使える専用機を利用すべきだ。

 実は筆者もここだけの話として白状すると、印刷関係にはものすごく弱かったりする。デジカメの写真を印刷しようと思っても、大抵は設定を間違えて最初の一枚はヘンテコなものを出してしまうか、用紙サイズを間違えてプリンタ内をインクでびしょびしょにしてしまう。

 A4の書類をスキャンしてB5に印刷するなんてのを妻に頼まれた日には、「黙ってオレに2時間くれ」と宣言してしまうほどの印刷オンチなのである。「そんなこともできねえのか」、「小寺信良バッカじゃねえの」と思ったヤツは、地獄へ堕ちやがれ。「苦手」とは、そういうものなのである。

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