コラム
» 2004年03月22日 11時11分 UPDATE

夢の終わりか始まりか、イメージステーション有料化 (1/2)

ソニーは、無償のデータストレージサービス「イメージステーション」一部有料化に踏み切る。さまざまな事情があるのだろうが、ストレージの“無償提供”と引き換えになる“収益源”を探し出せなかったこともその一つだろう。ではどうすればこうしたオンラインサービスを成功させられるのだろうか?

[小寺信良,ITmedia]

 ネット上のデータストレージサービスは、言わば「電脳空間上に空間を買う」という形から始まった。プロバイダと契約すると、ホームページ用として数Mバイトの無料エリアが手に入る。数年前は数十Mバイト単位の無料ftpサービスが沢山あったものだが、不況のあおりを受けて次々に消えていった。そしてまた、一つの無料サービスが消えようとしている。

大きな意味では「終了」か?

 ソニーのバイオやクリエ、デジカメなどのユーザーにとって、「イメージステーション」は便利なものであった。アップできるのは映像だけではあるが、静止画アップロードは無料で容量制限なし、という太っ腹なサービスであったからだ。

 イメージステーションでは、アップロードした画像はユーザーごとの「アルバム」という単位で管理される。そのアルバムに友人を招待して、画像をシェアすることもできる。例えば仲間で旅行に行ったり、キャンプしたりしたときに撮った大量のデジカメ写真をアップして、全員に公開することができる。その看板に掲げる「イメージでつながろう」のとおり、画像によってコミュニケーションが可能であった。

 このサービスが、2004年6月22日より一部有料化、アップロード容量制限付きとなる。すでにイメージステーションに登録しているユーザーにはお知らせのメールが行っているはずだ。

 新サービスでは、無料で使えるサービスとして静止画50枚と最大50Mバイトまでの動画ファイルを1枚、しかも保存期間は最短で1カ月となる。一方有料サービスはまだ料金が明らかになっていないが、静止画300枚と最大50Mバイトまでの動画ファイルを1枚となる。

 これまでも動画は50Mバイトまで1ファイルのみという制限であったわけだから、動画の容量はまったく変わらない。だが静止画の制限が無限大から50枚というのは、テンポラリ的に利用しているユーザーを残し、写真のストック先として利用しているユーザーの追い出しにかかっているという意味と捕らえていいだろう。

拡大してきたイメージステーション的世界

 今回のサービス変更には、いろいろな背景が含まれている。そのあたりから、舞台裏を考えてみよう。まず運用母体が、ソニーマーケティング株式会社 ソニースタイルドットコム・ジャパンカンパニーから、ソニー株式会社となる。つまりソニー本体が、このサービスを引き取る形になる。

 イメージステーションを実際に運用しているソニースタイルドットコム・ジャパンは、インターネットでソニー製品のマーケティングと販売、関連サービスを提供する、以前は独立した株式会社であった。設立は2000年1月27日である。それが2002年3月1日、ソニー製品の販売会社、いわゆる「販社」であるソニーマーケティング株式会社と統合され、同社傘下の1カンパニーとなった。

 世間ではeコマースの夢にすがって数多くのドットコム企業が立ち上がったが、その夢と現実とのギャップが明らかになったのは、おそらく2003年に入ってからであったろう。それをすでに2002年度内に引っ込めたのは、経営判断として素早かった。また実際にモノを売る会社内に入ることで、“形のないサービス”に形を与えやすいというメリットもあったことだろう。

 実際にこれ以降、イメージステーションはその対応幅を急速に広めていく。元々ネットワークハンディカムシリーズは、専用モデムなどを使ってイメージステーションへ画像をアップロードすることができたのだが、2002年9月に大幅リニューアルし、バイオ以外のソニー製品との連携を強化した。同年11月には、クリエ用イメージステーションもリニューアルしている。

 2003年3月には、ソニー・エリクソン製「A3014S」ユーザー向けに「ezVisualFlow」というアップロードソフトの提供を開始しているほか、5月にはAIBOに内蔵のカメラで写真を撮り、それをアップロードする「AIBOアイズ」というソフトウェアの提供も始まった。さらに<コクーン>CSV-P500、俗に言う「スカパー!コクーン」の「プレミアムアップグレード」でイメージステーションへのアップロード、閲覧が可能になった。

 これらをまとめると、イメージステーションは、バイオを含むパソコン全般、携帯電話、クリエ、ネットワークハンディカム、AIBO、コクーンからアクセスできるところまで成長してきた。だが今度の変更では、この中からクリエとネットワークハンディカムのサポートが終了する。

 ネットワークハンディカムのサポート終了は、妥当な線だと思う。ビデオカメラがWebにつながるのは、近未来的ではあるが、実際にはBluetooth対応の専用モデムや携帯電話が必要となる。またビデオカメラの2インチぐらいしかない画面で操作するのは、決して快適とは言えなかった。実際に利用ユーザーもそう多くはないことだろう。

 クリエのサポート終了は、ちょっと意外だ。もともとクリエ用には別のサーバが必要であったため、その運用が負担になったということだろう。

「無料」を維持する難しさ

 同様のサービスのなかでは、イメージステーションの知名度はずば抜けて高い。無料・制限なしというサービスを、2000年9月15日から約3年半も維持した心意気は大したものであった。

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