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米運輸保安局、“RFID搭乗券”の導入検討

» 2004年04月02日 09時38分 公開
[IDG Japan]
IDG

 空港内の乗客追跡のため、米運輸保安局(TSA)がRFID(無線ICタグ)を使った搭乗券の使用を検討している。これに対して一部のプライバシー擁護団体から、市民の自由を脅かすものだとして反発の声も上がっている。

 TSA担当者によると、搭乗券にRFIDチップを組み込み、乗客に「登録渡航者」プログラムに入ってもらうことで、乗客は登場手続きの際、安全と認定された「特別レーン」を進むことができ、移動がスムーズになるという。このプログラムでは、頻繁に旅客機を利用する人がTSAに詳細な個人情報を提出することになる。

 今週、米シカゴで開催されたRFID Journal Executive Conferenceで、TSA担当者は、RFID搭乗券が広く利用されれば、セキュリティスタッフは人々の居場所を把握でき、空港のセキュリティが強化されるはずだと説明した。このシステムをいつ、どのように導入する計画なのかは明らかにしていない。

 TSAは既に、米連邦航空局(FAA)の「Safe Skies for Africa Initiative」の下、アフリカでのRFID搭乗券の採用準備を開始している。この搭乗券の対象となる国がどこなのか、またプロジェクト開始時期は明らかにされていないが、FAAのイニシアチブ加盟国は、アンゴラ、カメルーン、カーボヴェルデデ、アイボリーコースト、ケニア、マリ、ナミビア、タンザニア、シンバブエ。

 プライバシー擁護団体Consumers Against Supermarket Privacy Invasion and Numbering(CASPIAN)の創設者、キャサリン・アルブレクト氏は、RFIDによる市民の追跡は、技術を使ったプライバシー侵害の「悪夢のシナリオ」だとしている。またPrivacy Rights Clearinghouseの常務理事ベス・ギブンズ氏も、RFID搭乗券は「疑問のある提案」だとし、空港では通常、数千枚の搭乗券が使われることから、その追跡は「データの混乱」により機能しない可能性もあると指摘している。

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