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» 2004年04月05日 10時29分 UPDATE

SunとMS、因縁の関係に決着。和解から生まれるものは?

長年対立してきたSunとMicrosoftは全面的な和解により、手を取り合って「顧客優先」の姿勢で両社製品の互換性強化に取り組む。Microsoftは年内に終える予定だったJava仮想マシンのサポート継続を認められる。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 Sun Microsystemsは4月2日、Microsoftを相手取った訴訟で全面的に和解するとともに、同社と「広範な提携契約」を結んだと発表した。Microsoftは独禁法問題の和解金として7億ドル、特許問題の和解金として9億ドルを支払うとSunのリリースには記されている。

 両社はまた、それぞれの技術を利用するための特許料支払いでも合意、まずMicrosoftが前金として3億5000万ドルを支払い、Sunは自社のサーバ製品にMicrosoftの技術を組み込んだ時点で支払いを行うという。

 Sunのスコット・マクニーリー会長兼CEO(最高経営責任者)は2日の電話会見で報道陣に向かい、「提携の規模によっては」Microsoftが今回の合意の一環として、4億5000万ドルの追加金を支払う可能性があると述べた。

 長年にわたる法的論争の末、MicrosoftとSunは、過去の特許侵害問題を理由に互いを提訴しないことで合意、特許のクロスライセンスをめぐる交渉に入る。またSun幹部の話したところでは、Microsoftが最近言い渡された欧州委員会による是正措置に取り組む中、SunはMicrosoftに反対する声をやわらげ、姿勢を軟化するもよう。

 SunはMicrosoftとの新たな関係を宣言。両社製品の連係を強化することに同意し、特許などの問題をめぐる契約を結んだと明らかにした。

 今回の契約には、互いのサーバ技術の利用、Microsoft通信プロトコルのSunへのライセンス供与、Microsoftによる一部Sun製品のサポートなど、技術面での提携も含まれている。

 両社はまず、サーバ版とクライアント版のWindowsで協力するが、メールおよびデータベースソフトまで協力範囲を拡大する可能性もある。例えば両社のエンジニアがユーザー認証管理などの問題に協力して当たり、MicrosoftのActive DirectoryとSunのJava System Identity Serverといった認証管理製品でもっと手軽に情報共有し合うようになるだろう。

 またこの合意の下、MicrosoftとSunはJavaと.NET技術の間の連係を強化するべく力を合わせる。Microsoftは自社製品でのJava Virtual Machine(JVM)のプロダクトサポート継続を認められる。Microsoftは年内にJVMのサポートを終える予定だったため、互換性やセキュリティに関する懸念が高まっていた(2003年12月の記事参照)。

 MicrosoftとSunは、両社が新たに築く蜜月関係から、顧客が製品の相互運用性強化による恩恵をいつ得られるかについてはほとんど明らかにしていない。「これは1つの進化になる。1つの製品にはとどまらない」とマクニーリー氏。この米サンフランシスコで開かれた記者会見には、Microsoftのスティーブ・バルマーCEOも列席した。

 「新時代の幕を開けるたぐいの製品リリースにはならない。われわれが目標として取り組むのは、顧客の声に応えた、実に顧客優先の製品だ。この取り組みはただひたすら顧客を喜ばせるものだと考えている」とバルマー氏。

 両社の技術ブレイン、Microsoftチーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏とSunの執行副社長兼CTO(最高技術責任者)のグレッグ・パパドプラス氏は既に何度か打ち合わせを済ませている。マクニーリー氏によると、Sunは四半期ごとの製品発表会で相互運用性面での進展を発表する。

 SunとMicrosoftが相互運用性強化の取り組みに取り掛かる分野については、顧客の発言権が大きいとマクニーリー氏。

 「スティーブと私は、企業顧客から寄せられた受信箱いっぱいの(要望の)メールを検討する。顧客にはシングルサインオンの連係を望む声もあるだろうし、データベースの相互運用性での協力、Javaや.NET、ツールでの取り組みに向けた希望などがあるだろう」(マクニーリー氏)

 マクニーリー氏によると、要望を検討した後、SunとMicrosoftはそれぞれ優先順位を付け、クロスライセンスの必要な知的財産を探り、相互運用性を実現する構えだ。

 2日に発表された合意には共同開発の条項は含まれていないが、SunとMicrosoftの間での知的財産ライセンスを円滑にする枠組みが固まり、両社製品間の相互運用性が築けるようになったとバルマー氏は強調している。

 「共同開発ではない。(Sunが)独立した構想と技術革新を継続し、当社も同様の姿勢を取る形での技術提携だ。しかし、顧客が共同開発を望んだり、競争上の目的から協力態勢を取りたいと考えたときのため、それを実現するためのライセンスの枠組みを用意している」と同氏。

 Sunは、自社のサーバ製品にWindows対応保証を受けることになる。両社はSunのXeonサーバがこの認定を受けており、これはすぐに有効になると発表した。SunのOpteron搭載サーバに向けた認定は「着々と進んでいる」という。

 またバルマー氏とマクニーリー氏は、両社の和解は賠償金目的ではなく、事業機会を求めた上でのものだと説明。両社はこの提携から大幅な収益が生まれると見込んでいるという。

 SunとMicrosoft、因縁の法的論争の発端となったのは、1997年10月のMicrosoftを相手取ったSunの訴訟だった。Sunは両社の間で締結したJavaライセンス契約にMicrosoftが違反したと訴えた。この契約違反をめぐる訴訟は2001年1月に和解、MicrosoftはSunに2000万ドルを支払うことで合意した(2001年1月の記事参照)。これにより、MicrosoftがSunを反訴した訴訟も取り下げられた。

 しかし約1年後に、Sunは独禁法違反を理由にMicrosoftを新たに提訴、MicrosoftがPC用OS市場での独占力を利用してJavaの成功を阻んだことは、競争の阻害に当たると訴えた(2002年3月の記事参照)。

 米司法省が起こした対Microsoft独禁法訴訟では、同社が独占的地位にあり、その独占力を悪用したとの判断が下されたが、その根拠の一部として、同社によるJavaをめぐるSunの扱いが挙げられた。Sunは2002年3月の訴訟で再びその点を指摘、Microsoftにプロプライエタリなソフトインタフェースをほかの企業にライセンスし、OSへのInternet Explorer、IIS(Internet Information Server)Webサーバ、.NETフレームワークのバンドルをやめるよう命じる終局差し止め命令を出すよう求めた。

 Sunはこの訴訟で、Microsoftの「最終的な目的」はインターネット接続を支配し、ユーザーがWebに接続するときに常に同社の製品を使わなくてはならないようにすることにあると訴えた。当時の報道では、Sunが10億ドル以上の賠償を求めたと報じられていた。当時のSun関係者は、正確な金額を明かさなかった。

 Sunはこのほか2日に、ソフトウェア部門責任者ジョナサン・シュワルツ氏が新たに同社の社長兼COO(最高執行責任者)に昇格することを発表した(4月3日の記事参照)。

 またSunは、決算速報も発表。同社第3四半期(1〜3月期)の売上高は約26億5000万ドルに上り、一時費用を含む純損失は、7億5000万〜8億1000万ドル(1株当たり23〜25セント)に上る見通し。レイオフの経費などの一時費用を除外すれば、赤字幅は2億〜2億6000万ドル(1株当たり6〜8セント)。

 Sun担当者は世界で従業員3300人をレイオフすると話している。

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