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MS、初のオープンソースソフトをリリース

» 2004年04月06日 11時46分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Microsoftが先週末に長年の敵Sun Microsystemsと和解したというニュースは奇想天外に思えたが、4月5日にはもう1つ、衝撃的な一報がもたらされた。Microsoftが自社のソースコードの一部を、インターネット上で自由に入手できるようにしたのだ。

 同社はオープンソースソフト開発プロジェクトを無料ホスティングするWebサイト、SourceForge.netでこのコードをリリースした。リリースされた「WiX」(Windows Installer XML)は、WindowsインストールパッケージをXMLソースコードから構築するためのツールセット。

 Microsoftの共有ソース戦略マネジャー、ジェイソン・マテュソー氏によると、WiXは、IBMが策定したオープンソースライセンス「Common Public License」(CPL)の下で提供されているという。CPLはOpen Source Initiative(OSI)に承認されたライセンスの1つで、OSIのopensource.orgサイトに掲載されている。このライセンスの下では、開発者はソースコードを改変して、それを商用製品に使うことができるとマテュソー氏は説明している。

 「当社がオープンソースライセンス、つまりOpensource.orgから承認を受けたライセンスの下でプロジェクトを掲載したのは今回が初めて」(マテュソー氏)

 今回の動きは、オープンソースに関する方針転換を示すものではないと同氏は主張する。同氏は、Microsoftが何年もの間、さまざまな「共有ソース」ライセンスの下で自社のソースコードをリリースしてきた点を指摘。これらのライセンスは、ユーザーがコードの閲覧だけを認められる「参照のみ」のライセンスから、コードの改変と商用リリースが認められるライセンスに至るまですべてを網羅する。同社は今後も引き続き、さまざまなライセンスの下でコードをリリースすると同氏は語っている。再びCPLに基づいてコードをリリースする可能性もあるが、GNU General Public License(GPL)を採用する計画はないという。GPLはLinuxの配布に採用されているライセンスで、Microsoftはしばしばこれを批判してきた。

 「GPLは商用ソフトビジネスとして、若干の課題があるように当社は感じている」とマテュソー氏。

 WiXに関しては、MicrosoftはCPLが最適なライセンスだと判断したと同氏は語る。SourceForgeにコードを掲載することにしたのは、同サイトが広く使われており、同サイトのプロジェクトの25%以上がWindows関連のものだからという。

 WiXはコマンドラインインタフェースのみを備え、少量のコードで構成される。この種のツールは、幅広い開発者に使われており、既にほかの団体からもフリーソフトとして提供されている。このツールはデータベースを作成し、インストーラソフトはこのデータベースを利用して、Windows PC上でアプリケーションを置く最適の場所を把握できるとマテュソー氏は説明する。同氏によると、MicrosoftはWiXはフリーツールよりも優れていると考え、これを開発者に提供することにした。WiXはMicrosoftで開発され、同社内の複数の部門で既に使用されているという。このツールはWindows NT/2000に対応している。

 「望めばこのコードを基盤にビジネスを構築できる。その行為はライセンスによって完全に認められている」(同氏)

 WiXはhttp://www.sourceforge.net/projects/wix/からダウンロードできる。

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