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熱源の温度を気温以下に下げるナノテク技術、実用化へ

» 2004年04月20日 09時58分 公開
[ITmedia]

 ナノテクを活用して排熱効果を大幅に高めるチップが登場しようとしている。

 ジブラルタルを本拠とするCool ChipsとPower Chipsという姉妹会社が4月19日、米特許商標庁(USPTO)からナノテクを使って放熱効果を高める技術の特許「Thermionic Vacuum Diode Device With Adjustable Electrodes(調整可能電極を備えた熱電子真空ダイオードデバイス)」(特許番号:6,720,704)を4月13日付で取得したと発表した。両社はいずれもBorealis Exploration Limitedの子会社。

 「Power Chips」は量子メカニカルトンネリングによって熱を電流に変換するウエハーに似た小型デバイス。「Cool Chips」は、同様の構造だが、これとは反対に機能し、電流によってウエハーの片側からもう一方へと熱を移し、「能動的」で効果の高い空冷を実現するという。両デバイスとも間隔10ナノメートル以下の二つの電極で構成される。

 従来のヒートシンクやファンでは放熱源は周囲の気温以下になることはなかったが、熱源とヒートシンクの間にCool Chips層を挟むことで、熱源の温度を気温以下まで下げられるようになったと説明している。このシステムにはモーターなどが一切含まれておらず、マイクロエレクトロニクス分野での利用に向けて小型化が図られているという。

 同社は14日にこのチップのコアコンポーネントのプロトタイプ製造に向けた施設の開設を発表している。現時点で製造したチップの90%以上が予定通りの特性を発揮しており、積極的に残りの製造・パッケージングの問題に取り組んでいるという。同社は航空宇宙からコンピュータの分野まで、さまざまな用途に利用できると期待している。

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